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【ITニュース解説】The US version of TikTok might still use the Chinese algorithm

2025年09月16日に「Engadget」が公開したITニュース「The US version of TikTok might still use the Chinese algorithm」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

米国版TikTokは、米中間の新たな取引により、これまで懸念されていた中国製アルゴリズムを今後も利用する可能性が高まった。米国投資家が制御するが「中国の特性」は残るとされ、アルゴリズムの利用が国際的な課題となる事例を示している。

ITニュース解説

TikTokは、短尺動画で世界中のユーザーを魅了する人気のアプリケーションだが、その運営を巡っては、特に米国と中国の間で複雑な問題が起きている。この問題の中心にあるのが、TikTokの心臓部とも言える「アルゴリズム」だ。最近の報道では、米国版のTikTokが、中国で開発されたアルゴリズムを使い続ける可能性が出てきた。これは、これまで米国政府が強く求めてきた、TikTokを中国企業から切り離すという方針からの大きな転換点となり得る。

システムエンジニアを目指す上で、アルゴリズムという言葉は非常に重要だ。アルゴリズムとは、ある目的を達成するための具体的な手順や計算方法を定めたものだ。TikTokの場合、このアルゴリズムが「おすすめ」フィードの動画を選び出し、ユーザー一人ひとりに最適化されたコンテンツを次々と表示する役割を担っている。例えば、あなたが犬の動画をよく見ると、TikTokのアルゴリズムはそれを学習し、次に開いたときにはより多くの犬の動画を推薦する。この高度なパーソナライゼーション機能こそが、TikTokがこれほどまでに多くのユーザーを惹きつけ、長時間アプリに釘付けにする理由であり、その成功の最大の要因となっている。このアルゴリズムは、膨大なユーザーデータに基づいて常に進化しており、企業にとってかけがえのない知的財産だ。

米国政府、特に当時のトランプ政権は、TikTokの中国企業による所有と、そのアルゴリズムの運用方法について深刻な懸念を抱いていた。主な懸念は、米国ユーザーの個人データが中国政府に渡る可能性や、中国政府がアルゴリズムを通じて米国ユーザーに特定の内容を推奨したり、検閲したりする可能性があるという国家安全保障上のリスクだった。そのため、米国政府はTikTokに対し、米国事業を中国企業から売却するか、さもなければ米国での利用を禁止するという強い圧力をかけていた。これは、中国の技術から米国市場を切り離し、米国国民のデータと情報を保護するという目的があったからだ。

このような背景の中で、今回の報道は注目に値する。中国の国家インターネット規制当局の担当者は、米国との間で進められているTikTokに関する取引には、「アルゴリズムおよびその他の知的財産権のライセンス供与」が含まれると述べた。つまり、米国版TikTokが中国で開発されたアルゴリズムを、ライセンス契約を通じて継続して利用するという内容だ。さらに、米国の財務長官が、米国版TikTokには「いくつかの中国の特性」が残るものの、米国の投資家がその運営を支配することになると発言したことも報じられた。これは、米国政府がこれまで強く求めてきた「中国技術からの完全な分離」という要求に対し、ある程度の妥協を受け入れた形と言える。米国側は、アルゴリズム自体は中国製であっても、データの管理や企業統治は米国側で行うことで、懸念を払拭しようとしているのかもしれない。

これまで、TikTokを巡る混乱の中で、いくつかの米国企業が解決策を提案してきた。例えば、Perplexity AIという企業は、TikTokの米国事業を買収し、米国ユーザー向けにアルゴリズムを完全に再構築することを提案した。アルゴリズムの完全な再構築は、単にコードを書き換えるだけでなく、膨大なユーザー行動データに基づいた学習モデルを一から構築し直すことを意味する。これは、TikTokの成功の鍵である強力な「おすすめ」機能を維持しつつ、まったく新しいアルゴリズムを作り出すという、非常に高度で時間とコストのかかる技術的挑戦だ。また、Oracleという大手テクノロジー企業は、米国版TikTokのユーザーデータの管理責任を担い、さらにTikTokの少数株式を取得するという合意に近づいたこともあった。Oracleは2022年から米国ユーザーのデータを自社のクラウドストレージで保管しており、TikTokのアルゴリズムに対するレビューも実施していた。これは、アルゴリズム自体は中国製であっても、データの保管場所と管理を米国企業が行うことで、データセキュリティの懸念を緩和しようとする試みだった。

システムエンジニアを目指す者にとって、この一連の出来事は多くの学びがある。まず、アルゴリズムがいかに企業の競争力の源泉であり、知的財産として保護されるべきものであるかを示している。次に、インターネットサービスが国境を越えて展開される際、データ主権、プライバシー、セキュリティといった問題がどのように複雑に絡み合い、政治問題に発展しうるかを理解することが重要だ。アルゴリズムの透明性や監査の重要性も、この件を通じて浮き彫りになった。もし政府がアルゴリズムの内容を検証できるのであれば、不正な情報操作の懸念は軽減されるだろう。しかし、それが企業の知的財産とどう両立するかは常に議論の的となる。このように、技術は単なる開発や運用だけでなく、国際政治や倫理、法律といった広範な分野と深く結びついていることを認識することは、将来のシステムエンジニアにとって非常に価値のある視点となるだろう。

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