ストアドファンクション (ストアドファンクション) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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ストアドファンクション (ストアドファンクション) の読み方

日本語表記

格納関数 (カクノウカン スウ)

英語表記

stored function (ストアードファンクション)

ストアドファンクション (ストアドファンクション) の意味や用語解説

ストアドファンクションとは、データベースシステム内で定義され、保存されるプログラムである。これは特定の処理を実行し、その結果として単一の値を返す機能を持つ。データベースに格納されているデータを操作したり、複雑な計算を行ったりするために利用され、再利用性や性能向上、処理の一貫性確保に大きく貢献する。まるでプログラミング言語で書かれた関数のように、SQL文の中から呼び出して使うことができる点が特徴である。 ストアドファンクションは、データベース管理システム(RDBMS)の内部に格納されるオブジェクトの一つで、SQL文の集合体や手続き型言語(PL/SQL、T-SQLなど)で記述されたプログラムの塊に名前を付けて保存したものである。その主な目的は、特定のビジネスロジックやデータ加工処理をデータベースサーバ側で一元的に管理し、複数のアプリケーションやユーザーから共通して利用できるようにすることにある。 ストアドファンクションの最も重要な特徴は、必ず何らかの値を返す点である。これはプログラミング言語における関数と同様であり、実行結果として単一のスカラー値(文字列、数値、日付など)を呼び出し元に返す。このため、SELECT文のフィールドリスト、WHERE句の条件、HAVING句、ORDER BY句など、SQL式が記述できるほとんどの場所で、あたかも組み込み関数のように直接呼び出して利用できる。例えば、ある商品の価格に消費税を加えて返すファンクションを定義しておけば、SELECT文の中でそのファンクションを呼び出すだけで、簡単に消費税込み価格を取得できる。 再利用性の高さも大きな利点である。一度ストアドファンクションを定義すれば、それ以降は、複数のSQL文、他のストアドプロシージャ、さらには他のストアドファンクションの中からでも、繰り返し呼び出すことができる。これにより、同じロジックを何度も記述する手間が省け、コードの重複が避けられるため、開発効率が向上し、システム全体の保守性も高まる。 パフォーマンスの向上も期待できる。ストアドファンクションはデータベースサーバ上で実行されるため、クライアントアプリケーションが複雑な処理を行う場合に比べて、クライアントとサーバ間のネットワークトラフィックを大幅に削減できる。また、多くのRDBMSでは、ストアドファンクションが初回実行される際にコンパイルされ、以降はコンパイル済みのコードが実行されるため、実行速度が高速化される傾向がある。 処理の一貫性を保ちやすくなる点も重要である。特定の計算やデータ加工のロジックをストアドファンクションとしてデータベースに保存することで、そのロジックが常に同じ方法で実行されることが保証される。これにより、アプリケーションごとに異なる結果が生じるリスクを防ぎ、データの一貫性や正確性を確保できる。また、ロジックに変更が生じた場合でも、ストアドファンクションの定義を変更するだけで、それを呼び出すすべての箇所に反映されるため、保守が容易になる。 ストアドプロシージャとストアドファンクションはしばしば混同されるが、両者には明確な違いがある。ストアドプロシージャは、一連のSQL文や制御フローをまとめたプログラムであり、通常、データベースの状態を変更するような複雑な処理(複数のテーブルへのデータの挿入、更新、削除など)を実行するために用いられる。ストアドプロシージャは値を返さないか、またはOUTパラメータと呼ばれる仕組みを通じて複数の値を返すことができる。対してストアドファンクションは、前述の通り必ず単一の値を返し、主に計算やデータ加工、特定の値の取得といった用途に特化している。また、ストアドプロシージャは『CALL文』などの専用の構文で明示的に呼び出す必要があるのに対し、ストアドファンクションはSQL文の一部として直接組み込んで利用できる点が大きな違いである。 ストアドファンクションの具体的な使用例としては、以下のようなケースが挙げられる。例えば、会員の生年月日を引数として受け取り、現在の年齢を計算して返すファンクション。あるいは、ある商品の購入履歴テーブルを元に、顧客ごとの累計購入金額を計算して返すファンクション。さらには、特定のコード値を引数として受け取り、それに対応する名称を返すような、マスタデータの変換処理にも利用できる。これらの処理は、アプリケーション側で実装することも可能だが、データベース側でファンクションとして定義することで、効率的かつ一貫性のある処理が実現できる。 ただし、ストアドファンクションを使用する際にはいくつかの注意点もある。多くのRDBMSでは、ストアドファンクション内でデータベースの状態を変更する操作(INSERT、UPDATE、DELETEなど)を行うことは推奨されないか、制限されている場合が多い。これは、SELECT文の中からファンクションを呼び出すことを前提としているため、ファンクションがデータを変更してしまうと、予期しない結果やデータの不整合を引き起こす可能性があるためである。そのため、一般的にはストアドファンクションはデータの参照や計算のみに利用し、データの更新を伴う処理にはストアドプロシージャを用いることが望ましい。また、複雑なロジックをストアドファンクションとして実装すると、デバッグが困難になる場合や、ファンクションが参照するテーブルや他のオブジェクトの変更によって、ファンクション自体が動作しなくなる『依存関係』の問題が発生することもあるため、適切な設計とテストが重要となる。 このように、ストアドファンクションはデータベースシステムにおける強力な機能の一つであり、適切に活用することで、データ処理の効率化、コードの再利用性向上、システムの一貫性確保に大いに貢献する。

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