Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

【ITニュース解説】Floating Point Visually Explained

2025年09月12日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「Floating Point Visually Explained」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

「浮動小数点数」は、コンピュータが小数を扱う際の重要な概念だ。この記事は、その仕組みと表現方法を視覚的に分かりやすく解説する。システムエンジニアを目指す初心者が、数値の扱いや計算精度について深く理解する助けとなる。

ITニュース解説

コンピュータが数を扱う際、整数は得意だが、小数点以下を持つ実数の表現には工夫が必要となる。その実数を効率的かつ広範囲にわたって表現するための仕組みが「浮動小数点数」だ。この名前は、小数点の位置が固定されずに「浮動」する(動く)ことで、非常に大きな数から非常に小さな数まで、多様な値を扱える特性に由来する。科学技術計算、グラフィックス処理、シミュレーションなど、多くのIT分野で実数を扱う際に不可欠な技術であり、システムエンジニアを目指す上でその仕組みを理解することは極めて重要となる。

浮動小数点数の内部表現には、国際的な標準規格であるIEEE 754が広く用いられている。この規格では、一つの浮動小数点数を主に三つの部分に分けて表現する。一つは「符号部(Sign)」で、その数が正か負かを示す1ビットの情報だ。0であれば正、1であれば負を意味する。次に「指数部(Exponent)」があり、これは小数点の位置がどこにあるかを決定する。指数部の値によって、表現できる数値の範囲が決まる。そして最後に「仮数部(MantissaまたはFraction)」があり、これは数値の具体的な桁、すなわち精度を表す部分だ。

コンピュータは全ての情報を2進数で扱うため、浮動小数点数も2進数で表現される。例えば、人間が10進数で「123.45」を「1.2345 × 10の2乗」と表現するのと同様に、浮動小数点数では「1.xxxxx × 2のyyyyy乗」という形式で表現される。ここで「1.xxxxx」の部分が仮数部、「yyyyy」の部分が指数部に対応する。特に、仮数部は常に「1.xxxxx」の形になるよう正規化され、先頭の「1」は省略して記録される(隠れた1ビット)。これにより、限られたビット数でより多くの有効数字を表現し、精度を高めている。

IEEE 754には、主に32ビットを用いる「単精度浮動小数点数」と、64ビットを用いる「倍精度浮動小数点数」がある。単精度は符号部1ビット、指数部8ビット、仮数部23ビット(隠れた1ビットを含めると24ビット相当)で構成され、比較的限られた範囲と精度を持つ。一方、倍精度は符号部1ビット、指数部11ビット、仮数部52ビット(隠れた1ビットを含めると53ビット相当)で構成され、単精度よりもはるかに広い範囲の数値を、より高い精度で表現できる。どちらの型を使用するかは、アプリケーションが求める数値範囲と精度によって適切に選択する必要がある。

しかし、浮動小数点数にはその特性ゆえの注意点も存在する。最も重要なのが「精度の限界と演算誤差」だ。浮動小数点数は、無限に存在する全ての実数を正確に表現できるわけではない。特に、10進数ではキリの良い小数(例えば0.1)でも、2進数で表現すると無限に続く循環小数になる場合がある。コンピュータは限られたビット数でこれを表現するため、途中で丸めざるを得ず、わずかな誤差(丸め誤差)が生じる。この小さな誤差は、浮動小数点数を使った計算で予期せぬ結果を引き起こすことがある。例えば、0.1と0.2を足しても、コンピュータ内部では厳密に0.3にはならず、「0.30000000000000004」のようなわずかに異なる値になることがある。

この演算誤差があるため、浮動小数点数同士の「等価比較」には特に注意が必要だ。例えば、「A == B」のような直接的な比較を行うと、本来同じ値になるはずのものが、わずかな丸め誤差のために異なる値と判断されてしまう可能性がある。したがって、浮動小数点数を比較する際には、二つの値の差が非常に小さい許容範囲内にあるかどうかを判断する「イプシロン比較」のような手法を用いるのが一般的だ。

また、浮動小数点数は通常の数値だけでなく、特殊な値も表現できる。例えば、ゼロで割るなどの未定義な演算結果は「NaN(Not a Number)」として扱われ、数値として意味を持たないことを示す。非常に大きな数や小さな数を扱う過程で、表現可能な範囲を超えた場合は「無限大(Infinity)」として扱われる。これらの特殊な値が計算結果として現れる可能性も理解しておくべきだ。

システムエンジニアとして、浮動小数点数の仕組みとその限界を深く理解することは、堅牢で信頼性の高いシステムを構築するために不可欠である。漠然と「小数点のある数を扱える」と考えるだけでは、意図しないバグや計算ミスにつながる恐れがある。特に、金融計算のように厳密な精度が求められる場面では、浮動小数点数ではなく、整数型と固定小数点演算を組み合わせるか、Decimal型のような専用のデータ型を使用するなど、より精度の高い数値表現方法を選択する必要がある。使用するデータ型が持つ表現範囲、精度、そして計算時の振る舞いを正しく把握し、目的に応じて適切に使い分けることが、システム開発における重要なスキルの一つだ。

関連コンテンツ