【ITニュース解説】Building FanQuest with Kiro: Turning Fandom into a Gamified Marketplace
2025年09月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「Building FanQuest with Kiro: Turning Fandom into a Gamified Marketplace」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AI開発ツールKiroを使い、ファンがクリエイターの限定品をポイントで交換できるゲーミフィケーションプラットフォーム「FanQuest」を開発した。自然言語の指示でコードを生成し、定型作業を自動化、AIと協調開発を行うことで、開発期間を大幅に短縮し、MVPを迅速に構築できた。AI活用が開発効率を高める事例だ。
ITニュース解説
FanQuestは、Code with Kiro Hackathonという開発イベントで誕生した、ファンとクリエイターを結びつける新しいプラットフォームである。このプラットフォームは、ファンが月額課金することでポイントを獲得し、そのポイントを使ってお気に入りのクリエイターが提供する限定アイテムや特別な体験と交換できるサブスクリプション型のサービスとして設計された。開発チームの目標は、楽しくて影響力があり、かつKiroというAIを活用した開発ワークフローで動くシステムを作ることだった。
なぜFanQuestが必要とされたのか、その背景には現代のクリエイターエコノミーの成長がある。多くの人がSNSなどでクリエイターの作品を楽しみ、応援しているが、「いいね」やコメントだけでは、ファンとクリエイターの間に深い繋がりを生み出すには限界があった。FanQuestは、この問題を解決するために、ポイントシステムを導入することで、ファン活動をよりインタラクティブで、報酬があり、楽しいものに変えようとしている。ファンが積極的にクリエイターを応援するほどポイントが貯まり、それが具体的な価値として返ってくる仕組みである。
このFanQuestの開発において、KiroというAIツールが極めて重要な役割を果たした。Kiroは開発のパートナーとして、ソフトウェア開発の様々な工程を効率化した。その機能の一つが「Spec-to-code」である。これは、開発者が「ファンが購読したら、毎月100ポイントを割り当て、その取引を記録する」といった具体的な要件を人間が理解できる自然言語で記述すると、Kiroがそれを自動的にプログラミングコードに変換し、システムのバックエンドを構築するためのAPIエンドポイント、データを保存するためのデータモデル、そしてユーザーインターフェース(UI)の骨格を瞬時に生成する機能である。これにより、本来ならば手作業で多くの時間を要する初期設定や基本的なコーディング作業が大幅に短縮された。
さらに、「Agent hooks」という機能も開発効率を高めた。これは、クリエイターが自分のショップを管理するための商品の登録・読み出し・更新・削除(CRUD操作)や、システムへのアクセス権限をユーザーの役割に応じて制御する(ロールベースアクセスチェック)といった、繰り返し行われる定型的な作業を自動化する仕組みである。これにより、開発者は退屈な定型コードの記述から解放され、プラットフォームのユニークな機能やユーザー体験の向上といった、より創造的な作業に集中することができた。
また、「Vibe coding」というKiroとの共同作業スタイルも特徴的だった。これは、Kiroとまるで人間同士がペアプログラミングをするように、一緒にアイデアを出し合い、機能を練り上げていく開発手法である。例えば、サブスクリプションからポイントへの変換システムや、クリエイターが商品を販売する際のチェックアウトフローなど、複雑な機能についてもKiroと対話しながら迅速に改善を繰り返していった。まるでAIのチームメイトがいるかのような感覚で開発を進めることができたという。
これらのKiroの支援があったおかげで、開発チームは当初予想していたよりもはるかに早く、動作する最低限の製品(MVP: Minimum Viable Product)を完成させることができた。しかし、開発の過程でいくつかの課題にも直面した。例えば、ファンが楽しく利用でき、かつ経済的に持続可能な、バランスの取れたポイントエコノミーをどのように設計するかという問題があった。また、月額課金サービスを提供するStripeという外部サービスと、ユーザー管理やデータ保存を行うAppwriteというバックエンドサービスの間で、サブスクリプション情報を正確に同期させる技術的な課題もあった。さらに、Kiroという新しい開発ツールと、その独自の開発スタイルに慣れるための学習期間も必要だった。
しかし、これらの課題もKiroの助けを借りることで、従来のコーディング手法だけで開発を進めるよりもはるかに迅速に解決することができた。開発チームはこの経験を通して貴重な学びを得た。それは、AIアシスト開発において、小さく、明確な仕様を記述することが、システムの信頼性を非常に高めるということである。漠然とした指示ではなく、具体的なステップをAIに伝えることで、期待通りの成果が得られやすくなる。また、定型的な作業をAIに自動化させることで、開発者はシステムの全体的な設計やユーザー体験(UX)の向上といった、より本質的な意思決定に時間を費やせるようになることも改めて認識された。この経験を通じて、Kiroが単なるツールではなく、ソフトウェアを構築する全く新しい方法であるという認識を深めた。
FanQuestの未来については、今後さらに機能を拡張していく予定である。例えば、ファンが特定の目標を達成することで報酬が得られる「クエスト」機能や、継続的な活動を促す「ストリーク」機能、さらにはブロックチェーン技術を活用した「デジタルコレクティブル」(デジタル収集品)の導入などが検討されている。長期的には、世界中のクリエイターが、FanQuestのようなゲーミフィケーションされたファンエコノミーを通じて、ファンとの関係を深め、自身の活動をより豊かにすることを目指している。このような野心的なビジョンを持つプラットフォームの基盤を、これほど短期間で構築できたのは、KiroというAIを活用した開発ツールがあったからに他ならない。開発チームは、FanQuestの今後の進化に期待を寄せるとともに、KiroのようなAIを活用したコーディングの未来に大きな可能性を感じている。