【ITニュース解説】Strands Agents で「クエリ分解」と「クエリ拡張」を行うツールを定義し、生成 AI の回答精度向上を図る
2025年09月14日に「Qiita」が公開したITニュース「Strands Agents で「クエリ分解」と「クエリ拡張」を行うツールを定義し、生成 AI の回答精度向上を図る」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Strands Agents SDKを使い、生成AIの回答精度を上げる方法を解説。AIが質問(クエリ)を正確に理解できるよう、「クエリ分解」で質問を細分化し、「クエリ拡張」で関連情報を補うツールを作る。これにより、AIはより的確な答えを出せるようになる。
ITニュース解説
生成AIは私たちの生活や仕事に大きな変革をもたらしているが、その回答の精度は常に完璧というわけではない。特に複雑な質問や情報が不足している質問に対しては、期待通りの答えが得られないこともある。このような生成AIの課題を解決し、その回答精度を向上させるための強力なアプローチの一つに、Strands Agentsと呼ばれるフレームワークがある。Strands Agentsは、AIがユーザーの要求をより正確に理解し、適切な情報を用いて回答を生成するための仕組みを提供する。
Strands Agentsの核心は「エージェント」という概念だ。エージェントは、ユーザーから与えられた指示や質問を解釈し、その目的を達成するために様々な「ツール」を適切に使いこなすプログラムである。このようなエージェントは、ユーザーの要求を分析し、必要な情報を収集したり、特定の処理を実行したりといった判断を自律的に行う。このエージェントを開発するための土台となるのが、Strands Agents SDK(ソフトウェア開発キット)である。SDKは、プログラマーがエージェントを構築し、多様な機能を簡単に組み込めるようにするための部品や規則をまとめたものだ。Pythonというプログラミング言語を使って、エージェントとそのツールを定義し、生成AIの能力を最大限に引き出すシステムを構築できる。
ここで登場する「ツール」は、エージェントの機能を拡張するための重要なメカニズムである。ツールは、特定のタスクを実行するための独立した機能単位であり、エージェントが必要に応じて呼び出して利用する。例えば、ウェブサイトから情報を検索するツール、データベースからデータを取得するツール、あるいは特定の計算を行うツールなど、様々な種類が考えられる。これらのツールを適切に組み合わせることで、エージェントは複雑な要求にも対応できるようになる。今回注目するのは、生成AIの回答精度向上に特化した二つの強力なツール、それが「クエリ分解」と「クエリ拡張」である。
まず「クエリ分解」とは、ユーザーからの複雑な質問(クエリ)を、AIが扱いやすい複数の単純な質問に分割するプロセスを指す。人間の会話と同様に、AIも一度に多すぎる情報や複雑な構造の質問は、その意図を正確に把握しにくい場合がある。例えば、「来週の東京の天気と、その天気に合ったおすすめの服装、そしてそれに合うカフェを教えて」という質問は、人間にとっては一連の自然な要求に見えるが、AIにとっては複数の情報源を参照し、それぞれ異なる種類の推論を必要とする複雑なタスクだ。
クエリ分解ツールは、このような質問を受けた際、それを「来週の東京の天気は何か?」「来週の東京の天気に合った服装は何か?」「その服装に合う東京のカフェはどこか?」といった形で、より個別具体的な質問に分割する。これにより、生成AIはそれぞれのサブクエリに対して、より集中して適切な情報を見つけ出し、正確な回答を生成することが可能になる。それぞれのサブクエリへの回答を生成した後、エージェントはそれらを統合し、ユーザーにとって自然で包括的な一つの回答として提示する。これにより、AIが情報を取りこぼしたり、誤った推論をしたりするリスクを大幅に低減できるのだ。
次に「クエリ拡張」とは、ユーザーの質問に含まれていないが、その質問に正確に回答するために必要となる追加情報を、自動的に取得し、元の質問に付加するプロセスを指す。人間は、会話の流れや一般的な知識から、質問の背景にある意図や不足している情報を自然に補完して理解する。しかし、生成AIは与えられた情報のみに基づいて回答を生成するため、質問が曖昧だったり、文脈が不足していたりすると、的確な答えを出すのが難しい場合がある。
例えば、「あの会社の最新情報を教えて」という質問があったとする。この質問だけでは、「あの会社」が具体的にどの会社を指すのか、また「最新情報」とは具体的にどのような種類の情報(株価、ニュースリリース、新製品情報など)を求めているのかが不明確である。クエリ拡張ツールは、このような場合に、過去の会話履歴やユーザーのプロファイル、あるいは一般的なトレンド情報などを参照し、「あの会社とは〇〇株式会社のことである」「最新情報とは、主に株価とプレスリリースに関するものである」といった情報を自動的に補完する。さらに、必要であれば「〇〇株式会社の現在の株価はいくらか」「〇〇株式会社の最新のプレスリリースは何か」といった具体的な追加クエリを生成し、情報を取得することも可能だ。
この追加情報が元の質問に付加されることで、生成AIはより多くの文脈と具体的な指示を得て、曖昧さの少ない、質の高い回答を生成できるようになる。クエリ拡張は、単に情報量を増やすだけでなく、AIが質問の真の意図を把握し、より深いレベルでユーザーのニーズに応えるための重要なステップである。
Strands Agentsにおけるクエリ分解とクエリ拡張のツールは、それぞれ独立して機能するだけでなく、互いに連携し合うことで、さらに大きな効果を発揮する。例えば、複雑な質問がクエリ分解によって複数のサブクエリに分割された後、それぞれのサブクエリに対してさらにクエリ拡張が適用されることで、個々のサブクエリに対する回答の精度が向上する。そして、これらの高精度な部分回答が統合されることで、最終的な生成AIの回答は格段に質の高いものとなる。この一連のプロセスは、ユーザーが意識することなく、バックグラウンドで自動的に実行されるため、ユーザーはまるで非常に賢いAIと対話しているかのような体験を得られる。
システムエンジニアを目指す上で、このような生成AIの精度向上技術を理解することは非常に重要だ。現代のシステム開発では、ユーザー体験の向上、業務効率化、新たな価値創造のためにAIの活用が不可欠となっている。Strands Agentsのようなフレームワークは、AIの潜在能力を最大限に引き出し、より実用的で信頼性の高いAIシステムを構築するための強力な手段となる。クエリ分解やクエリ拡張といった技術は、AIが単に情報を出力するだけでなく、ユーザーの意図を深く理解し、文脈に応じた適切な対応を可能にするための基盤技術であり、これからのAI開発において中心的な役割を担うことになるだろう。このような技術を習得し、活用することで、未来のAIシステム開発に貢献できるシステムエンジニアとなる道が拓ける。