機能設計 (キノウセッケイ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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機能設計 (キノウセッケイ) の読み方

日本語表記

きのうせっけい (キノウセッケイ)

英語表記

Functional Design (ファンクショナルデザイン)

機能設計 (キノウセッケイ) の意味や用語解説

機能設計は、システム開発において、ユーザーの漠然とした要求を具体的なシステムの機能として定義する重要な工程である。このフェーズでは、システムが「何を」実現するのかを明確にし、開発チーム全体で共通の理解を持つための基盤を築く。 機能設計の主な目的は、要件定義で洗い出された「ユーザーがシステムで実現したいこと」を、具体的なシステムの操作や処理、画面表示といった形で表現することである。システム開発では、まずユーザーや顧客からの要望を聞き取り、それらを「要件」としてまとめる「要件定義」という工程を行う。この要件定義が「顧客が何をしたいのか」を明確にするフェーズだとすれば、機能設計は「その『したいこと』をシステムとして『どういう機能で実現するか』」の「機能」の部分を具体的に記述する。例えば、「商品を検索したい」という要件に対して、機能設計では「商品名、カテゴリ、価格帯などの条件で商品を絞り込み、一覧表示する機能」のように、より詳細な形で定義する。この工程が適切に行われることで、開発の途中で「思っていたものと違う」といった手戻りを減らし、結果として開発期間の短縮やコスト削減、ひいては高品質なシステム構築に繋がるため、その重要性は非常に高い。 機能設計では、システムが提供する個々の機能について、その振る舞いやユーザーとのやり取りを詳細に記述していく。具体的には、以下の要素を設計の対象とする。 まず、**機能の特定と定義**を行う。システムが持つべき主要な機能、例えば「ユーザー認証」「商品検索」「注文処理」「顧客情報管理」などを明確にし、それぞれの機能がどのような役割を持ち、どのような目的で利用されるのかを定義する。 次に、**入力と出力の設計**を進める。各機能に対して、どのような情報が入力され、どのような情報が出力されるのかを具体的に記述する。入力としてはユーザーが画面から入力するデータや外部システムからの連携データがあり、出力としては画面表示、レポート、他のシステムへ渡されるデータなどがある。それぞれのデータ項目名、データ型、桁数、入力形式、出力形式などを定める。例えば、ユーザー登録機能であれば、入力として「氏名」「メールアドレス」「パスワード」などを、出力として「登録完了メッセージ」「エラーメッセージ」などを設計する。 さらに、**画面・インターフェースの設計**も重要な要素である。ユーザーがシステムを操作する際に利用する画面や、他のシステムと連携する際のインターフェースについて設計する。画面設計では、各機能に対応する画面のレイアウト、配置されるボタンや入力欄、表示される情報の種類と位置、そして画面間の遷移の流れ(どの画面からどの画面へ移動できるか)などを定義する。細かなデザインや色遣いは別途専門家が担当することもあるが、機能として必要な情報や操作の要素はここで明確にする。外部システム連携インターフェースの場合は、API(Application Programming Interface)の仕様を定義し、どのような情報を受け渡し、どのような処理を行うのかを記述する。 そして、各機能の**処理ロジック(大まかな流れ)の設計**を行う。これは、一つの機能が実行される際に、内部でどのような手順で処理が進むのか、どのような条件で分岐し、どのような繰り返し処理が行われるのかを明確にする作業である。データの取得、計算、更新、削除といった一連の流れを図や文章で表現し、機能が持つべき振る舞いを詳細に記述する。 また、**機能に必要なデータ構造の設計**もここで行われる。データベースに保存するデータの設計(データモデリング)は別途詳細設計で行われるが、機能を実現するためにどのような情報が必要で、それらがどのような関係性を持つのか、主要なエンティティ(実体)と属性(プロパティ)を明確にする。 これらの設計を進める過程で、性能やセキュリティ、可用性といった**非機能要件**も考慮に入れる必要がある。例えば、検索機能の設計では、大量のデータがあっても迅速に応答できるような検索条件やアルゴリズムを考慮したり、ユーザー認証機能では不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策を組み込んだりするなど、機能が満たすべき品質レベルを意識して設計を進める。 機能設計の成果物としては、これらの内容をまとめた「機能仕様書」が中心となる。これには、システムが提供する機能の一覧、それぞれの機能の詳細な説明、入力・出力データ項目、画面遷移図、画面イメージ(ワイヤーフレーム)、処理フローなどが含まれる。これらの成果物は、開発チームのメンバーだけでなく、顧客や関係者との間でシステムの振る舞いに対する共通認識を形成するための重要なドキュメントとなる。 機能設計を進める上では、常にユーザー視点を持ち、実際にシステムを使う人がどのように操作し、どのような情報を得たいのかを意識することが肝要である。また、設計内容は誰が読んでも誤解が生じないように明確かつ具体的に記述し、システム全体で一貫性を持たせる必要がある。技術的な実現可能性や、プロジェクトの予算・期間といった制約も考慮に入れながら、現実的かつ最適な機能を設計していくことが求められる。この工程は、一度決定すれば終わりというものではなく、開発の進行や状況の変化に応じて、顧客や開発メンバーと密にコミュニケーションを取りながら、必要に応じて見直しや調整を行う柔軟な姿勢も重要となる。良質な機能設計は、その後の開発工程のスムーズな進行を保証し、最終的なシステム品質を大きく左右する要因となる。

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