MAE(エムエーイー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
MAE(エムエーイー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
平均絶対誤差 (ヘイキンゼッタイゴサ)
英語表記
Mean Absolute Error (ミーン アブソリュート エラー)
用語解説
MAE(Mean Absolute Error)は、統計学や機械学習の分野で、予測モデルの性能を評価するためによく用いられる指標の一つである。日本語では「平均絶対誤差」と訳される。
概要として、MAEはモデルが予測した値と実際の値とのずれ、つまり誤差の大きさを測る指標だ。具体的には、個々のデータ点における予測誤差の絶対値を取り、それらすべての絶対誤差を平均して算出される。これにより、モデルが平均的にどれくらいの大きさの誤差を生み出しているかを定量的に把握できる。誤差の方向(予測が実際の値より大きかったか小さかったか)は考慮されず、ひたすら誤差の「大きさ」のみに焦点を当てる点が特徴的だ。このシンプルさから、MAEは直感的に理解しやすく、モデルの性能を評価する上で広く利用されている。
詳細に入ると、まずMAEの計算方法について説明する。データセットにN個のデータ点があるとする。それぞれのデータ点iにおいて、実際の値(正解値)をy_i、モデルが予測した値をŷ_iとする。このとき、個々のデータ点における予測誤差はy_i - ŷ_iで表される。MAEを計算するためには、この予測誤差の絶対値|y_i - ŷ_i|を各データ点について求め、それらをすべて合計した後、データ点の総数Nで割る。数式で表すと、MAE = (1/N) * Σ |y_i - ŷ_i|となる(ここでΣはi=1からNまでの総和を表す)。この計算により得られる値は、元のデータの単位と一致するため、例えば予測対象が「身長」であればMAEも「cm」といった元のデータの単位で表され、モデルの予測が平均してどれくらいの身長の誤差を持っているのかを直接的に理解できる。
MAEの主な特徴と利点はいくつかある。第一に、その「解釈のしやすさ」が挙げられる。先述の通り、MAEの値は元のデータの単位と同じであるため、得られた数値が何を意味するのかを容易に理解できる。これは、モデルの評価結果を非専門家にも説明する際に非常に有効だ。第二に、「外れ値に対する頑健性(ロバスト性)」がある。MAEは誤差の絶対値を線形に扱うため、一部のデータ点で極端に大きな誤差(外れ値)が発生した場合でも、その影響が他の評価指標(例えばRMSEなど)に比べて相対的に小さい傾向がある。RMSEが誤差を二乗するため、大きな誤差がさらに強調されてしまうのに対し、MAEはそうした強調がない。これにより、外れ値がモデル全体の評価を過度に歪めることを防ぎたい場合に、MAEはより適した指標となり得る。第三に、機械学習モデルの学習過程において「目的関数(損失関数)」として利用されることがある。モデルの学習は、通常、目的関数を最小化するように行われるが、MAEを損失関数として用いることで、外れ値に対してロバストなモデルを構築できる可能性がある。
一方で、MAEにはいくつかのデメリットと考慮すべき点も存在する。一つは「微分可能性の課題」だ。絶対値関数は、誤差が0の地点で微分不可能である。機械学習の最適化アルゴリズムの多く、特に勾配降下法をベースとする手法は、損失関数が微分可能であることを前提としているため、MAEを直接損失関数として用いる場合には、サブ勾配法のような特別な最適化手法を採用したり、Huber損失のように微分可能な近似関数を用いるなどの工夫が必要になることがある。もう一つの考慮点は「誤差の重み付け」に関するものだ。MAEはすべての誤差を等しく扱うため、小さい誤差も大きい誤差も同じ線形スケールで評価する。これにより、例えば予測値が実際の値より大きすぎる誤差と小さすぎる誤差で異なる重要度を与えたい場合や、小さな誤差よりも大きな誤差を特に厳しく評価したい場合には、MAEだけでは不十分な場合がある。
MAEは単独で評価するだけでなく、他の評価指標と比較することで、モデルの特性をより深く理解できる。代表的なものにRMSE(Root Mean Squared Error: 二乗平均平方根誤差)がある。RMSEは誤差を二乗して平均し、その平方根を取る指標だ。RMSEは誤差を二乗するため、MAEよりも外れ値の影響を強く受けるという特徴がある。したがって、RMSEがMAEよりも著しく大きい場合、それはモデルが一部のデータ点で非常に大きな誤差を出している可能性を示唆する。また、R²(決定係数)は、モデルが予測対象の変数の変動をどれだけ説明できているかを示す指標であり、MAEやRMSEが誤差の「絶対的な大きさ」を評価するのに対し、R²は「相対的な説明力」を評価する点で異なる。これらを総合的に見て、モデルの評価を行うのが一般的だ。
システムエンジニアを目指す初心者にとって、MAEは予測モデルの性能を理解するための基本的なツールの一つであり、その計算方法や特性を把握することは非常に重要である。モデルを評価する際には、MAEの値を小さくすることが一つの目標となるが、MAEだけで判断せず、問題の性質やビジネス要件に応じてRMSEやR²など複数の指標を組み合わせて多角的に評価することが、より実践的なアプローチだ。どの指標を重視するかは、解決しようとしている問題の目的や、誤差に対する許容度によって変わることを常に意識すると良いだろう。