円グラフ(エングラフ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

円グラフ(エングラフ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

円グラフ (エングラフ)

英語表記

pie chart (パイチャート)

用語解説

円グラフとは、データの全体に対する割合を視覚的に表現するために用いられるグラフの一種である。一つの円を100%とし、その円を複数の扇形に分割することで、各データ項目が全体の中でどの程度の比率を占めているのかを一目で理解できるように設計されている。システムエンジニアにとって、システムのリソース利用状況、エラー発生の種類別内訳、ユーザー属性の分布など、全体を構成する要素の比重を把握する際に非常に有効なツールとなる。データの特性に応じて適切なグラフを選択する能力は、効果的な情報伝達と意思決定に不可欠であり、円グラフはその中でも特に直感的な理解を促す点で重宝される。

円グラフの構造は、中心を持つ一つの円と、その円を分割する複数の扇形から構成される。円全体は対象とするデータの総和、すなわち100%を表す。各扇形は、個々のデータ項目が総和に占める割合に応じて、その角度と面積が比例するように描画される。例えば、ある項目が全体の25%を占める場合、その扇形は円の360度のうち90度(25%)を占めることになる。各扇形には通常、どの項目を表しているかを示す色分けがなされ、その色と項目の対応関係は凡例(レジェンド)としてグラフの周辺に示される。また、各扇形に直接、項目名、具体的な値、または割合(パーセンテージ)をラベルとして表示することで、より詳細な情報を提供することが可能である。

このグラフは、主にカテゴリデータや名義尺度データを対象とし、全体を構成する要素の割合を示す場合に最も適している。例えば、あるWebサービスのユーザーが利用しているOSの種類や、企業内の部署別の人員構成といったデータにおいて、各カテゴリが全体のどれだけの部分を占めているかを示すのに役立つ。しかし、円グラフには適さないデータの種類も存在する。時系列データのように時間の経過に伴う変化を示す場合や、複数のカテゴリ間の厳密な比較を行う場合、あるいは項目数が非常に多い場合には、視認性が著しく低下し、データの解釈が困難になることがある。多くの項目が存在する場合、類似の項目を「その他」として集約するなど、表示される扇形の数を減らす工夫が必要となる。

円グラフは、様々なツールやプログラミング言語を用いて作成できる。一般的には、Microsoft ExcelやGoogle スプレッドシートのような表計算ソフトウェアにデータを入力し、グラフ作成機能を利用することで容易に生成できる。システム開発の現場では、データベースから抽出したデータをPythonのMatplotlibやSeaborn、JavaScriptのD3.jsやChart.jsといったライブラリやフレームワークを用いて動的に生成し、Webアプリケーションのダッシュボードやレポートとして表示することが一般的である。また、TableauやPower BIのようなビジネスインテリジェンス(BI)ツールを用いることで、複雑なデータセットからインタラクティブな円グラフを素早く作成し、多角的な分析に活用することも可能である。

円グラフの最大の利点は、全体に対する各部分の相対的な比率を直感的かつ迅速に把握できる点にある。特に、一つの項目が他の項目と比較して圧倒的に大きな割合を占める場合や、複数の項目がおおよそ均等に分布している場合など、データの分布傾向を大まかに理解するのに優れている。しかし、厳密な比較には限界がある。例えば、二つの扇形の割合が非常に近い場合、どちらが大きいかを視覚的に正確に判断することは難しい。このような場合、棒グラフのような他のグラフ形式の方が、各項目間の大小関係を正確に比較するのに適している。また、複数の円グラフを並べて比較することも、データの変化や差異を捉える上で視覚的に困難が伴う。そのため、円グラフを使用する際には、その目的とデータの特性を十分に考慮し、必要に応じて他のグラフ形式との併用や代替を検討することが重要である。

システムエンジニアが円グラフを活用する場面は多岐にわたる。例えば、システム監視ツールで取得したデータから、CPU、メモリ、ディスクI/Oといった各種リソースの利用率の内訳を表示し、ボトルネックの特定に役立てることができる。また、Webアプリケーションのアクセスログから、検索エンジン、SNS、直接入力など、トラフィック流入経路の割合を可視化し、マーケティング戦略の改善に貢献することも可能である。バグ追跡システムでは、報告された不具合の種類別(例:機能不具合、UI不具合、性能問題)の割合を示すことで、開発チームが優先すべき対応領域を明確にできる。プロジェクト管理においては、完了済み、進行中、未着手といったタスクのステータス別割合を表示し、プロジェクト全体の進捗状況をメンバー間で共有する際にも活用される。このように、円グラフは情報を整理し、意思決定を支援するための基本的ながら強力なツールとして、IT分野の様々な局面でその価値を発揮する。

関連コンテンツ

円グラフ(エングラフ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説 | いっしー@Webエンジニア