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【ITニュース解説】Neat trick to Stop Retyping Arguments

2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「Neat trick to Stop Retyping Arguments」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Rubyのメソッドで引数を繰り返し書く手間を省くテクニックを紹介する。引数転送構文「`...`」を使うと、引数定義を省略でき、コードが簡潔になる。引数追加時の修正が不要になり、バグを防ぎ、保守性を高める。

出典: Neat trick to Stop Retyping Arguments | Dev.to公開日:

ITニュース解説

プログラミングでは、私たちが書くコードの「読みやすさ」や「保守しやすさ」が非常に重要である。特に、同じような処理を何度も記述していると、最初は問題なくても、後で変更が必要になった際に修正漏れが発生したり、バグの原因になったりする。この記事では、そのようなコードの繰り返しを避けるためのRubyにおける便利なテクニックを紹介している。これはシステムエンジニアを目指す上でも、効率的で堅牢なコードを書くための基本的な考え方の一つになる。

まず、記事ではUserServiceというクラスの例を用いて、一般的なコードの記述パターンを示している。このクラスはユーザー情報を扱うためのもので、具体的にはself.createというクラスメソッドと、initializeというインスタンスの初期化メソッド、そしてsaveというインスタンスメソッドを持っている。ここで注目するのはself.createメソッドだ。これはnameemailpermissionsという三つの引数を受け取り、それらの引数を全く同じ順番と名前でnewメソッドに渡して、新しいUserServiceのインスタンスを生成し、そのsaveメソッドを呼び出している。

この書き方は一見すると正しく動作し、特に問題がないように見えるかもしれない。しかし、記事の筆者が指摘しているように、同じ引数リストをself.createメソッドの定義部分と、newメソッドへの引数として、合計二回も記述している点が問題の始まりである。もし将来的に、ユーザー情報の管理のためにageという新しい引数を追加する必要が生じた場合、initializeメソッドにage:という引数を追加するだけでなく、self.createメソッドにもage:を追加し、さらにnewメソッドに渡す際にもage: ageと記述し直す必要がある。この「二度手間」が、今は小さな手間に見えても、複数の場所でコードを修正する機会が増えるほど、修正漏れによるバグのリスクを高めることになるのだ。このようなコードの重複は、「DRY(Don't Repeat Yourself)」というプログラミングの原則に反している。DRY原則は、「同じことを二度書くな」という意味であり、コードの重複を避けることで、保守性を高め、バグを減らすことを目的としている。

そこで記事が提案しているのが、Rubyの「引数転送(Argument Forwarding)」構文である...(三点リーダー)の使用だ。これはRuby 2.7以降で導入された比較的新しい機能であり、まさに前述のような引数の重複記述問題をスマートに解決してくれる。self.create(...)と記述することで、「このメソッドが受け取る全ての引数を、種類(位置引数、キーワード引数、ブロック)を問わず全て受け取る」という意味になる。さらに、その受け取った全ての引数をnew(...)という形でそのまま別のメソッドに渡すことができる。これにより、name: name, email: email, permissions: permissionsといった具体的な引数のリストを二度も書く必要がなくなる。コードは劇的に短く、そしてシンプルになるのだ。

この...を用いた引数転送には、いくつかの明確な利点がある。一つ目は、前述のDRY原則を完全に満たせることである。引数のリストを一度しか記述しないため、コードの重複が解消され、全体的にすっきりとした見やすいコードになる。これは、自分だけでなく、他の開発者がコードを読んだり修正したりする際にも大きなメリットとなる。二つ目は、コードの「堅牢性」が高まることだ。もしinitializeメソッドにageなどの新しい引数が追加されたとしても、self.create(...)メソッドは一切変更する必要がない。...が全ての引数を自動的に転送してくれるため、未来の変更に非常に強いコードになる。これは、大規模なシステム開発や長期にわたるプロジェクトにおいて、予期せぬバグの発生を未然に防ぎ、開発効率を大きく向上させる。三つ目は、...があらゆる種類の引数に対応できる「網羅性」を持っていることだ。通常の順番で渡す位置引数、name:のように名前を指定して渡すキーワード引数、さらにはブロック(コードの塊をメソッドに渡す機能)まで、...はこれら全てを自動的に受け取って転送する。これにより、引数の種類を意識することなく、一貫した方法で引数を扱うことが可能になる。

さらに、...はただ全ての引数を転送するだけでなく、一部の引数だけを「横取り」し、残りの引数を転送するという柔軟な使い方もできる。記事ではその例も示している。例えば、def self.create(name:, ...)と記述することで、nameというキーワード引数だけをself.createメソッド内で明示的に受け取り、処理することができる。この例では、puts "About to create a user named #{name}..."のように、name引数を使ってログを出力してから、残りの引数(emailpermissionsなど)をnew(name: name, ...)のようにnewメソッドに転送している。このように、特定の引数に対して特別な処理を加えつつ、それ以外の引数は自動的に転送するという高度な使い方も容易に実現できるのだ。

まとめると、Rubyの引数転送構文...は、コードの重複をなくし、将来の変更に対して柔軟で、バグのリスクを減らすための非常に強力なツールである。システムエンジニアとして効率的で高品質なソフトウェアを開発するためには、このような便利な機能やプログラミングの原則を理解し、積極的に活用していくことが求められる。このテクニックは、書くコードをよりクリーンに保ち、未来の自分やチームメンバーの不要な手間を省くための、まさに「気の利いた秘訣」と言えるだろう。

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