イーサネットアダプタ(イーサネットアダプタ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
イーサネットアダプタ(イーサネットアダプタ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
イーサネットアダプタ (イーサネットアダプタ)
英語表記
Ethernet adapter (イーサネットアダプター)
用語解説
イーサネットアダプタは、コンピュータをイーサネット規格の有線ネットワーク、いわゆるLANに接続するために不可欠なハードウェアである。ネットワークインターフェースカード(NIC)やLANカード、ネットワークアダプタなどとも呼ばれる。その最も基本的な役割は、コンピュータ内部で扱われるデジタルデータ(0と1の羅列)を、LANケーブルを流れる電気信号に変換して送信し、逆に受信した電気信号をデジタルデータに変換してコンピュータに渡すことである。物理的には、LANケーブルのコネクタであるRJ-45を差し込むためのポートを備えている。また、個々のアダプタにはMACアドレスと呼ばれる世界で一意の識別番号が製造時に割り当てられており、ネットワーク上でどのコンピュータからのデータなのかを識別するために用いられる。これにより、同一ネットワーク内に存在する多数の機器の中から、特定の相手を指定してデータを送受信することが可能となる。現代のコンピュータでは、この機能はマザーボード上に標準で組み込まれている(オンボード)ことがほとんどであるが、より高速な通信が必要な場合や、故障時の交換、ポート数を増やす目的で、拡張カードとして増設されたり、USBポートに接続する外付けタイプが利用されたりすることもある。
イーサネットアダプタの機能をより深く理解するには、ネットワーク通信のルールを階層化したOSI参照モデルにおける物理層(第1層)とデータリンク層(第2層)の役割に注目する必要がある。まずデータリンク層の機能として、MACアドレスの処理が挙げられる。MACアドレスは48ビットの数値で、前半24ビットがベンダー(製造メーカー)識別子、後半24ビットが各ベンダーが割り当てる固有の番号で構成される。イーサネットアダプタは、上位のネットワーク層から渡されたデータ(パケット)に、宛先のMACアドレスと自身のMACアドレスを含むヘッダ情報、そしてデータが伝送途中で破損していないかを確認するための誤り検出符号(FCS)を付加し、「フレーム」と呼ばれるデータ単位を生成する。ネットワーク上のスイッチングハブは、このフレームの宛先MACアドレスを見て、接続されているどのポートにデータを転送すべきかを判断する。受信側のアダプタは、自分宛のMACアドレスを持つフレームのみを受け取り、FCSを検証してデータに誤りがないかを確認した後、ヘッダ情報などを取り除いて元のデータを上位層に渡す。次に物理層の機能として、データの符号化(エンコーディング)がある。これは、フレームを構成する0と1のデジタルデータを、物理的な伝送媒体であるLANケーブル上で表現可能な電気信号のパターンに変換する処理である。例えば、電圧の高低や変化の仕方で0と1を表現する。この変換ルールはイーサネットの通信規格によって定められており、受信側のアダプタは逆の処理(デコーディング)を行って電気信号をデジタルデータに復元する。また、イーサネットアダプタの性能を決定づける重要な指標に通信速度がある。これは1秒あたりに送受信できるデータ量をビット単位で表したもので、100Mbps(メガビット毎秒)、1Gbps(ギガビット毎秒)、10Gbpsなどが存在する。一般的に家庭やオフィスでは1Gbpsに対応したアダプタが広く普及している。アダプタは接続先のスイッチングハブなどと通信速度や通信方式(全二重/半二重)を自動的に最適なものに設定するオートネゴシエーションという機能も備えている。全二重通信は送信と受信を同時に行える方式で、現在のスイッチングハブ環境では標準となっている。これらのハードウェアとしての機能を、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)が利用できるようにするためには、デバイスドライバと呼ばれる専用のソフトウェアが必要である。ドライバは、OSとイーサネットアダプタの間の通訳のような役割を果たし、OSからの「データを送信せよ」といった抽象的な命令を、アダプタが理解できる具体的な指示に変換する。近年では多くのOSに標準的なドライバが同梱されており、アダプタを接続するだけで自動的に認識され使用可能になることが多い。イーサネットアダプタは、これら複数の階層にまたがる複雑な処理を高速に実行することで、安定したネットワーク通信を実現しているのである。