【ITニュース解説】That Decision Makes No Sense!
2025年09月25日に「Dev.to」が公開したITニュース「That Decision Makes No Sense!」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
プロジェクトにおける「入札」のような一見不合理な決定に不満を抱くことがある。しかし、それは無数の意思決定の積み重ねの結果だ。誰が、いつ、どんな情報で決定したかを分析し、そのプロセスを改善することで、プロジェクトの質と成功率が向上する。
ITニュース解説
システム開発の仕事では、多くの場合、顧客からの依頼に対して、どのようなシステムを作るか、どれくらいの期間と費用がかかるかなどをまとめた「提案書」を提出し、その内容で評価される。この提案活動は「入札(bid)」と呼ばれることもある。企業がどのプロジェクトの入札に参加するか、あるいは参加しないかという決定は、その後の仕事の成否を大きく左右する重要なものだ。しかし、この「入札参加・不参加」の決定、通称「bid/no-bid」の決定について、関係者から「なぜこのプロジェクトに参加するのか理解できない」「勝てそうもないのに時間と労力を無駄にしている」といった不満の声が上がることがしばしばある。
記事の筆者も、過去にはこうした「理解できない」決定に対し、不満を抱き、時には大声で抗議することもあったと語っている。しかし、最近になって筆者は物事を異なる視点から捉えるようになった。確かにbid/no-bidの決定は非常に重要である。だが、それは入札活動全体の中で行われる何百もの意思決定の一つに過ぎないのだと。
システム開発の提案書を作成する過程には、数えきれないほどの小さな意思決定が積み重なっている。例えば、提案の基本的な戦略をどのように立てるか、提案書全体の構成や物語の流れをどうするかといった大きな決定から、人工知能が作成した下書きを修正して一つの文章を完成させるような細かい決定まで、全てがある誰かの意思決定の結果として存在している。突き詰めれば、最終的に顧客に提出される提案書という成果物は、その作成過程で行われた全ての意思決定の総体であると考えることもできるだろう。
もし、この多数の意思決定のほんの一部でも、その質を向上させることができたらどうなるだろうか。個々の意思決定の精度が少しでも上がれば、よりスムーズな提案活動が可能になり、結果として、より多くのプロジェクトを受注できる可能性が高まるのではないか。つまり、単に「何をするか」「何を生み出すか」といった行動や成果物だけに注目するのではなく、それらの行動や成果物を生み出す根本にある「意思決定」にもっと注意を払うべきだという提案だ。
では、どのようにすれば意思決定の質を高められるのか。筆者は、自身の組織で行われている意思決定に対し、具体的な問いを投げかけることを勧めている。
まず、「適切な人物が適切な意思決定をしているか」という問いだ。プロジェクトの状況や専門性に応じて、最も適切な知識と経験を持つ人物が決定に関わっているかを確認する。
次に、「それぞれの意思決定の責任者は明確か」という点も重要だ。誰がその決定を下す権限と責任を持つのかが曖昧な場合、意思決定が滞ったり、誰も責任を取らない「宙に浮いた決定」が生まれてしまったりする。
さらに、「意思決定を行う人物は、適切な情報、スキル、そして権限を持っているか」も問われるべきだ。情報が不足していたり、必要なスキルがなかったり、あるいは決定を実行するための権限が与えられていなかったりすれば、質の高い決定を下すことは難しい。
「彼らは入札活動中、あるいはその前に、適切なタイミングで決定を行っているか」も重要な視点だ。決定が早すぎても遅すぎても問題が生じる。必要な情報が出揃い、かつ手遅れにならない最適なタイミングで決定が行われるべきだ。
また、「良質な意思決定を行うための枠組みやプロセスを持っているか」という問いも欠かせない。場当たり的な判断ではなく、一定の基準や手順に沿って意思決定を行う仕組みがあれば、より一貫性があり、質の高い決定が期待できる。
そして、「彼らは意思決定を行い、それに基づいて行動することに対し、権限を与えられていると感じ、心理的に安全であると感じているか」という問いは、組織文化の側面から意思決定の質を問うものだ。チームメンバーが恐れることなく意見を述べ、たとえ失敗しても許容されるような環境がなければ、自由な発想に基づく革新的な意思決定は生まれにくい。
最後に、「意思決定のボトルネックや、誰も意思決定していない空白地帯はどこにあるか」という問いは、組織内の意思決定プロセスにおける問題点を洗い出すために役立つ。どこで意思決定が滞っているのか、あるいは重要な決定が放置されているのかを特定することで、改善の糸口が見つかる。
私たちは、顧客が製品やサービスを選ぶ際の意思決定プロセスを分析することには慣れている。誰が最終的な決定者なのか、情報へのアクセスを管理するゲートキーパーは誰か、意思決定に影響を与えるインフルエンサーは誰か、といったことを特定し、顧客の選択を形作るための戦略を立てる。しかし、筆者はこの厳密な分析を、自分たちの組織内の意思決定プロセスにどれだけ適用できているかと問いかけている。顧客の行動を深く理解するのと同じくらい、自組織の意思決定の仕組みを理解することが重要だというのだ。
この考え方を実践するために、筆者は「意思決定監査(Decision Audit)」を行うことを提案している。これは、最新の入札活動を振り返り、どの決定を誰が、いつ、どのように、そしてなぜ行ったのかを詳細にマッピングする作業だ。この監査を実施すれば、間違いなく意思決定の仕組みを改善するための多くの機会が見つかるだろうと筆者は確信している。
意思決定監査を通じて、チームメンバーがより自信を持って良い意思決定を行えるようにするための方法を発見できるかもしれないし、あるいは、より多くの決定を彼らに委譲する方法が見つかるかもしれない。また、組織にとって本当に集中すべき重要な意思決定はどれであり、そうでないものはどれかをより明確に特定できるようになる。さらに、bid/no-bidのような組織にとって非常に大きな決定に対しても、どのようにすればより効果的に影響を与えられるかをより明確に理解できるようになるだろう。
要するに、入札活動が構築されている「意思決定のアーキテクチャ」、つまり意思決定の構造そのものを改善することで、提出される提案書自体の質と効果を高めることができるのだ。だから、筆者は今、理解できないbid/no-bidの決定を聞いても、以前のように感情的に怒鳴ることはしないと語る。代わりに、誰がその決定を下したのか、どのように、そしてなぜそのような決定になったのかを冷静に問いかけ、次回以降、より良い決定を下すために自分に何ができるかを考えるようになったのだ。これは、システム開発プロジェクトにおける提案活動の成功、ひいては企業の成功に直結する、非常に実践的かつ重要な視点転換であると言えるだろう。