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【ITニュース解説】Check out this Article on A Solution to Missing Data: Imputation Using R

2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「Check out this Article on A Solution to Missing Data: Imputation Using R」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

データ分析で発生する欠損データへの対処法について解説している。R言語を使ったデータの「補完」という手法を用いることで、データが一部欠けていても正確な分析を継続できる具体的な方法が学べる。

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す上で、データはシステムの設計から運用、さらにはビジネス価値の創造に至るまで、あらゆる段階で中心的な役割を果たす。私たちが日頃扱うデータの中には、残念ながら完全ではないものが数多く存在する。それが「欠損データ」である。欠損データとは、データベースやデータセットの一部が空白になっていたり、記録が抜け落ちていたりする状態を指す。この欠損データがなぜ問題になるのかというと、データの品質を低下させ、それに基づいて行われる分析や意思決定の信頼性を大きく損なうためである。不正確なデータから導き出された結論は、誤ったシステム開発やビジネス戦略につながりかねない。

欠損データが発生する原因は多岐にわたる。例えば、ユーザーがWebフォームの一部を未入力のまま送信したり、IoTデバイスのセンサーが一時的に故障してデータ収集が中断されたりすることがある。また、異なるシステム間でデータを統合する際に、項目の不一致や変換ミスによって欠損が生じることもある。既存のシステムを新しいものへ移行する際にも、データの欠損は発生しやすい。このように、データが収集、保存、処理されるあらゆるプロセスで、意図せず欠損は発生しうるのである。

欠損データにはいくつかの種類があり、その性質によって適切な対処法が異なる。一つは「完全にランダムな欠損(MCAR)」と呼ばれるもので、欠損がデータの他のどの変数とも全く関係なく、偶発的に発生するケースである。例えば、単純な入力ミスや、データをランダムにサンプリングした際の欠損などがこれに当たる。次に「ランダムな欠損(MAR)」は、欠損が観測されている他の変数とは関係があるが、欠損しているデータ自体の値とは関係がない場合を指す。例えば、特定の年齢層のユーザーが特定のアンケート項目に回答しない傾向があるが、回答しないこと自体はその質問内容の特定の情報とは無関係である、といった状況だ。最も複雑なのが「非ランダムな欠損(MNAR)」で、欠損が欠損しているデータそのものの値や、まだ観測されていない変数と関連しているケースである。例えば、高収入の人が自分の収入を申告したがらない、といった場合がこれに該当する。これらの欠損の背景を理解することは、適切なデータ処理を行う上で非常に重要となる。

欠損データに対する基本的な対処法は大きく分けて二つある。一つは「削除(Deletion)」、もう一つは「補完(Imputation)」である。削除は最も単純な方法であり、欠損データを含む行や列をデータセットから取り除くというものだ。しかし、この方法には大きなデメリットがある。多くの行を削除してしまうと、せっかく集めたデータの量が大幅に減少し、その結果、残ったデータだけでは分析の精度が低下したり、重要なパターンを見逃したりするリスクがある。特に、データが少ない状況では、削除によって分析自体が不可能になる可能性すらある。

そこで、より洗練された方法として「補完(Imputation)」が用いられる。補完とは、欠損している部分に何らかの推定値を埋め込むことで、データセットを完全な状態に戻す試みである。これにより、データ量を維持しつつ、分析の信頼性を高めることが期待できる。補完の方法は、その複雑さや精度に応じていくつかある。最も単純な補完方法としては、欠損している値の代わりに、その列の「平均値」「中央値」「最頻値」で埋める手法がある。例えば、ある商品の売上データに欠損があった場合、過去の平均売上で埋める、といった形だ。これは実装が非常に簡単で分かりやすい利点があるが、欠損データを全て同じ値で埋めてしまうため、データのばらつきが小さく見えたり、他の変数との相関関係を弱めたりする可能性があるという欠点がある。

より高度な補完方法としては、「回帰分析を用いた補完」や「多重補完」がある。回帰分析を用いた補完では、欠損している変数を目的変数とし、他の観測されている変数を説明変数として回帰モデルを構築し、それに基づいて欠損値を予測して埋め込む。これにより、データ間の関係性を考慮した、より現実的な補完が可能となる。さらに「多重補完」は、単一の推定値で埋めるのではなく、統計的な手法を用いて複数の補完済みデータセットを作成し、それぞれで分析を行った後、その結果を統合するという方法である。この方法は、補完に伴う不確実性も考慮に入れることができるため、最も推奨される補完方法の一つとされている。多重補完は複雑に聞こえるかもしれないが、欠損データの種類や分布、他の変数との関係性など、データが持つ多様な側面を最大限に考慮し、よりロバストで信頼性の高い分析結果を得るために非常に有効な手段である。

このような複雑な欠損データ処理を、私たちはR言語という強力なツールを使って効率的に行うことができる。Rは統計解析やデータ可視化に特化したプログラミング言語であり、多くの専門的なパッケージが提供されている。欠損データ処理に関しても、例えばmice (Multivariate Imputation by Chained Equations) というパッケージが有名である。このmiceパッケージを用いることで、初心者では実装が難しい多重補完のような高度な手法も、比較的シンプルなコードで実行することが可能になる。具体的には、データの欠損パターンを確認する機能や、多重補完を実行する関数、そして補完された複数のデータセットを統合して分析するための機能などが提供されている。Rを使うことで、データのクリーニングから分析までの一連のプロセスをスムーズに進め、データの信頼性を飛躍的に高めることができるのだ。

システムエンジニアがこのような欠損データ処理の知識を持つことは、今後のキャリアにおいて非常に重要となる。データはシステムの「血液」であり、その品質はシステム全体の健全性を左右する。データの前処理、特に欠損データの適切な取り扱いに関する知識は、システムから取得されるデータの信頼性を評価し、データ連携やデータベース設計、さらにはビジネスインテリジェンス(BI)ツールの活用など、幅広い業務で直接的に役立つ。データに基づいた意思決定が加速する現代において、エンジニア自身がデータ品質に対する意識を高め、自らデータの信頼性を確保するスキルを身につけることは、単にシステムを構築するだけでなく、そのシステムが生み出すビジネス価値を最大化するために不可欠な能力となるだろう。

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