【ITニュース解説】第828回 デザインコラボレーションツールであるPenpotをUbuntuにインストールする

2024年09月04日に「Gihyo.jp」が公開したITニュース「第828回 デザインコラボレーションツールであるPenpotをUbuntuにインストールする」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

デザインコラボレーションツール「Penpot」をUbuntuにインストールする方法を紹介する。Penpotは、Figmaなどの代替となるオープンソースツールで、デザイナーと開発者が効率的に協業するためのものだ。

ITニュース解説

システム開発の現場では、ユーザーが実際に触れる部分、つまりアプリやWebサイトの見た目や使い勝手を決める「デザイン」と、そのデザインを実際の動くシステムとして実現する「開発」という二つの重要な工程がある。この二つの工程を担当するデザイナーと開発者が、いかにスムーズに、そして効率的に協力し合えるかが、良い製品を生み出す鍵となる。今回紹介する「Penpot」は、まさにこのデザイナーと開発者の協業を強力にサポートするためのコラボレーションツールだ。

Penpotは、簡単に言えば、FigmaやAdobe XD、Sketchといったプロフェッショナルなデザインツールのオープンソース版と捉えることができる。これらのツールは、Webサイトの画面レイアウトを設計する「ワイヤーフレーム」や、実際に操作できるような擬似的なアプリ画面を生成する「プロトタイプ」を作成するために使われる。デザイナーはこれらのツールを使って、ユーザーがどのようにシステムを使うか、どのような見た目になるかを具体的に形にする。

これまでの開発現場では、デザイナーが作成したデザイン画や指示書を開発者が受け取り、それを基にコードを書いていた。しかし、デザインの細かい意図が伝わりにくかったり、変更があった場合に何度もやり取りが必要になったりして、非効率な面も少なくなかった。Penpotのようなデザインコラボレーションツールは、このような課題を解決するために作られた。デザイナーがPenpot上でデザインを作成すると、開発者はそのデザインファイルに直接アクセスし、ボタンのサイズやフォントの種類、色といった詳細な情報を簡単に確認できる。また、デザインの修正や変更があった場合も、リアルタイムで共有されるため、開発者は常に最新のデザイン情報に基づいて作業を進めることができる。これにより、デザインの解釈違いによる手戻りが減り、開発全体のスピードと品質が向上する。

ニュース記事では、Penpotが「FLOSS(Free/Libre Open Source Software)版」であることが強調されている。FLOSSとは、「自由な、開かれた、ソースコードが公開されているソフトウェア」という意味だ。「オープンソース」という言葉は、ソフトウェアの設計図にあたる「ソースコード」が誰でも自由に閲覧、利用、改変、再配布できるという考え方を指す。FigmaやAdobe XDなどのプロプライエタリ(商用)ソフトウェアは、通常、高額なライセンス費用が必要だったり、提供元の企業が提供するサービスに強く依存したりする。しかし、PenpotのようなFLOSSのツールは、基本的に無料で利用でき、特定の企業に縛られることなく、世界中の開発者コミュニティの協力によって常に改善が続けられている。この透明性と自由度は、ソフトウェア開発の現場において大きなメリットとなる。システムエンジニアを目指す初心者にとっても、オープンソースの概念を理解し、その恩恵を享受できる能力は非常に重要だ。多くのシステム開発プロジェクトでオープンソースのライブラリやフレームワークが活用されており、その文化や仕組みを学ぶことは、将来のキャリア形成において不可欠な知識となるだろう。

また、記事のタイトルに「Ubuntuにインストールする」とある点も注目に値する。Ubuntuは、Linuxベースのオペレーティングシステム(OS)の一つで、安定性やセキュリティの高さから、サーバー用途やソフトウェア開発環境として世界中の多くのシステムエンジニアに利用されている。PenpotをUbuntuにインストールするということは、実際の開発現場でデザイナーと開発者が使うツールを、一般的な開発環境にセットアップする具体的な手順を示している。システムエンジニアにとって、必要なソフトウェアを自分で選び、OS上に適切にインストールし、設定を行う能力は基本的なスキルの一つだ。これにより、開発環境を自分の手で構築し、管理する力が養われる。

システムエンジニアは、単にプログラムコードを書くだけでなく、プロジェクト全体の流れを理解し、デザイナー、プロジェクトマネージャー、テストエンジニアといった多様な職種のメンバーと協力して一つの製品を作り上げる役割を担う。Penpotのようなデザインコラボレーションツールを理解し、その活用方法を知ることは、開発プロセス全体におけるデザインの重要性を認識し、デザイナーの意図を正確に把握する上で非常に役立つ。デザインと開発の境界を意識し、両者の視点を取り入れることで、よりユーザーにとって価値のあるシステムを構築できるようになる。これは、現代のシステム開発において、ユーザー体験(UX)の重要性がますます高まっている中で、システムエンジニアに求められる重要な資質の一つだ。常に新しい技術やツールが登場するIT業界において、積極的に学び、柔軟に対応する姿勢は、システムエンジニアとしての成長を促し、キャリアを切り開く上での大きな力となる。Penpotの学習は、単なるツールの使い方を覚えるだけでなく、チーム開発におけるコラボレーションの重要性や、デザイン思考といった幅広い知識を習得する第一歩となるだろう。