単一障害点(タンイツショウガイテン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

単一障害点(タンイツショウガイテン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

単一障害点 (タンイツショウガイテン)

英語表記

Single point of failure (シングルポイントオブフェイラー)

用語解説

単一障害点(たんいつしょうがいてん)とは、システム全体において、その部分が故障するとシステム全体が停止してしまう箇所のこと。英語ではSingle Point of Failure (SPOF) と呼ばれる。システム全体の信頼性や可用性を評価する上で、非常に重要な要素となる。

システムは、様々な要素が組み合わさって構成されている。例えば、Webサイトを運営する場合、サーバー、ネットワーク機器、データベース、電源設備などが考えられる。これらの要素のうち、一つでも故障するとWebサイト全体が利用できなくなってしまうような箇所が、単一障害点となる。

具体的な例を挙げると、以下のようなものが考えられる。

  • サーバー: Webサイトのプログラムやデータを保存しているサーバーが停止すると、Webサイトにアクセスできなくなる。
  • ネットワーク機器: ネットワークスイッチやルーターなどの機器が故障すると、サーバーとユーザー間の通信が途絶え、Webサイトにアクセスできなくなる。
  • データベース: データベースが停止すると、Webサイトのデータが表示されなくなったり、データの書き込みができなくなったりする。
  • 電源設備: 電源装置が故障すると、サーバーやネットワーク機器が停止し、Webサイト全体が停止する。
  • ロードバランサー: 複数のサーバーにアクセスを分散するロードバランサーが単一で構成されている場合、ロードバランサーが故障すると、すべてのサーバーへのアクセスが遮断される。
  • DNSサーバー: ドメイン名とIPアドレスを紐付けるDNSサーバーがダウンすると、Webサイトにアクセスできなくなる。

単一障害点の存在は、システムの可用性を大きく低下させる。可用性とは、システムが正常に稼働している時間の割合を示す指標であり、可用性が高いほどシステムは信頼性が高いと言える。単一障害点があると、その箇所が故障するだけでシステム全体が停止してしまうため、可用性は著しく低下する。

単一障害点を解消するためには、冗長化という手法が用いられる。冗長化とは、システムを構成する要素を複数用意し、一つの要素が故障しても、別の要素が代替できるようにすること。例えば、サーバーを冗長化する場合、同じ構成のサーバーを複数用意し、一つのサーバーが故障しても、別のサーバーが自動的に処理を引き継ぐように設定する。

冗長化の方法としては、以下のようなものが挙げられる。

  • ハードウェア冗長化: サーバー、ネットワーク機器、電源設備などのハードウェアを複数用意し、冗長構成にする。
  • ソフトウェア冗長化: ソフトウェアレベルで冗長構成を実現する。例えば、データベースを複数のサーバーに複製し、一つのデータベースが故障しても、別のデータベースが処理を引き継ぐようにする。
  • 地理的冗長化: サーバーやデータベースなどのシステムを地理的に離れた場所に設置し、災害などによるシステム全体の停止を防ぐ。

単一障害点を特定し、適切な冗長化対策を施すことは、システムの信頼性向上において非常に重要。システム設計段階から単一障害点の存在を意識し、冗長化構成を検討することが不可欠となる。また、運用段階においても、定期的な監視やメンテナンスを行い、単一障害点となりうる箇所がないかを確認することが重要。

さらに、近年ではクラウドサービスを利用することで、インフラ部分の冗長化をサービスプロバイダーに任せることが可能になっている。ただし、クラウドサービスを利用する場合でも、アプリケーションレベルでの冗長化やデータのバックアップなど、考慮すべき点は存在する。

単一障害点対策は、システムの規模や要件に応じて最適な方法を選択する必要がある。コストや運用負荷なども考慮しながら、適切な冗長化構成を検討することが重要となる。可用性の高いシステムを構築するためには、単一障害点の排除は避けて通れない課題である。

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