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【ITニュース解説】【PowerShell】Windows標準機能でグラフ描画 〜基本編〜

2025年09月08日に「Qiita」が公開したITニュース「【PowerShell】Windows標準機能でグラフ描画 〜基本編〜」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Python等を導入できない環境でも、Windows標準のPowerShellだけでグラフ作成を自動化する方法を解説。特別なツールのインストールは不要で、日々のデータ可視化やレポート作成の効率化に役立つ基本技術だ。

ITニュース解説

システムの運用管理やデータ分析において、収集した数値データをグラフとして視覚化することは、状況を直感的に把握し、問題の早期発見や傾向分析を行う上で不可欠な作業である。通常、こうしたグラフ作成には表計算ソフトのExcelや、データ分析ライブラリが豊富なPythonといったツールが用いられる。しかし、企業のセキュリティポリシーによっては、サーバーや業務用PCに新しいソフトウェアを自由にインストールすることが許可されていない場合も少なくない。このような制約のある環境でも、日々のレポート作成などを自動化したいというニーズは存在する。その強力な解決策となるのが、Windowsに標準で搭載されているコマンドラインツール「PowerShell」を活用したグラフ描画である。

PowerShellは、単にコマンドを実行するだけのツールではなく、.NET FrameworkというWindowsの基盤技術が持つ豊富な機能を直接利用できる、非常に高機能なスクリプト言語としての側面を持つ。今回解説するグラフ描画も、この.NET Frameworkが提供する機能の一部を利用して実現される。具体的には、「System.Windows.Forms.DataVisualization.Charting」という、グラフ描画専用の機能部品セット(クラスライブラリ)をPowerShellから呼び出して使用する。スクリプトの最初に「Add-Type」というコマンドを使ってこのライブラリを読み込むことで、PowerShell上でグラフを生成し、操作するための様々な命令が利用可能になる。これは、スクリプトに新しい機能を追加するための準備段階と理解するとよい。

PowerShellでグラフを作成するプロセスは、複数の部品(オブジェクト)を順序立てて組み立てていく作業に似ている。まず、グラフ全体を描画するためのキャンバスとなる「Chart」オブジェクトを生成する。これがすべての要素を配置する土台となる。次に、X軸やY軸、目盛り線などを含む、実際にデータがプロットされる四角い領域である「ChartArea」オブジェクトを作成し、先ほどのChartオブジェクトに追加する。そして、グラフの最も重要な要素であるデータそのものを表現するのが「Series」オブジェクトである。例えば、日付ごとの売上データを折れ線グラフで示す場合、このSeriesオブジェクトに対して、X軸の値として日付、Y軸の値として売上金額のペアを一つずつ追加していく。このSeriesオブジェクトもChartオブジェクトに関連付ける必要がある。

グラフの種類は、Seriesオブジェクトが持つ「ChartType」という設定値を変更することで指定する。これを「Line」にすれば折れ線グラフ、「Column」にすれば棒グラフ、「Pie」にすれば円グラフといったように、同じデータを使って様々な形式のグラフを簡単に作成できる。さらに、線の色や太さ、データ点のマーカーの形状やサイズ、棒グラフの塗りつぶしの色など、グラフの見た目に関する細かなカスタマイズも、各オブジェクトが持つ設定値を変更することで自由に行える。

基本的なグラフの骨格とデータが完成したら、より分かりやすい資料にするための要素を追加していく。グラフ全体の内容を示す「Title」オブジェクトを作成してタイトルを設定したり、複数のデータ系列を一つのグラフに描画する場合に、それぞれの系列が何を示しているかを説明する凡例である「Legend」オブジェクトを追加したりすることができる。これらの部品もすべて、最初に作成したChartオブジェクトに追加していくことで、一つの完成されたグラフが構成される。

すべての要素を組み立て終えたグラフは、最終的に画像ファイルとして保存することができる。「SaveImage」という命令を実行し、ファイル名と画像形式(PNG、JPEGなど)を指定するだけで、作成したグラフが画像として出力される。これにより、プログラムで自動生成したグラフをレポート文書に貼り付けたり、監視システムの通知メールに添付したりといった活用が可能になる。

この手法の最大の利点は、Windowsが動作する環境であれば、特別なソフトウェアをインストールすることなく、標準機能だけでデータ可視化の自動化を実現できる点にある。例えば、サーバーのCPU使用率やメモリ使用量を定期的に記録したログファイル(CSV形式など)をPowerShellで読み込み、その内容をグラフ化して日次レポートとして保存する、といった一連の処理をすべて自動化するスクリプトを作成できる。これは、手作業で行っていた定型業務を大幅に効率化し、システムエンジニアがより創造的な業務に集中するための時間を生み出すことにつながる。PowerShellによるグラフ描画は、標準機能の組み合わせで高度な処理を実現する好例であり、この技術を習得することは、システム管理の自動化スキルを向上させる上で非常に有用である。

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