【ITニュース解説】EU fines Google $3.5 billion over adtech antitrust violations
2025年09月06日に「Engadget」が公開したITニュース「EU fines Google $3.5 billion over adtech antitrust violations」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
EUがGoogleに約35億ドルの制裁金を課した。広告技術市場における独占禁止法違反が理由。Googleの広告ツールが自社の広告取引所を優遇し、競争を阻害していると判断された。Googleは提訴する方針だが、60日以内に改善策を示す必要があり、従わない場合は事業売却の可能性もある。
ITニュース解説
EU(欧州連合)がGoogleに対して、広告技術(adtech)分野での独占禁止法違反で35億ドル(約4900億円)の制裁金を科した。これは、オンライン広告市場におけるGoogleの支配的な地位を問題視したもので、Googleの広告技術が競争を歪めていると判断されたためだ。
具体的に問題視されたのは、Googleが提供する広告関連ツール間の連携方法だ。Googleは、広告主が広告を購入するためのツール(Google Ads、DV360)、広告枠を販売するウェブサイト運営者向けのツール(DFP)、そして広告取引所(AdX)という、オンライン広告のサプライチェーン全体に関わる様々なサービスを提供している。EUの調査によると、Googleはこれらのツールを連携させる際に、自社の広告取引所であるAdXを優遇していた疑いがある。
具体的には、GoogleはAdXに対して、競合する広告取引所の入札額に関する情報を事前に提供していた。これにより、AdXは競争相手よりも有利な条件で広告枠を獲得することが可能になった。また、Google Adsは競合する広告取引所を避け、AdXでの入札を優先していたという。これは、広告主にとってより良い選択肢が他にある場合でも、Googleの広告取引所の優位性を維持しようとする行為とみなされている。
EUはGoogleに対し、60日以内にこれらの問題に対する改善策を提示するよう求めている。もし改善が見られない場合、制裁金の支払いに加え、Googleの広告技術事業の一部または全部の売却が強制される可能性もある。
Googleは、この決定を不服として控訴する意向を示している。Googleは、広告主とウェブサイト運営者の両方にサービスを提供することは競争を阻害するものではなく、むしろ多くの選択肢を提供していると主張している。
今回の制裁金は巨額だが、GoogleがEUから科された制裁金としては過去最高額ではない。2018年には、モバイルネットワーク事業者に対してGoogleアプリのプリインストールを強制したとして、50億4000万ドルの制裁金が科されている。
近年、Googleのビジネス慣行に対する監視は強化されているが、これまでのところ、独占禁止法違反とみなされる行為に対して構造的な改善策が実施されることは少なかった。例えば、アメリカの裁判所は2024年にGoogleがオンライン検索市場で独占的な地位にあると認定したが、Chromeの売却や、Appleへのデフォルト検索エンジンとしての地位維持のための支払い停止は命じられなかった。
EUの規制当局は、アメリカよりも厳しい姿勢で臨むことが多い。欧州委員会は、Googleの広告関連の別の問題についても調査を進めていると報じられている。今回の制裁金が、Googleの行動に具体的な変化をもたらすのかどうか、今後の動向が注目される。システムエンジニアを目指す上で、今回のニュースは、巨大IT企業が提供するサービスが、その影響力の大きさ故に、常に公正な競争環境を維持する責任を負っていることを示唆している。また、独占禁止法というものが、技術革新を促進し、消費者の利益を守る上で重要な役割を果たしていることを理解する上で役立つだろう。