【ITニュース解説】継続的デリバリーツール「Argo CD」に深刻な脆弱性、APIトークン経由で認証情報流出の恐れ

2025年09月05日に「@IT」が公開したITニュース「継続的デリバリーツール「Argo CD」に深刻な脆弱性、APIトークン経由で認証情報流出の恐れ」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Argo CDにリポジトリ認証情報漏えいの脆弱性(CVE-2025-55190)が発覚。APIトークンが悪用されると、プロジェクト権限で認証情報が流出する恐れがある。CVSSスコアは9.9と危険度が高い。システムエンジニアは、速やかに修正版へアップデートし、セキュリティ対策を講じる必要がある。

ITニュース解説

Argo CDは、Kubernetesというコンテナオーケストレーションツール上で動作する、継続的デリバリー(Continuous Delivery)を実現するためのツールだ。継続的デリバリーとは、ソフトウェアの変更を自動的にテストし、本番環境にリリースするプロセスを指す。これによって、開発者はより頻繁に、そして安全にソフトウェアを更新できるようになる。

今回、Argo CDに非常に深刻な脆弱性が見つかった。脆弱性とは、ソフトウェアのセキュリティ上の弱点のことで、悪意のある第三者に悪用される可能性がある。この脆弱性は「CVE-2025-55190」という番号で識別されており、その深刻度を示すCVSSスコアは9.9と、最も高い「Critical( критический)」に分類されている。

具体的に何が問題なのかというと、Argo CDがプロジェクトへのアクセス権限を管理するために使用するAPIトークンを悪用されると、本来アクセスできないはずのリポジトリ認証情報が漏洩してしまう可能性があるということだ。

リポジトリとは、ソフトウェアのソースコードや設定ファイルなどを保管する場所のことだ。通常、リポジトリにアクセスするためには、認証情報(ユーザー名とパスワード、またはそれに相当するもの)が必要となる。この認証情報が漏洩してしまうと、第三者がリポジトリに不正にアクセスし、ソースコードを盗んだり、改ざんしたりするなどの被害を受ける可能性がある。

Argo CDでは、複数のプロジェクトを管理できる。それぞれのプロジェクトには、アクセス権限を付与されたユーザーやサービスアカウントが存在する。APIトークンは、これらのユーザーやサービスアカウントがArgo CDのAPIにアクセスするための鍵のようなものだ。

今回の脆弱性では、特定のプロジェクトに対する権限を持つAPIトークンが、本来はそのプロジェクトがアクセスできるはずのないリポジトリの認証情報まで取得できてしまう。これは、権限管理の仕組みに欠陥があることを意味する。

攻撃者は、この脆弱性を悪用するために、まずプロジェクトへのアクセス権限を持つAPIトークンを入手する必要がある。これは、例えば、権限のないユーザーに誤ってAPIトークンを発行してしまったり、既存のユーザーのアカウントが乗っ取られたりすることで起こりうる。

APIトークンを入手した攻撃者は、特別なリクエストをArgo CDのAPIに送信することで、関連するリポジトリの認証情報を取得できる。取得した認証情報を使って、攻撃者はリポジトリにアクセスし、様々な悪事を働くことが可能になる。

この脆弱性が特に危険なのは、継続的デリバリーのプロセス全体に影響を与える可能性があるからだ。継続的デリバリーでは、リポジトリに保管されたソースコードに基づいてソフトウェアが構築され、テストされ、本番環境にデプロイされる。リポジトリが改ざんされると、悪意のあるコードが本番環境にデプロイされてしまう可能性もある。

したがって、Argo CDを使用している場合は、直ちに修正版にアップデートすることが非常に重要だ。修正版には、この脆弱性を修正するためのセキュリティパッチが含まれている。アップデートを適用することで、攻撃者がこの脆弱性を悪用するのを防ぐことができる。

アップデートの手順は、Argo CDの公式ドキュメントに詳しく記載されている。アップデートを行う際には、事前にバックアップを取得しておくことを推奨する。また、アップデート後には、システムが正常に動作していることを確認することも重要だ。

システムエンジニアを目指す初心者にとって、今回のニュースは、セキュリティの重要性を改めて認識する良い機会となるだろう。ソフトウェア開発においては、機能性だけでなく、セキュリティも考慮することが不可欠だ。脆弱性の発見と修正は、継続的に行う必要がある。

また、権限管理の重要性も理解する必要がある。ユーザーやサービスアカウントに必要以上の権限を与えないように注意し、定期的に権限の見直しを行うことが重要だ。

今回の脆弱性は、継続的デリバリーツールという、比較的新しい技術にもセキュリティ上のリスクが存在することを示している。新しい技術を導入する際には、セキュリティに関する情報を収集し、適切な対策を講じることが重要だ。

【ITニュース解説】継続的デリバリーツール「Argo CD」に深刻な脆弱性、APIトークン経由で認証情報流出の恐れ | いっしー@Webエンジニア