【ITニュース解説】Self-hosting WordPress
2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「Self-hosting WordPress」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
WordPressサイトを高性能なマネージド環境から、自社サーバーへ移行した事例。月額費用を半額に抑えつつ、Ryzen 9搭載サーバーで快適な動作を実現。原因は、以前の環境のキャッシュ効率の悪さ。Nginx、PHP-FPM、MariaDBなどの標準的な構成で、特別な知識は不要。今後はメール一斉送信時の負荷も検証予定。自社ホスティングはオープンソースで実現可能。
ITニュース解説
WordPressを自分でサーバーに構築(Self-hosting)する、ということについて解説する。WordPressは、ウェブサイトやブログを簡単に作成・管理できるソフトウェアだ。多くの人がレンタルサーバーを利用してWordPressを運用しているが、自分でサーバーを用意してWordPressを構築することも可能だ。
今回の記事では、ある企業が、高額なマネージドWordPressホスティングから、自分で用意した専用サーバーにWordPressを移行した事例を紹介している。移行前は、月額400ドルのマネージドホスティングを利用していたが、サイトのパフォーマンスが悪く、アクセスが集中する時間帯にはダウンすることもあった。
そこで、月額220ドル程度のRyzen 9 9900XというCPUを搭載した専用サーバーを用意し、WordPressを移行した。移行後、1週間のトラフィック状況を調べたところ、サーバーの負荷は非常に低く、データベースの負荷も4コアのうち40%程度だった。キャッシュされていないページの平均応答時間は534ms、キャッシュされているページの平均応答時間は19msと、パフォーマンスが大幅に改善された。
このサイトは、WooCommerceというWordPressのプラグインを使ってオンラインストアを運営しており、有料のプラグインもいくつか導入されている。また、マーケティング関連のツールも利用されている。移行前は、マネージドホスティングの制限により、キャッシュ系のプラグインであるWP Rocketを利用できなかったが、移行後は自由に利用できるようになった。
サーバーの構成は、NginxというWebサーバー、PHP-FPMというPHPの実行環境、MariaDBというデータベースを利用した、一般的な構成だ。特別な技術は使われていない。
この記事の筆者は、WordPressのSelf-hostingに関するコースを制作しており、すでに18の無料レッスンを公開している。
Self-hostingのメリットは、主に以下の点が挙げられる。
コスト削減: レンタルサーバー、特にマネージドWordPressホスティングは、手軽にWordPressを始められる反面、費用が高額になる場合がある。自分でサーバーを用意すれば、サーバー代だけで済むため、大幅なコスト削減が期待できる。
自由度の高さ: レンタルサーバーでは、サーバーの設定や利用できるプラグインに制限がある場合がある。Self-hostingであれば、サーバーの設定を自由にカスタマイズでき、好きなプラグインを利用できる。
パフォーマンスの最適化: サイトの規模やアクセス数に合わせて、サーバーのスペックを自由に選択できる。また、キャッシュの設定やデータベースのチューニングなど、パフォーマンスを最適化するための設定も自由に行える。
一方で、Self-hostingにはデメリットもある。
技術的な知識が必要: サーバーの構築や設定、WordPressのインストールなど、ある程度の技術的な知識が必要となる。
運用・保守の責任: サーバーのセキュリティ対策やバックアップ、トラブルシューティングなどを自分で行う必要がある。
今回の記事の事例では、高額なマネージドWordPressホスティングからSelf-hostingに移行することで、コストを削減しつつ、パフォーマンスを大幅に改善することができた。ただし、Self-hostingは、技術的な知識や運用・保守の責任が伴うため、初心者にはハードルが高いかもしれない。
システムエンジニアを目指す人がWordPressのSelf-hostingを学ぶことは、サーバーの構築や運用に関する知識を深める上で非常に有益だ。Webサーバー、データベース、PHPなどの技術を習得する良い機会になるだろう。また、クラウドサービスを利用してSelf-hostingを行うことで、クラウド技術の知識も習得できる。
Self-hostingは、WordPressの可能性を広げるだけでなく、システムエンジニアとしてのスキルアップにもつながる。