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【ITニュース解説】AI Can’t Fix Hiring Alone — Here’s Why I Built Experts Circle

2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「AI Can’t Fix Hiring Alone — Here’s Why I Built Experts Circle」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

AIだけでは採用の課題は解決できず、人の判断や文化理解が不足すると筆者は指摘。そこで、AIで大量処理し、専門家が候補者を評価・推薦する「Experts Circle」を開発した。AIと人間の専門知識を組み合わせることで、より良い採用の未来を築く。

ITニュース解説

採用プロセスは、企業が優秀な人材を獲得し、個人がキャリアを築く上で極めて重要な要素である。しかし、長年にわたり、このプロセスには多くの課題が指摘されてきた。経験豊富なソフトウェアエンジニアとして15年以上のキャリアを持つ筆者も、候補者、採用マネージャー、そして採用プラットフォームの開発者という多角的な視点から、この採用の仕組みが根本的に「壊れている」と感じていた。具体的には、企業の求める人材像とはかけ離れた履歴書が大量に送られてきたり、一方で、本当に優秀な人材がキーワードによるフィルターで機械的に排除されてしまったりすることだ。また、単なるスキルや経験だけでなく、その人がチームの文化にフィットするか、潜在的な能力を持っているかといった、より深い部分の理解が不足している点も大きな問題だった。

このような状況を改善するため、近年ではAI(人工知能)を活用した採用ツールが登場し、多くの期待を集めた。AIは、膨大な数の履歴書を高速で処理し、特定のキーワードやパターンを自動で認識する能力に優れている。当初、筆者もこれらのAIツールが採用プロセスの非効率性を解決してくれるのではないかと希望を抱いていた。しかし、実際にそれらのツールを試用する中で、筆者はすぐにAIの限界に気づくことになる。AIは確かに効率的に履歴書をスクリーニングできるが、それだけでは問題の本質的な解決にはならないどころか、むしろ問題を増幅させてしまう可能性すらあると認識したのだ。

なぜAIだけでは不十分なのだろうか。その理由は、採用活動において「人間の判断」が不可欠な要素だからだ。AIはデータに基づいてパターンを認識するが、チームの持つ独特な文化や雰囲気、あるいは一見「型破り」に見える経験を持つ開発者が、実はそのチームにとってかけがえのない存在になるかもしれないといった、微妙なニュアンスを理解することはできない。例えば、システムエンジニアとして特定のプログラミング言語の経験が浅くても、問題解決能力が非常に高く、新しい技術を貪欲に学ぶ意欲がある人材は少なくない。しかし、AIは既存のキーワードに合致しないという理由で、そうした隠れた才能を見落としてしまう危険性がある。つまり、AIは「速さ」と「量」の処理には長けているが、「深さ」や「質」に関する洞察を提供することはできないのだ。

このような、自動化された処理と、人間だけが持ちうる深い洞察との間に存在するギャップこそが、筆者が「Experts Circle」を立ち上げるきっかけとなった。そのアイデアは非常にシンプルだ。AIには得意な領域である「規模の処理」と「ロジスティクスの管理」を任せ、一方で「専門家の判断」をプロセスに組み込むのである。

Experts Circleでは、AIと人間の専門家がそれぞれの強みを活かして協力する。具体的には、AIがまず大量の候補者データから、一定の基準に基づいて候補者を絞り込み、整理する役割を担う。これにより、採用担当者の初期スクリーニングの負担は大幅に軽減される。しかし、そこで終わりではない。AIが絞り込んだ候補者に対して、実際にその分野で長年活躍してきた経験豊富なエンジニア、デザイナー、その他の専門家(Subject-matter experts)が、候補者のスキルセット、これまでの実績、そしてチームへの適合性などを多角的に評価し、推薦を行うのだ。最終的な「この人物が適任である」という推薦は、AIではなく、その道のプロフェッショナルである人間が行うのである。

この仕組みは、採用プロセスに関わる全てのステークホルダーに大きなメリットをもたらす。まず、企業側から見れば、専門家によって精査された、信頼性の高い候補者を獲得できるため、採用ミスマッチのリスクを大幅に減らすことができる。これにより、入社後の早期離職を防ぎ、長期的に企業の生産性向上に貢献する優秀な人材を効率的に見つけ出すことが可能となる。

次に、候補者側にとってもメリットは大きい。単に履歴書のキーワードだけで判断されるのではなく、自身の能力や経験、潜在的なポテンシャルを、その道のプロフェッショナルに直接評価してもらえる機会が得られる。これにより、表面的な情報では伝わりにくい個人の強みが適切に評価され、より公平な採用機会を得ることが可能となる。これまでAIのフィルターにかかってしまいがちだった、ユニークな経歴や非伝統的なスキルを持つ人材にも、適切な評価が与えられる可能性が高まるのだ。

さらに、推薦者となる専門家自身も、その洞察力と自身のネットワークが評価され、それに対して報酬を得られる。これは、業界全体の知識共有と人材流動を活性化させることにも繋がり、健全なエコシステムを形成する助けとなるだろう。

筆者は、採用の未来はAIが採用担当者を完全に置き換えることではないと確信している。そうではなく、AIが持つ効率性という強みと、人間が持つ深い専門知識や判断力という強みが、それぞれ協力し合うことで、より質の高い採用プロセスが実現すると考えている。Experts Circleが目指すのは、まさにそのような、AIと人間の専門知識が共存し、協働する未来の採用の形である。これからシステムエンジニアを目指す初心者にとっても、自身の真の価値が適切に評価されるような採用プロセスが構築されることは、キャリア形成において大きな意味を持つだろう。

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