サードパーティCookie (サードパーティクッキー) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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サードパーティCookie (サードパーティクッキー) の読み方

日本語表記

サードパーティCookie (サードパーティクッキー)

英語表記

third-party cookies (サードパーティクッキー)

サードパーティCookie (サードパーティクッキー) の意味や用語解説

サードパーティCookieは、ユーザーが現在訪問しているウェブサイトのドメインとは異なるドメインによって設定され、アクセスされるCookieである。Cookie自体は、ウェブサイトがユーザーのウェブブラウザに保存する小さなテキストデータであり、ユーザーの識別のために利用される。例えば、ユーザーがウェブサイトAを閲覧している場合、ウェブサイトAが直接設定するCookieはファーストパーティCookieと呼ばれる。これに対し、ウェブサイトA内に埋め込まれた広告やソーシャルメディアのウィジェット、ウェブ解析ツールといった、ウェブサイトAとは別の事業者が提供するコンテンツやサービスが設定するCookieがサードパーティCookieに該当する。 この仕組みは、ユーザーが複数のウェブサイトを横断してどのように行動しているかを追跡するために広く利用されてきた。具体的には、ユーザーがウェブサイトAを訪問し、そこに埋め込まれた広告プロバイダーBのコンテンツが表示された場合、プロバイダーBはユーザーのブラウザにサードパーティCookieを設定する。その後、ユーザーがウェブサイトCを訪問し、ここにも同じプロバイダーBのコンテンツが埋め込まれている場合、プロバイダーBは以前に設定したCookieを読み取ることができる。これにより、プロバイダーBはユーザーがウェブサイトAとCの両方を訪問したことを認識し、それらの情報を統合してユーザーの行動履歴や興味関心をプロファイリングすることが可能となる。 サードパーティCookieの主な用途は多岐にわたる。最も一般的なのは、広告配信における活用である。ユーザーが過去に閲覧した商品やサービスに関連する広告を、別のウェブサイトで表示するリターゲティング広告は、サードパーティCookieがその基盤を支えていた。また、ユーザーの閲覧履歴や興味関心に基づいてパーソナライズされた広告を表示したり、特定の広告がどれだけクリックされ、ウェブサイトでの購入などの成果につながったか(広告効果測定)を追跡するためにも用いられた。これは、広告主が広告予算の効果を最大化するために不可欠な情報であった。 広告用途以外にも、サードパーティCookieはウェブサイトの分析ツールで利用され、ユーザーが複数のウェブサイトをどのように移動し、利用しているかを把握するのに役立った。これにより、ウェブサイトの改善やマーケティング戦略の立案に貢献する詳細なユーザー行動データが収集された。さらに、ウェブサイトに埋め込まれたソーシャルメディアの「いいね!」ボタンやコメント欄、決済サービスといった機能も、ユーザーのログイン状態を維持したり、シームレスな体験を提供するためにサードパーティCookieを利用するケースがあった。例えば、ユーザーがFacebookにログインした状態で、別のサイトのFacebookウィジェットを通じて「いいね!」を押すと、その操作がFacebookのアカウントに紐付けられるのは、サードパーティCookieが機能している一例である。 しかし、その広範な追跡能力は、深刻なプライバシーの懸念を引き起こしてきた。ユーザーは通常、自分が訪れているサイトがデータを収集することは認識していても、そのサイトとは無関係の第三者が、自身の同意なく複数のサイトを横断して行動履歴を収集し、詳細なプロファイルを作成している可能性については認識しづらい。このような見えない追跡は、個人情報の漏洩リスクや、ユーザーが意図しない形で自身のデータが利用されることへの不安につながった。近年、EUのGDPR(一般データ保護規則)や米国のCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)といったデータプライバシー規制が強化される中で、サードパーティCookieによる追跡は特に問題視されるようになった。 これらのプライバシーに関する懸念の高まりと規制強化を受けて、主要なウェブブラウザはサードパーティCookieの扱いを大きく変更する方向へ進んでいる。AppleのSafariやMozillaのFirefoxは、すでにデフォルトでサードパーティCookieをブロックする機能を導入している。Google Chromeも、段階的にサードパーティCookieのサポートを終了する計画を公表しており、これにより、ウェブ広告やトラッキングのあり方は大きな転換期を迎えている。 サードパーティCookieの廃止は、ウェブマーケティングやデータ分析の手法に大きな影響を与える。特に、クロスサイト追跡に依存していた広告リターゲティングやパーソナライズ広告の精度は低下が避けられない。この変化に対応するため、ウェブ業界では、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、効果的な広告やコンテンツ提供を実現する代替技術やアプローチの模索が進んでいる。例えば、Googleが提唱する「Privacy Sandbox」のような、個人を特定せずに興味関心をグループ化する技術や、ファーストパーティデータを活用した戦略、あるいはユーザーの行動履歴ではなくコンテンツの内容に基づいて広告を配信するコンテキスト広告などが注目されている。システムエンジニアを目指す者にとって、この変化はウェブ開発におけるセキュリティとプライバシー設計の重要性を一層高めるものであり、今後のウェブ技術の動向を理解する上で不可欠な知識となる。

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