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【ITニュース解説】Stop Prompting Directly to Claude Code/Codex — I Built a PRD Generator That Forces First Principles

2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「Stop Prompting Directly to Claude Code/Codex — I Built a PRD Generator That Forces First Principles」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

従来の複雑な開発仕様書作成は時間がかかる。この課題を解決するため、AIに直接指示する前に「第一原理」で分析し、1週間で実現可能な簡潔な仕様書を自動生成するツール「Indie10k PRD Generator」が登場した。開発の無駄を省き、素早いプロジェクト着手を支援する。

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す人にとって、ソフトウェア開発プロジェクトを進める上で「何を」「どのように」作るかを明確にする工程は非常に重要だ。この工程で作成される主要な文書の一つに「PRD(Product Requirements Document)」、日本語で「製品要求仕様書」と呼ばれるものがある。PRDは、開発する製品の目的、機能、対象ユーザー、満たすべき要件などを詳細にまとめた設計図のようなものだ。

しかし、従来のPRDは、大規模な企業での複雑なプロジェクトを想定して作られていることが多く、そのフォーマットは非常に広範で手間がかかる傾向があった。例えば、膨大な背景情報やコンテキストが記述され、それを読むのに時間がかかったり、多くの関係者による承認プロセスが必要だったり、あるいは、作成されたロードマップ(開発計画)が、状況の変化により短期間で陳腐化してしまうといった問題点が挙げられる。このようなPRD作成に時間や労力を費やすことは、特に個人や少人数で活動する「インディー開発者」にとっては大きな負担となる。彼らは、短期間でアイデアを形にし、市場に投入したいと考えるため、もっと迅速で効率的な開発プロセスを求めているのだ。

そこで、「Indie10k PRD Generator」というツールが開発された。このツールは、このような従来のPRD作成の課題を解決し、インディー開発者がアイデアを迅速に実現するための、軽量で実用的なPRDを生成することを目指している。具体的には、ユーザーが開発したい製品や機能のアイデアを入力すると、ツールがそのアイデアを本質的に分析し、わずか1ページにまとまった、すぐに開発に着手できる仕様書を出力する。これにより、開発者は煩雑な文書作成に時間を取られることなく、核となる開発作業に集中できるようになる。

この「Indie10k PRD Generator」の仕組みは、大きく分けて二つの段階で構成されている。第一段階は「分析フェーズ」、第二段階は「生成フェーズ」だ。

分析フェーズでは、「第一原理(First Principles)」と呼ばれる思考法に基づいて、入力されたアイデアが深く掘り下げられる。第一原理とは、物事を最も基本的な真理まで分解して考えるアプローチのことだ。例えば、ユーザーが入力した製品説明の中から、客観的な「事実」と、まだ検証されていない「仮定」とを明確に区別する。また、開発にかけられる時間、開発者のスキルセット、利用可能な予算といった制約条件も特定される。さらに、解決しようとしている問題を最も単純な形、つまり「ユーザーが達成したいことは何か(Job-to-be-done)」という視点で再定義する。これらの分析を通じて、最終的には「この製品や機能は、1週間という短期間でどこまで開発できるか」という、実現可能な開発範囲(スコープ)が提案される。このプロセスにより、開発者は無駄な機能開発に時間を費やすことなく、本当に必要な最小限の機能に焦点を当てることができる。

次の生成フェーズでは、分析フェーズで得られた情報をもとに、具体的なPRDドキュメントが作成される。このドキュメントは、Markdownというシンプルなテキスト形式で出力され、以下の主要なセクションで構成される。まず、「問題」のセクションでは、解決しようとしている根本的な課題が簡潔に記述される。次に、「ユーザーとジョブ」のセクションでは、ターゲットとなるユーザー層と、彼らがその製品や機能を使って何を達成したいのかが明確にされる。さらに、「非目標(Non-goals)」のセクションでは、今回の開発では意図的に含めない機能や範囲が明記される。これは、開発範囲が拡大するのを防ぎ、目標を絞り込む上で非常に重要だ。「成功指標(Success metric)」のセクションでは、製品や機能が成功したかどうかを判断するための具体的な指標が設定され、特に7日間という短い期間での達成目標が設定される。そして、「リーンなソリューションとスコープv1」のセクションでは、最小限の機能セットで構成される最初のバージョン(v1)の具体的な解決策と、その開発範囲が示される。最後に、「リスクと中止/改善ルール」のセクションでは、開発中に発生しうる潜在的な問題点や、目標が達成できなかった場合に開発を中止するか、あるいは改善して再挑戦するかを判断するための基準が示される。

この一連のプロセスは、非常に迅速かつ効率的に行われる。入力ボックスにアイデアを書き込み、二度クリックするだけで、開発可能な計画が手に入るのだ。特別なダッシュボードや複雑なプロジェクト管理ツールとの連携などもなく、シンプルなテキストベースのドキュメントとして出力されるため、Gitなどのバージョン管理システムで簡単に管理できるという利点もある。

「第一原理」という思考法は、開発者がAIツール(例えばClaudeやChatGPTなど)にコーディングを依頼する前に、自身のアイデアを整理する際の習慣から取り入れられたものだ。具体的には、「何を解決したいのか?」「正確なユーザーは誰で、彼らは何を達成したいのか?」「1週間で最小限何が作れるか?」「それが成功したかどうかをどう判断するのか?」といった問いを自らに投げかけることで、アイデアの本質を捉え、無駄な回り道を避けることができる。この「Indie10k PRD Generator」は、そうした思考プロセスを自動化してくれるツールと言える。

例えば、「アプリにチームコラボレーション機能を追加したい」というアイデアを入力した場合を考えてみよう。従来のPRDであれば何十ページにもわたる詳細な文書が作成されるかもしれないが、このツールが生成するPRDは、以下のように簡潔で実用的な内容となる。

  • 問題: ユーザーは、アプリへのアクセス権を他の人と共有したいと考えている。
  • ユーザーとジョブ: 個人開発者にとって、1~3人の共同作業者を招待できる機能が必要。
  • 非目標: 大規模な組織管理機能や、チーム向けの課金ロジックは今回の開発範囲には含めない。
  • 成功指標(7日間): アクティブユーザーのうち10%が、少なくとも1つの招待リンクを生成する。
  • スコープv1: リンク共有機能、招待されたユーザーの権限を「閲覧者」または「編集者」に切り替える機能、最大3人までの招待制限。
  • リスク: 招待機能が悪用されたり(スパムなど)、または全く使われない可能性。
  • 決定ルール: 導入率が5%未満だった場合、この機能の開発を中止するか、あるいは課題を再検討する。

このような具体的で絞り込まれたPRDがあれば、開発者は2日でコードを書き、5日でテストを行い、そして翌週にはその機能が成功したかどうかの判断を下し、次のステップに進むことができる。これは、特に素早い意思決定と反復的な開発が求められるスタートアップや個人プロジェクトにおいて、非常に強力な助けとなる。

このツールは、開発者自身の内部プロセスとして生まれたものだが、他のインディー開発者や、迅速な開発を求めるシステムエンジニアを目指す初心者にとっても多くのメリットがある。それは、開発範囲の規律を自動的に強制し、無駄な機能追加を防ぐこと、再現性のあるMarkdownドキュメントとして記録を残し、Gitで容易に管理できること、そして、思いついたどんな小さなアイデアに対しても、すぐに実践的な開発計画を作成できるほど高速であることだ。これにより、開発者はアイデアを試す障壁が低くなり、より多くの学びと成長の機会を得ることができるだろう。

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