LFU(エルエフユー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

LFU(エルエフユー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

頻繁に使われる順 (ヒンパンニツカワレルジュン)

英語表記

LFU (エルエフユー)

用語解説

LFUは、Least Frequently Usedの略称であり、コンピュータシステムにおけるキャッシュアルゴリズムの一種である。キャッシュとは、一度利用したデータを、より高速にアクセスできる記憶領域に一時的に保存しておく仕組みのことである。CPUキャッシュやWebブラウザのキャッシュ、データベースのクエリキャッシュなど、様々な場面で利用されている。キャッシュの記憶容量は主記憶装置などに比べて小さく、限られているため、どのデータをキャッシュに保持し、どのデータを追い出すかを決定するためのルール、すなわちキャッシュアルゴリズムが必要となる。LFUは、そのルールの一つであり、「最も参照された回数が少ない(最も頻繁に使用されていない)データを追い出す」という考え方に基づいている。この戦略により、頻繁にアクセスされるデータを優先的にキャッシュ内に保持し続け、システム全体のパフォーマンス向上に寄与することを目的とする。

LFUアルゴリズムの具体的な動作原理は、キャッシュ内の各データ項目に対して「参照カウンタ」と呼ばれる値を保持することで実現される。このカウンタは、そのデータが参照された回数を記録するためのものである。システムが特定のデータを要求した際、まずキャッシュ内にそのデータが存在するかを確認する。データが存在した場合、これをキャッシュヒットと呼び、そのデータの参照カウンタを1増加させる。一方、データがキャッシュ内に存在しなかった場合、これはキャッシュミスとなり、低速な主記憶装置などからデータを読み込む必要がある。読み込んだ新しいデータをキャッシュに格納する際、もしキャッシュに空き容量がなければ、既存のいずれかのデータを追い出さなければならない。このとき、LFUアルゴリズムは、キャッシュ内に存在する全データの参照カウンタを比較し、その値が最も小さいデータ、つまり最も参照頻度が低いデータを追い出しの対象として選択する。そして、そのデータが占めていた領域に新しいデータを格納し、新しいデータの参照カウンタを1に初期化する。もし、参照カウンタが最小のデータが複数存在した場合には、その中からどのデータを追い出すかを決めるための追加のルールが必要となる。一般的には、そのような状況ではLRU(Least Recently Used)アルゴリズムの考え方を適用し、最も古くからキャッシュに存在するデータや、最後に参照されてからの経過時間が最も長いデータを追い出すといった方法が採用される。

LFUアルゴリズムの最大の利点は、長期的なアクセスパターンに基づいてキャッシュの効率を最大化できる点にある。一度だけ集中的にアクセスされた後、二度と使われないようなデータよりも、継続的に何度もアクセスされるデータをキャッシュに保持し続けることができる。例えば、一度だけ読み込まれる巨大なログファイルよりも、アプリケーションが頻繁に参照する設定データの方が重要である場合、LFUはその設定データをキャッシュに留めようと働く。これにより、一時的なアクセスのバーストによって本当に重要なデータがキャッシュから追い出されてしまうことを防ぎ、安定したキャッシュヒット率を維持することが期待できる。

しかし、LFUにはいくつかの欠点や課題も存在する。第一に、実装が比較的複雑であるという点が挙げられる。各データ項目の参照カウンタを管理し、追い出し時には全データのカウンタを比較する必要があるため、単純なアルゴリズムであるLRUなどと比較して、計算コストやメモリ使用量が増加する傾向がある。特に、カウンタを効率的に管理するためのデータ構造(例えば、ハッシュマップと優先度付きキューの組み合わせなど)は、実装の難易度を高める要因となる。第二に、「キャッシュ汚染」と呼ばれる問題が発生する可能性がある。これは、過去に非常に高い頻度で参照されたデータが、その後全くアクセスされなくなったとしても、その高い参照カウンタのためにキャッシュ内に長期間居座り続けてしまう現象である。この古いデータがキャッシュ領域を占有し続けることで、新しく追加された、これから頻繁にアクセスされるであろうデータがキャッシュに入る機会を奪ってしまい、結果的にキャッシュヒット率を低下させる原因となり得る。

こうしたLFUの欠点を克服するため、いくつかの派生的なアルゴリズムが考案されている。例えば、時間の経過とともに全てのデータの参照カウンタを少しずつ減少させる「エイジング」という概念を導入する方法がある。これにより、過去のアクセス頻度の影響を徐々に薄れさせ、最近のアクセスパターンをより重視することが可能となり、キャッシュ汚染の問題を緩和できる。また、LFUのメモリ使用量と計算コストを削減するために、ブルームフィルタなどの確率的データ構造を用いて参照頻度を近似的に管理する「TinyLFU」や、それにLRUの概念を組み合わせて最近のデータも考慮する「W-TinyLFU」といった、より高度で実用的なアルゴリズムも開発されている。システムエンジニアは、対象となるシステムの特性やデータへのアクセスパターンを十分に分析し、LFUが持つ利点と欠点を理解した上で、LRUやその他のアルゴリズムとの比較検討を行い、最も適したキャッシュ戦略を選択することが求められる。

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