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【ITニュース解説】Skill-Based Matchmaking: Why It Feels Like Your Games Are Out to Get You

2025年09月12日に「Medium」が公開したITニュース「Skill-Based Matchmaking: Why It Feels Like Your Games Are Out to Get You」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

オンラインゲームでは、プレイヤーの腕前に合わせて対戦相手を自動で選ぶ「スキルベースマッチメイキング」が使われている。この仕組みは、上達するほど強い相手とマッチングさせるため、常に苦しい戦いになり、「ゲームに狙われている」と感じさせやすい。

ITニュース解説

オンラインゲームを楽しんでいる最中に、なぜか自分だけが不利な状況に追い込まれている、あるいはゲームが自分に意地悪をしているように感じることはないだろうか。特に、連勝した後に突然、異様に強い相手とばかり当たるようになったり、味方が連携せず、相手がプロゲーマーのように感じる状況に陥ったりする経験は多くのオンラインゲーマーにとって身に覚えがあるだろう。この感覚の裏側には、「スキルベースマッチメイキング(SBMM)」と呼ばれるシステムが大きく関わっている。

スキルベースマッチメイキングとは、簡単に言えば、プレイヤーのスキルレベルを数値化し、その数値が近いプレイヤー同士をマッチングさせて公平な試合を提供するシステムのことである。このシステムの主な目的は、プレイヤーのエンゲージメント(没入度)と定着率を高めることにある。初心者は常に強い相手と当たってばかりだとすぐにゲームをやめてしまうし、上級者も弱すぎる相手ばかりだと飽きてしまう可能性がある。そこでSBMMは、それぞれのプレイヤーにとって適度な難易度の試合を提供することで、誰もがゲームを長く楽しめるように設計されている。これは、システムを設計する上で、ユーザー体験を最適化するための重要な考え方の一つである。

では、具体的にSBMMはどのようにプレイヤーのスキルを判定し、マッチングを行っているのだろうか。その根幹にあるのは、プレイヤーの行動データを収集し、分析する仕組みである。まず、プレイヤーのスキルを数値化するために「スキルレーティング」というものが用いられる。これは、チェスの「Eloレーティング」や「Glickoレーティング」のようなアルゴリズムを応用したもので、プレイヤーの勝敗だけでなく、試合中のキル/デス比、アシスト数、オブジェクトへの貢献度、与えたダメージ量、受けたダメージ量など、多岐にわたるデータが評価基準として使われる。システムはこれらの膨大なデータを常に収集し、機械学習などの技術を用いてプレイヤーの真のスキルレベルを推定し、レーティング値を更新し続けている。つまり、単に勝ったか負けたかだけでなく、どのようにプレイしたかまでが詳細に分析されているのだ。

次に、このスキルレーティングに基づいて、マッチメイキングアルゴリズムが動作する。これは、スキルレーティングが近いプレイヤー同士を素早く見つけ出し、できるだけ公平なチームを編成する役割を担う。システムは、オンラインになっている多数のプレイヤーの中から、スキルレーティングの差が最小になるような組み合わせを探索し、試合を成立させる。このとき、プレイヤーの地理的な位置(ping値などのネットワーク遅延)、過去のプレイ履歴、さらにはゲーム内での行動パターンなども考慮されることがある。例えば、長期間プレイしていないプレイヤーや、最近課金したプレイヤーなど、特定の条件を持つプレイヤーを優先的にマッチングさせることで、ゲームへの復帰を促したり、さらなるエンゲージメントを引き出したりすることも考えられる。これらの裏側の処理は、膨大なデータをリアルタイムで分析し、最適な結果を導き出すための高度なデータ処理とアルゴリズム設計の賜物である。

しかし、この公平さを追求するSBMMの仕組みこそが、プレイヤーが「ゲームに狙われている」と感じる原因となる。その最大の要因は「勝率50%への収束」である。あなたが連勝してスキルが上がると、システムはあなたのスキルレーティングを高く評価し、より強い相手、あるいは同レベルの非常に熟練したプレイヤーをマッチングさせるようになる。その結果、次の試合では勝利が難しくなり、連敗することも増えるだろう。逆に連敗してスキルレーティングが下がると、システムはあなたを低いスキルと判断し、比較的弱い相手をマッチングさせることで、再び勝てる機会を与える。このサイクルを繰り返すことで、長期的にはプレイヤーの勝率が常に50%前後に収束するように感じるのだ。つまり、システムは意図的にプレイヤーの成績を調整しているわけではなく、常に最適な挑戦を提供しようとしているに過ぎない。

また、プレイヤーが上達すればするほど、システムもそれに応じてより強力な相手を割り当てるため、プレイヤーは常に全力でプレイし続ける必要に迫られる。せっかく練習して上達したと感じても、すぐにそのスキルに見合った手強い相手と当たるようになるため、成長を実感しにくく、むしろ常に同じような「きつい」試合ばかりしているように感じてしまう。これは、システムがプレイヤーのレベルアップを正確に追跡し、それに見合った挑戦を継続的に与えている結果であり、プレイヤーの心理的な負担となることもある。リラックスしてカジュアルに遊びたい時でも、常に高レベルの対戦を強いられるため、ゲームが「作業」のように感じられることもあるだろう。

このようなSBMMのメカニズムは、いくつかの課題も生み出している。例えば、スキルレベルが大きく異なる友人同士が一緒にプレイしようとする場合、SBMMはスキルが高い方に合わせてマッチングを行うため、スキルが低い友人は常に格上の相手と戦わされ、楽しめないという問題がある。また、前述の通り、常に全力プレイが求められるため、単純に「遊びたい」という感覚が薄れ、疲労感につながることもある。システムは公平さを追求しているが、それが必ずしも「楽しさ」や「自由なプレイ」につながるとは限らないのだ。

スキルベースマッチメイキングは、オンラインゲームの裏側で膨大なデータ分析と高度なアルゴリズムが機能している典型的な例である。プレイヤーが「ゲームに狙われている」と感じる原因は、システムがプレイヤーのスキル変化に動的に対応し、常に最適な挑戦を提供しようとする動作原理にある。これは、システムエンジニアを目指す上で、IT技術がどのようにユーザーの体験や感情に影響を与えるか、そして「公平性」や「最適化」といった概念が実際のシステムでどのように実現されているかを理解するための良いケーススタディとなるだろう。

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