【ITニュース解説】Barcode Inspection and Verification (# 60)--SPL Programming Practice
2025年09月03日に「Dev.to」が公開したITニュース「Barcode Inspection and Verification (# 60)--SPL Programming Practice」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
13桁バーコードのスキャンエラー対策として、正しいバーコードかを検証する計算方法を解説する。最初の12桁の奇数桁合計と偶数桁合計の差を求め、10で割った余りの絶対値が13桁目と一致するかで判定。SPLを使ったプログラミングでの実装例も紹介している。
ITニュース解説
バーコードは、商品識別や在庫管理といった多岐にわたる用途で利用される、現代社会に不可欠な情報伝達手段である。しかし、スキャナーの読み取り精度やバーコード自体の状態によっては、正確な情報が読み取られない「スキャンエラー」が発生する可能性がある。このようなエラーは、システムに誤ったデータを登録してしまう原因となり、重大な問題を引き起こす恐れがあるため、読み取ったバーコード情報が正しいかどうかを検証する仕組みが必要となる。この検証を担うのが「チェックデジット」という技術であり、今回解説する13桁のバーコードには、このチェックデジットが組み込まれている。
13桁のバーコードは、その名の通り13個の数字から構成される。このうち、最後の1桁(13桁目)がチェックデジットとして機能する。残りの最初の12桁の情報から特定の計算を行い、その結果が13桁目の数字と一致すれば、そのバーコードは正しく読み取られたと判断できる仕組みである。システムエンジニアを目指す上で、このようなデータの整合性を確保する技術的アプローチを理解することは非常に重要である。
具体的な検証ロジックは以下の手順で進む。まず、読み取られた13桁のバーコードから、チェックデジットを除く最初の12桁を抽出する。この12桁の数字に対し、左から順に1桁目、2桁目、…12桁目として位置を割り振る。次に、奇数番目の位置にある数字、つまり1桁目、3桁目、5桁目、7桁目、9桁目、11桁目の数字をすべて集め、それらを合計する。この合計値をS1とする。同様に、偶数番目の位置にある数字、つまり2桁目、4桁目、6桁目、8桁目、10桁目、12桁目の数字をすべて集め、それらを合計する。この合計値をS2とする。
S1とS2が算出されたら、S1からS2を減算する。この減算結果が正の値であっても負の値であっても、次のステップではその結果を10で割り、その除算の「余り」を求める。例えば、計算結果が17であれば10で割ると余りは7、-3であれば10で割ると余りは-3となる。そして、その余りの「絶対値」を取る。絶対値とは、数値の符号に関わらず、その数値自体の大きさを示すものであり、例えば-3の絶対値は3、7の絶対値は7となる。この一連の計算を経て得られた最終的な数値が、バーコードの13桁目に記載されているチェックデジットと全く同じであれば、そのバーコードは正しく、スキャンエラーがないと判定される。もしこの計算結果と13桁目の数字が一致しない場合は、スキャンエラーが発生しているか、あるいはバーコード自体に問題がある不正なバーコードであると判断されることになる。この「チェック&ベリファイ」の手法により、バーコード情報の信頼性が確保される。
このようなバーコード検証のロジックは、プログラミングによって自動化できる。ここではSPL(Structured Process Language)というプログラミング言語を用いた実装例が示されている。SPLは、データの処理や計算を簡潔な記述で実行できる特徴を持つ。
まず、A1セルには、検証対象の13桁のバーコードが入力される。この際、バーコードは数値ではなく「文字列」として扱われる点が重要である。SPLでは、入力の先頭に「'」を付けることで、その内容が文字列として認識される。これは、バーコードの各桁の数字を個別に操作するために、文字列として受け取り、後で一つずつ数値に変換する準備のためである。
次に、A2セルでは、A1セルに入力されたバーコード文字列を、1文字ずつ個別の数値データに分解し、「シーケンス」と呼ばれるデータの並び(配列やリストのようなもの)に変換する処理が実行される。この変換処理では「@p」というオプションが指定されており、これによりシーケンス内の各文字が、単なる文字ではなく、対応する「整数」データとして解析される。例えば、「'1234567890123」という文字列は、数値の「1, 2, 3, …, 3」が順に並んだシーケンスへと変換される。
A3セルでは、A2で生成された数値シーケンスから、最初の12桁のうち奇数番目の位置にある数字を選び出し、それらを合計する処理が行われる。これがS1の計算に相当する。プログラミングにおけるシーケンスの要素は通常0から始まるインデックス(0番目、1番目…)で扱われるが、ここではバーコードの1桁目、3桁目…に該当する要素が合計される。
A4セルでは、A3と同様に、最初の12桁のうち偶数番目の位置にある数字を選び出し、それらを合計する。これがS2の計算である。
そしてA5セルが、バーコード検証の主要な計算部分となる。ここでは、A3で算出されたS1の値からA4で算出されたS2の値を減算する。その減算結果を10で割り、その「余り」を計算する。最後に、その余りの「絶対値」を求めることで、バーコードの13桁目と比較すべき最終的な検証値が導き出される。
最終的に、A6セルでは、A5で計算された検証値が、A2で分解されたシーケンスの最後の要素、すなわちバーコードの13桁目の数字と等しいかどうかを比較し、判断する。両者が一致すれば「正しいバーコード」と判定され、一致しなければ「不正なバーコード」と判定される。この比較結果は、例えば真偽値(True/False)として出力されるだろう。
このように、SPLのようなプログラミング言語を活用することで、バーコード検証のような実用的なロジックも、入力、データ加工、計算、比較といった段階的な処理に分解し、簡潔な記述で実現できる。この事例は、データの信頼性を保証するためのアルゴリズムを理解し、それを具体的なプログラミングで実装する良い実践例となる。SPLはオープンソースとしてGitHubで公開されているため、実際にコードを試してみて、データの検証という分野でのプログラミングスキルを磨くことも可能である。データの正確性と整合性を確保する技術は、システムエンジニアにとって基盤となる重要な能力の一つである。