【ITニュース解説】Using flash memory as a homebrew computer ROM
2025年09月06日に「Medium」が公開したITニュース「Using flash memory as a homebrew computer ROM」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
自作コンピュータの起動プログラムを保存するROMを、書き換えが容易なフラッシュメモリで代替する技術解説。従来のROMと異なり、プログラムの修正やデバッグが手軽になる利点があり、記事ではその具体的な手順を紹介する。(114文字)
ITニュース解説
自作コンピュータのROMをフラッシュメモリで置き換えるという試みは、コンピュータの基本的な動作原理を理解し、実際に手を動かしてシステムを構築する上で非常に価値のある挑戦だ。この取り組みを通じて、ROMとは何か、フラッシュメモリとは何か、そして両者の違いや互換性に関する技術的な知識を深めることができる。
まず、ROMについて説明する。ROMは「Read-Only Memory」の略で、文字通り「読み出し専用のメモリ」を意味する。コンピュータにおいてROMは、電源を入れたときに最初に実行されるプログラム、いわゆる「ファームウェア」を保存する役割を担っている。例えば、私たちが普段使っているパソコンには、BIOS(Basic Input/Output System)やUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)といったプログラムがROMに書き込まれている。これらのプログラムは、CPUが起動した直後に動作し、メモリやストレージ、キーボード、ディスプレイといった基本的なハードウェアが正しく接続され、機能するかを確認する。そして、オペレーティングシステム(WindowsやmacOSなど)を起動するための初期設定を行う。ROMの最も重要な特性は、電源を切っても保存されている情報が消えない「不揮発性」であることだ。この性質があるからこそ、コンピュータは電源を入れるたびに同じ手順で起動できる。
次に、フラッシュメモリについて説明する。フラッシュメモリもROMと同様に不揮発性メモリの一種だが、ROMとは決定的な違いがある。それは、その名の通り「フラッシュ」のように高速に、そして比較的容易に内容を書き換えられる点だ。従来のROMの中には、一度しか書き込めないマスクROMや、特殊な装置を使って紫外線を当てることで内容を消去し、書き換えを行うEPROM、電気的に内容を消去して書き換えを行うEEPROMなどがあった。フラッシュメモリはEEPROMの一種だが、より高速に、そしてブロック単位でまとめて書き換えができるように進化している。私たちが日常的に使用するUSBメモリやSSD(Solid State Drive)、スマートフォンやデジタルカメラのストレージなど、多くのデバイスでフラッシュメモリが利用されている。これらのデバイスが繰り返しデータの保存や削除、更新ができるのは、フラッシュメモリの書き換え可能な特性によるものだ。
では、なぜ自作コンピュータのROMをフラッシュメモリで置き換えようとするのか。自作コンピュータの開発では、起動プログラムであるファームウェアを何度も書き換え、テストを繰り返す必要がある。しかし、従来のROM、特にEPROMなどでは、書き換えに特殊な装置が必要だったり、書き換えに時間がかかったり、そもそも現代では入手が困難な場合もある。このような状況で、安価で入手しやすく、書き換えも比較的容易なフラッシュメモリをROMとして活用できれば、ファームウェアの開発プロセスを大幅に効率化できる。プログラムのバグを修正したり、新しい機能を追加したりする際に、迅速にテストを実行できるようになるのだ。
しかし、単にフラッシュメモリチップを従来のROMと物理的に差し替えるだけで動作するわけではない。ここにはいくつかの技術的な課題が存在する。まず、電気的な互換性の問題だ。異なる種類のメモリチップは、それぞれ異なるピン配置、動作電圧、データの読み書きに必要なタイミング(信号のパターンや時間間隔)を持っている。自作コンピュータが元々想定しているROMと、代替として使用したいフラッシュメモリの間にこれらの違いがある場合、そのままでは動作しない。この問題を解決するためには、アダプタ回路やロジック変換回路を設計し、それぞれの信号を適切に変換したり、ピンの配置を合わせたりする必要がある。これは、電気回路の知識やデータシートを読み解く能力が求められる作業だ。
また、フラッシュメモリに新しいファームウェアを書き込む方法も考慮する必要がある。多くのフラッシュメモリは、専用のプログラマ(書き込み装置)を使って、コンピュータの外でプログラムを書き込むことが一般的だ。自作コンピュータを開発する際には、このプログラマを使って最新のファームウェアをフラッシュメモリに書き込み、それを自作コンピュータに組み込んで動作を検証するというサイクルを繰り返すことになる。一部のフラッシュメモリは、システムに組み込んだ状態で書き換えができる「インサーキットプログラミング」に対応しているものもあるが、そのためには対応するハードウェアとソフトウェアの準備が必要になる。
さらに、フラッシュメモリは書き換え回数に限界があるという特性も無視できない。一般的には数千回から数十万回の書き換えに耐えられるが、理論上は無限ではない。自作コンピュータの開発初期段階で頻繁に書き換えを行う場合、この寿命を意識する必要があるかもしれない。しかし、通常の利用や開発の最終段階では、この制限が大きな問題になることは稀だ。
このような自作コンピュータにおけるROMの置き換えは、単なる部品の交換以上の深い意味を持つ。それは、コンピュータの最も根本的な部分、つまりハードウェアとソフトウェアがどのように連携して動作するのかを、実際に手を動かし、試行錯誤しながら学ぶための実践的な機会となる。どのような電気信号が回路を流れ、どのようにデータが処理されるのかを体験することは、システムエンジニアを目指す者にとって非常に貴重な経験だ。また、これは古いコンピュータシステムを現代の部品で修理したり、性能を向上させたりする可能性も広げる。趣味として電子工作や自作コンピュータに情熱を注ぐ人々にとっては、自らの手でコンピュータの核となる部分をカスタマイズし、それが意図通りに動作したときの達成感は、他に代えがたいものとなるだろう。
このように、フラッシュメモリを自作コンピュータのROMとして活用する試みは、技術的な課題を伴うものの、コンピュータの仕組みを深く理解し、自らのアイデアを具体化するための非常に有効な手段だ。電気回路の知識、プログラミングスキル、そして問題解決能力を組み合わせながら、一つ一つの課題をクリアしていく過程は、システムエンジニアとしての基礎を築く上でかけがえのない経験と自信を与えてくれるに違いない。この実践的な学びを通じて得られる知識と経験は、将来的に複雑なシステム開発に携わる際に、間違いなく大きな強みとなるだろう。