線形リスト (センケイリスト) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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線形リスト (センケイリスト) の読み方

日本語表記

線形リスト (センケイリスト)

英語表記

linear list (リニアリスト)

線形リスト (センケイリスト) の意味や用語解説

線形リストは、プログラミングで用いられる基本的なデータ構造の一つである。複数のデータを一列に並べて管理する点で配列と似ているが、その内部的な仕組みは大きく異なる。線形リストでは、個々のデータを「ノード」と呼ばれる単位で管理する。各ノードは、格納したいデータ本体と、次に連なるノードの場所を指し示す情報(ポインタ)をセットで保持している。このポインタが鎖のように各ノードを連結していくことで、全体として一つの連続したデータの集まりを形成する。この構造により、物理的なメモリ上ではデータがバラバラに配置されていても、論理的には一列に並んだデータとして扱うことが可能となる。データが頻繁に追加されたり削除されたりするような場面で、その真価を発揮するデータ構造である。 線形リストを構成する最小単位はノードである。ノードは主に二つの要素から成る。一つは「データ部」で、数値や文字列、オブジェクトなど、実際に格納したい情報そのものを保持する。もう一つは「ポインタ部」であり、リスト上で次に来るノードのメモリアドレスを格納する。このポインタ部があるおかげで、現在のノードから次のノードへとたどっていくことができる。リストの最後のノード、つまりそれ以上次に続くノードがない場合、そのポインタ部は特別な値(多くの場合、NULLやNoneと呼ばれる)を指し示す。これにより、プログラムはリストの終端を認識することができる。リスト全体を扱う際には、先頭のノード(ヘッド)のアドレスを保持しておくことで、リストのどこからでもアクセスを開始できる。 線形リストにはいくつかの種類が存在し、用途に応じて使い分けられる。最も基本的なものが「単方向リスト」である。これは、各ノードが次のノードへのポインタのみを持つ構造で、リストを先頭から末尾へ一方向にしかたどることができない。構造が単純で実装しやすいのが特徴である。これに対し、「双方向リスト」は、各ノードが次のノードへのポインタに加え、一つ前のノードへのポインタも保持する。これにより、リストを順方向にも逆方向にもたどることが可能となり、特定のノードの直前に新しいノードを挿入したり、あるノードから遡って探索したりする操作が容易になる。ただし、ポインタを一つ多く保持するため、単方向リストよりもノードあたりのメモリ消費量は増加する。さらに、「循環リスト」という種類もある。これは、リストの末尾のノードが先頭のノードを指し示すポインタを持つことで、リスト全体が輪のような構造を形成する。これにより、どのノードからでもリスト全体を巡回することが可能になる。循環リストにも単方向と双方向のバリエーションが存在する。 線形リストの主な操作には、探索、挿入、削除がある。特定のデータを持つノードを探す「探索」操作は、リストの先頭からポインタを順にたどっていく必要がある。これはシーケンシャルアクセスと呼ばれ、リストの長さに比例して時間がかかる。一方、「挿入」と「削除」の操作は線形リストの大きな利点である。新しいノードをリストの途中に挿入する場合、挿入箇所の前後のノードを見つけ出し、それらのポインタを新しいノードに、そして新しいノードのポインタを後続のノードにつなぎ変えるだけで完了する。配列のように後続の要素をすべて一つずつ後ろにずらすといった大規模なデータ移動は発生しない。同様に、ノードを「削除」する場合も、削除対象の前のノードが持つポインタを、削除対象の次のノードを指すように変更するだけで、リストからそのノードを論理的に切り離すことができる。これらの挿入・削除処理は、対象箇所の特定に時間はかかるものの、処理自体はポインタの書き換えのみで済むため非常に高速である。 システム開発において、データを一覧で管理する際には配列も頻繁に利用される。線形リストと配列は、それぞれの特性を理解し、適切に使い分けることが重要である。最大の相違点は、データの追加・削除の効率性である。前述の通り、線形リストはデータの挿入・削除が高速に行えるのに対し、配列は要素の挿入・削除時に後続要素の移動が必要となるため、データ量が多いほど処理に時間がかかる。メモリ管理の観点では、配列は連続したメモリ領域を最初に確保する必要があるが、線形リストは個々のノードをメモリの空いている領域に断片的に配置できるため、柔軟なメモリ利用が可能である。一方で、データへのアクセス速度では配列に分がある。配列はインデックスを指定することで目的のデータに直接アクセス(ランダムアクセス)できるため、処理が非常に速い。しかし、線形リストで特定の要素にアクセスするには、先頭から順にたどる必要があるため、配列に比べて時間がかかる。また、線形リストはデータ本体に加えてポインタ情報を保持するための追加のメモリ領域が必要となる点も考慮すべきである。これらの特性から、データの順序が重要で、かつ挿入や削除が頻繁に発生するような動的なデータセットの管理には線形リストが適しており、データ数が固定的で、要素へのランダムアクセスが多用される場面では配列が適していると言える。システムエンジニアは、扱うデータの性質やアプリケーションの要件に応じて、これらのデータ構造を的確に選択する能力が求められる。

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