【ITニュース解説】私の好きなClaude Codeの使い方

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AIコーディングツールClaude Codeを効率的に使う方法を解説。期待通りの結果を得るため、試行錯誤を減らす「使い方の型」を定義。著者の4ヶ月間の経験に基づき、具体的な手順と考え方を紹介する。

出典: 私の好きなClaude Codeの使い方 | Zenn公開日:

ITニュース解説

近年、ソフトウェア開発の現場では、AI、特にコーディングを支援する生成AIの活用が急速に広がっている。中でも「Claude Code」のようなツールは、プログラマーの作業を効率化する強力なアシスタントとして注目されている。しかし、この便利なツールを前にして、どのように使えばその能力を最大限に引き出せるのか、戸惑うことも少なくない。期待通りのコードが生成されず、AIとの対話にばかり時間を費やしてしまっては、本来集中すべき開発タスクそのものが疎かになってしまう。そこで重要になるのが、AIとの対話における自分なりの「型」、つまり決まった手順を確立することである。体系立てられたアプローチを持つことで、AIを安定して活用し、開発の生産性を着実に向上させることが可能になる。 AIを効果的に活用するための「型」を築く上で、まず前提となる考え方を理解しておく必要がある。第一に、AIを人間のように扱わないことである。AIは人間と違って、過去の会話の文脈を完全に記憶しているわけではない。そのため、何かを依頼するたびに、その作業に必要なすべての情報を改めて提供するという意識が不可欠だ。これは、AIとの対話が本質的に「ステートレス」である、つまり状態を保持しない特性を持つためである。毎回、自己紹介から始めるような感覚で、必要なファイル構成や関連コードをすべて提示することで、AIの誤解や情報の欠落を防ぎ、精度の高い応答を引き出すことができる。第二に、AIに自律的な思考や設計そのものを期待しないことだ。AIは与えられた指示に基づいてコードを生成する能力には長けているが、どのような機能が必要か、どのような設計が最適かといった上流の判断を下すことはできない。あくまで、開発者が決定した実装方針を忠実に実行する補助ツールと位置づけ、何をすべきかという具体的な指示は人間が明確に与えなければならない。第三に、AIが生成したコードの品質を鵜呑みにしないことだ。AIの回答は常に正しいとは限らず、同じ指示に対しても毎回少しずつ異なるコードが生成されることもある。したがって、生成されたコードは必ず開発者自身の目で確認し、意図通りに動作するかをテストし、必要に応じて修正を加えるというプロセスが不可欠となる。最終的な品質に対する責任は、常に開発者自身が負うという心構えが重要である。 これらの基本的な考え方に基づき、具体的な実装タスクでClaude Codeを活用するための一連の手順を確立することができる。この手順に従うことで、AIとのコミュニケーションは円滑になり、期待する成果物を得やすくなる。まず、作業を開始するにあたり、AIに対してこれから変更を加えるコードが、プロジェクト全体のどの部分に位置するのかを伝える。具体的には、関連するファイルやディレクトリの構造をリストなどの形式で提示する。これにより、AIはコードの全体像や文脈を把握し、より適切な提案を行うことが可能になる。次に、変更対象となるファイルのソースコード、そしてその変更によって影響を受ける可能性のある関連ファイルのソースコードを、すべてAIに提供する。変更したい一部分だけを断片的に見せるのではなく、ファイル全体を渡すことで、AIはコード間の依存関係や既存のロジックを正確に理解し、矛盾のない変更を生成しやすくなる。続いて、開発者自身が考えた具体的な実装方針を、自然言語で明確に指示する。「この機能を実装してほしい」といった曖昧な依頼ではなく、「この関数の引数にAを追加し、内部の処理をBのように変更し、戻り値の型をCにしてください」といったように、具体的かつ詳細に記述することが、質の高いコードを得るための鍵となる。そして最後に、AIに対して、変更前と変更後のコードの差分(diff形式)を出力するように要求する。差分形式で結果を得ることで、AIがどの部分をどのように変更したのかが一目瞭然となり、コードレビューの効率が飛躍的に向上する。また、意図しない変更が紛れ込んでいないかを容易に確認でき、コードの品質を担保することにも繋がる。 Claude Codeをはじめとする生成AIは、正しく使えば開発プロセスを劇的に変える可能性を秘めた強力なツールである。しかし、その能力を最大限に引き出すためには、単に質問を投げかけるだけでは不十分だ。AIの特性を深く理解し、毎回必要な情報をすべて与え、明確な指示を出し、生成された結果を必ず人間が検証するという、一貫したアプローチが求められる。ここで解説した「使い方の型」は、AIを単なる道具として使いこなし、開発者自身がより創造的で本質的な作業に集中するための有効な戦略と言える。これからシステムエンジニアを目指す人々にとって、このようなAIとの協業スキルを早期に習得することは、変化の激しいIT業界で活躍していく上で、間違いなく大きな強みとなるだろう。

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