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【ITニュース解説】Microsoft: Exchange 2016 and 2019 reach end of support in 30 days

2025年09月16日に「BleepingComputer」が公開したITニュース「Microsoft: Exchange 2016 and 2019 reach end of support in 30 days」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Microsoftのメール管理システム「Exchange Server 2016/2019」は、30日後にサポートが完全に終了する。セキュリティ更新などが提供されなくなるため、企業は速やかに新しいバージョンへの移行や古いサーバーの廃止を検討する必要がある。

ITニュース解説

今回のニュースは、マイクロソフトが提供する企業向けメールサーバーソフトウェア「Exchange Server」の2016年版と2019年版について、その延長サポートが間もなく終了することを管理者たちに改めて注意喚起し、古いサーバーを適切に廃止するためのガイダンスを提供した、という内容だ。システムエンジニアを目指す初心者にとって、この「サポート終了」という出来事は、ITシステムの運用とセキュリティの重要性を学ぶ上で非常に参考になる。

まず、Exchange Serverとは何かを説明しよう。これは、企業や組織が自身の社内でメールシステムを構築・運用するために広く利用されているソフトウェアである。単にメールを送受信するだけでなく、従業員間の共有カレンダー、連絡先リスト、タスク管理など、様々なグループウェア機能を提供し、現代のビジネスコミュニケーションにおいて中核的な役割を担っている。多くの企業では、従業員が毎日利用するメールサービスは、このExchange Serverがバックエンドで動作していることで成り立っているのだ。

ニュースの要点である「サポート終了」は、ソフトウェアがその寿命を迎えることを意味する。ソフトウェアには必ず「ライフサイクル」があり、開発元は一定期間、そのソフトウェアの機能改善やセキュリティ対策、不具合修正などを行う。これを「サポート」と呼ぶ。マイクロソフトの場合、サポート期間は一般的に「メインストリームサポート」と「延長サポート」の二段階に分けられる。メインストリームサポート期間中は新機能の追加や設計変更も考慮されるが、延長サポート期間になると、基本的にセキュリティ更新プログラムの提供と、有償の技術サポート、そして重大な不具合に対する修正プログラムの提供に限定される。

そして、この「延長サポート」も終了すると、開発元であるマイクロソフトは、そのバージョンのExchange Serverに対して、セキュリティ上の脆弱性を修正するパッチ(更新プログラム)や、新たな不具合を修正するプログラムを一切提供しなくなる。さらに、システムに何か問題が発生しても、マイクロソフトからの技術的なサポートを受けることもできなくなるのだ。これが、Exchange Server 2016と2019にこれから起こることである。

サポートが終了したソフトウェアを企業が使い続けることは、非常に大きなリスクを伴う。最も深刻なのは「セキュリティリスク」だ。サイバー攻撃の手法は日々進化しており、常に新しい脆弱性が発見される。サポートが終了すると、もし新たな脆弱性が見つかっても、それに対する修正パッチは提供されない。これは、システムの防御に穴が開いたまま放置される状態であり、悪意のある攻撃者にとって非常に狙いやすい標的となる。結果として、企業の機密情報の漏洩、ランサムウェアによるシステム停止、業務妨害など、ビジネスに壊滅的な被害をもたらす可能性が極めて高まる。

次に、「システム障害のリスク」も無視できない。サポート終了後は、未知の不具合が発生しても、開発元からの修正プログラムは期待できない。運用担当者は自力で解決策を見つけるか、一時的な回避策で対応するしかなくなる。これはシステムの安定稼働を脅かし、結果として企業のビジネス継続性を損なう要因となり得る。また、データ保護やプライバシーに関する法規制、業界標準などで求められる「コンプライアンス(法令順守)」の要件を満たせなくなる可能性もある。セキュリティが不十分なシステムは、監査で指摘を受けたり、特定のサービス提供が制限されたりする事態にもつながりかねないのだ。

このようなリスクを回避するため、企業はサポート終了が迫るソフトウェアに対し、計画的な対応が求められる。具体的な対策としては、主に二つの選択肢が考えられる。一つは、より新しいバージョンのExchange Server(現在であればExchange Server 2019の次のバージョンなど)へとアップグレードすることだ。これにより、引き続きオンプレミス(自社内)でメールシステムを運用しながら、メーカーサポートと最新のセキュリティ対策の恩恵を受けられる。

もう一つの選択肢は、マイクロソフトが提供するクラウドサービスである「Microsoft 365」(旧Office 365)に含まれる「Exchange Online」へと移行することだ。これは、自社でExchange Serverを物理的に運用する代わりに、マイクロソフトのデータセンターが提供するクラウド上のメールサービスを利用する形態である。クラウドサービスを利用する大きな利点は、セキュリティ更新やバージョンアップなどのシステム管理をマイクロソフトが実施してくれるため、企業の運用負荷を大幅に削減できる点にある。現在、多くの企業がこのクラウドへの移行を進めている。

そして、ニュースで言及されている「古いサーバーの廃止(decommissioning)」も極めて重要な作業だ。これは単にサーバーの電源を切って放置するのではなく、サーバー内のデータを完全に消去し、物理的に破棄するか、あるいは他の用途に転用するプロセスを指す。これは、万が一古いサーバーが悪用された場合のデータ漏洩リスクを防ぐため、また不要な電力コストや管理リソースを削減するために不可欠な作業なのだ。

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このニュースは、ITシステムのライフサイクル管理がいかに重要であるかを教えてくれる。ソフトウェアやハードウェアには必ず寿命があり、それを正確に把握し、計画的に更新していくことが、システムの安定稼働とセキュリティを維持する上で不可欠な要素だ。常に最新の情報を入手し、将来起こり得るリスクを予測して適切な計画を立て、それを実行する能力は、これからのシステムエンジニアにとって必須のスキルとなるだろう。今回のExchange Serverのサポート終了は、単なる技術的な問題ではなく、ビジネスの継続性とセキュリティに直結する重要な課題であり、計画的なIT投資と運用管理の重要性を改めて浮き彫りにする出来事であると言える。企業にとってITシステムはビジネスの生命線であり、その安全と安定を確保するためには、サポート終了といったイベントに先回りして対応する意識が何よりも大切になる。

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