【ITニュース解説】AVEVA製PI Integratorにおける複数の脆弱性

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ITニュース概要

産業データを集約・分析するソフトウェア「AVEVA PI Integrator」に複数のセキュリティ上の欠陥が発見された。悪用されると、攻撃者にシステムを不正操作されたり、情報が盗まれたりする危険があるため、最新版への更新が必要である。(118文字)

ITニュース解説

AVEVA社が提供するPI Integratorというソフトウェアで、セキュリティ上の問題点が複数発見された。このソフトウェアは、工場やプラントなどの産業現場で収集される大量のデータを、ビジネス分析やデータ可視化ツールで活用しやすくするための重要な役割を担っている。例えば、生産ラインのセンサーから集めた温度や圧力といったデータを、経営判断に使うための分析システムへ橋渡しする際に利用される。このような産業データを扱うシステムにおけるセキュリティの脆弱性は、企業の機密情報漏洩や生産活動への影響に直結する可能性があるため、非常に重要である。システムエンジニアを目指す上で、ソフトウェアの脆弱性がどのようなもので、いかなる危険性を持ち、どのように対処すべきかを理解することは不可欠な知識となる。 今回報告された脆弱性は、主に「パス・トラバーサル」「クロスサイト・スクリプティング」「不適切な権限管理」の三種類である。これらはサイバー攻撃で頻繁に悪用される典型的な脆弱性であり、その仕組みと危険性を理解しておく必要がある。 一つ目の「パス・トラバーサル」は、攻撃者が本来アクセスを許可されていないサーバー上のファイルやディレクトリに不正にアクセスできてしまう脆弱性である。通常、Webサーバーは公開が許可された特定のディレクトリ内にあるファイルしか外部に表示しないように設定されている。しかし、プログラムが外部からのファイルパス指定を適切に検証していない場合、攻撃者は「../」のような特殊な文字列を組み合わせることで、ディレクトリ階層を遡り、公開ディレクトリの外にあるシステム設定ファイルやパスワード情報が書かれたファイルなどを盗み見ることが可能になる。今回のPI Integratorの脆弱性を悪用されると、サーバー内に保存されている重要な設定情報や、他のシステムと連携するための認証情報などが第三者に漏洩する危険性がある。 二つ目の「クロスサイト・スクリプティング(XSS)」は、Webアプリケーションの脆弱性の中でも特に代表的なものである。これは、攻撃者が悪意のあるスクリプトをWebページに埋め込むことで、そのページを閲覧した他のユーザーのブラウザ上で不正なプログラムを実行させてしまう攻撃手法である。例えば、ユーザーが入力した内容をそのまま画面に表示するような機能に不備があると、攻撃者は入力欄にスクリプトを仕込むことができる。他のユーザーがそのページを開くと、埋め込まれたスクリプトが自動的に実行され、そのユーザーのクッキー情報(ログイン状態を維持するための情報)が盗まれたり、偽のログイン画面に誘導されたりする被害が発生する。これにより、攻撃者は正規のユーザーになりすましてシステムに侵入する「セッションハイジャック」を行うことが可能となり、個人情報の窃取や不正操作につながる。 三つ目の「不適切な権限管理」は、システムのユーザーごとに定められたアクセス権限が正しく機能しない脆弱性を指す。多くのシステムでは、管理者、一般ユーザー、閲覧者など、役割に応じて操作できる範囲が厳密に区別されている。管理者はすべての設定変更やデータ削除が可能だが、一般ユーザーは自身のデータ編集しかできない、といった具合である。この権限チェックの仕組みに不備があると、本来は権限を持たないはずの一般ユーザーが、管理者しか実行できないはずの重要な操作を行えてしまう事態が発生する。例えば、システムの全体設定を変更したり、他のユーザーのデータを削除したり、あるいはシステムを停止させたりといった、深刻な影響を及ぼす不正行為が可能になる。産業用システムにおいては、このような脆弱性は生産計画の改ざんや設備の不正操作など、物理的な被害に発展するリスクもはらんでいる。 これらの脆弱性に対処するための最も基本的かつ効果的な方法は、ソフトウェアの開発元が提供する修正プログラム、いわゆる「セキュリティパッチ」を適用し、ソフトウェアを最新のバージョンにアップデートすることである。開発元であるAVEVA社は、すでにこれらの脆弱性を修正した新しいバージョンのPI Integratorを公開している。システムを運用する管理者は、自社で利用しているソフトウェアのバージョンを確認し、脆弱性の影響を受ける場合は、速やかにアップデート作業を実施する必要がある。アップデートを怠ると、脆弱性が存在する古いバージョンを使い続けることになり、サイバー攻撃の標的となるリスクが極めて高くなる。システムエンジニアは、単にシステムを構築するだけでなく、公開される脆弱性情報を常に監視し、迅速かつ適切に対策を講じるという、運用・保守の役割も非常に重要である。今回の事例は、産業システムの根幹を支えるソフトウェアであっても脆弱性は存在しうるという事実と、セキュリティ対策を継続的に行うことの重要性を明確に示している。安全なシステムを維持するためには、脆弱性の内容を正しく理解し、速やかに対処する知識と行動が求められる。

【ITニュース解説】AVEVA製PI Integratorにおける複数の脆弱性