【ITニュース解説】A TikTok deal may finally be happening
2025年09月16日に「Engadget」が公開したITニュース「A TikTok deal may finally be happening」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
米国と中国が、TikTokの米国での事業について売却の枠組みに合意した。中国企業のByteDanceが所有するTikTokは、米国で安全保障上の問題が指摘され、事業売却が求められていた。トランプ大統領も関係者と協議予定で、最終的な解決に近づいている。
ITニュース解説
TikTokは、短い動画コンテンツを共有することで世界中のユーザーから絶大な人気を集めるソーシャルメディアアプリである。しかし、特に米国では、その親会社が中国企業であるという理由から、長らく存続が危ぶまれる状況が続いていた。今回報じられたニュースは、米国と中国の間でTikTokの将来に関する「枠組み合意」が成立した可能性を示唆しており、この複雑な問題に進展があった。
TikTokが米国の国家安全保障上の問題とされてきたのは、親会社であるByteDanceが中国企業であるためだ。米国政府は、中国企業の傘下にあるTikTokが米国のユーザーに関する膨大なデータ(個人の視聴履歴、位置情報、メッセージなど)を収集し、それが中国政府にアクセスされる可能性を懸念していた。もし中国政府が米国民のデータにアクセスできれば、スパイ活動や世論操作に悪用される恐れがある、というのが主な懸念点だ。データの所有権やアクセス権限がセキュリティリスクに直結する現代のITサービスにおいて、この問題は重く見られていた。
この懸念を受け、米国政府はTikTokの米国事業をByteDanceから切り離し、米国の企業に売却するよう長らく求めてきた。これまでの経緯は複雑である。2020年8月、当時のトランプ大統領は、TikTokをByteDanceから売却しなければ米国での利用を禁止する大統領令を発令したが、その執行は裁判所によって一時的に停止され、TikTokはサービスを継続できた。
その後も米国政府の圧力は続いた。2024年には米国の議会が「Protecting Americans from Foreign Adversary Controlled Applications Act(PAFACA)」という法律を可決し、外国政府に管理されるアプリを米国で禁止する権限を大統領に与えた。バイデン大統領が署名し成立したこの法律は、TikTokを米国から締め出す法的根拠をより強固にした。しかし、トランプ政権は、法的な強制措置による全面禁止ではなく、米国の企業による売却を通じて解決を図ることを望み、PAFACA法の執行をこれまで繰り返し延期してきた。この売却の最終期限は、これまで何度も延長され、直近では今年の9月17日と定められていた。
今回、この期限を目前にして、大きな進展が報じられた。米国の財務長官スコット・ベッセントは、中国のカウンターパートとの会談後、米国と中国がTikTokに関する「枠組み合意」に達したと発表した。ベッセント長官は、「これは二つの民間企業間の話だが、商業的な条件については合意に達した」と述べている。この発言は、米国政府と中国政府が直接売買契約を結んだわけではなく、ByteDanceと米国の買収希望企業との間で、買収に関する基本的な商業条件が合意されたことを示唆する。トランプ大統領も、この件を含めて中国の習近平国家主席と近日中に会談する予定があり、政治的な側面からもこの合意の重要性が伺える。
しかし、この「枠組み合意」は、TikTokの米国事業の売却が最終的に決定し、契約が締結されたことを意味するものではない。あくまで、買収の基本的な道筋や条件に関する合意ができた段階に過ぎない。これまで、オラクルやマイクロソフトといった米国の大手IT企業が、TikTokの米国事業の買収に強い関心を示してきた。米国政府は、「非常にアメリカ的な企業」がTikTokを買収することを望んでおり、買収後のTikTokが米国の法律とデータ保護基準の下で運営され、ユーザーデータが安全に管理されることを強く望む。買収後のデータ管理やセキュリティ体制がどうなるかは、この問題の核心をなす。
今後の焦点は、この枠組み合意に基づいて実際に最終的な買収契約が締結されるか、そして9月17日という売却期限がさらに延長されるかという点にある。米国の通商代表ジェイミソン・グリアは、最終合意を成立させるためには、さらなる期限の延長が必要となる可能性を示唆している。この一連の動きは、単なる企業の買収問題にとどまらず、国際政治、国家安全保障、データプライバシー、そしてグローバルなデジタル経済のあり方といった、多岐にわたる複雑な現代的課題だ。