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【ITニュース解説】Excelスクショを廃止する、たったひとつの冴えたやりかた

2025年09月17日に「Zenn」が公開したITニュース「Excelスクショを廃止する、たったひとつの冴えたやりかた」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

システム開発現場で課題となるExcelスクショによる証拠(エビデンス)収集。なぜ使われ、廃止が難しいのかを解説する。記事では、ExcelスクショはSIerがテスターを信頼すれば廃止できると指摘。その本質と解決策を整理する。

ITニュース解説

システム開発の現場では、しばしば「Excelスクショ」という言葉が話題になる。これは、開発したシステムが正しく動作するかどうかをテストする際に、テストの結果としてシステムの画面をスクリーンショットで撮影し、それをExcelファイルに貼り付けて証拠(エビデンス)として残す一連の作業を指す。システムエンジニアを目指す人にとって、この作業は将来的に直面する可能性のある慣習であり、その本質を理解することは重要だ。多くの開発現場で、このExcelスクショは手間がかかり、非効率的であると認識されながらも、なかなか廃止されないという実情がある。

なぜ、これほどまでに手間のかかる作業が依然として続けられているのだろうか。その理由は、主にシステム開発を請け負う会社であるSIer(システムインテグレーター)と、実際にシステムのテストを行うテスターとの間の「信頼」関係に起因する。SIerは顧客からシステム開発を依頼され、その品質に最終的な責任を負う立場にある。そのため、開発したシステムが顧客の要求通りに、かつ不具合なく動作することを証明する必要がある。この証明のために、テスターが行ったテストの結果が客観的かつ正確に記録されていることを強く求める。

テスターは、システムの様々な機能が仕様書通りに動作するかどうかを一つ一つ確認し、その結果を報告する役割を担う。Excelスクショは、テスターが「確かにこのテストケースを実行し、この画面が表示された(または表示されなかった)」という事実を、視覚的な証拠としてSIerに提示する手段となっている。もしテスト結果が期待通りでなかった場合(つまり不具合があった場合)も、その状況をスクリーンショットで記録することで、具体的にどのような問題が発生したのかを明確に伝えることができる。このように、Excelスクショはテストの証拠としてだけでなく、不具合の報告ツールとしても機能しているのだ。

しかし、このExcelスクショには多くの問題点がある。まず、膨大な手間と時間がかかることだ。テスターは、テスト項目一つ一つに対して画面をキャプチャし、それをExcelに貼り付け、さらにコメントや結果を追記する作業を繰り返す。これは単純作業の繰り返しであり、テスト実行そのものよりもエビデンス作成に時間を要することも少なくない。特に大規模なシステム開発では、テストケースの数が数千、数万に及ぶこともあり、そのすべてでスクショを取得し、整理するのは想像を絶する作業量となる。

次に、ヒューマンエラーのリスクが常に伴う。スクリーンショットの撮り間違い、貼り付けミス、誤ったコメントの記載など、人間が手作業で行う以上、誤りが混入する可能性は避けられない。これらのミスは、後でSIerがエビデンスを確認する際に混乱を招いたり、最悪の場合、テスト結果の信頼性を損なうことにもつながりかねない。また、システムに修正が入った場合、関連するテストケースを再実行し、再びすべてのスクリーンショットを取り直して更新するという、二重、三重の手間が発生することになる。これは、プロジェクト全体の進行を遅らせる大きな要因となる。

このような非効率性とリスクを抱えるExcelスクショを廃止する「たったひとつの冴えたやりかた」は、記事の結論が示す通り、「SIerがテスターを信頼できる」状態を築くことにある。これは単に「スクショを撮るのをやめる」という簡単な話ではない。SIerがテスターの報告を信頼できるようになるには、テスターが提示するテスト結果が、たとえスクリーンショットがなくても、客観的かつ正確であることを保証する仕組みと文化が必要となる。

この「信頼」を構築するためには、いくつかの重要な要素が考えられる。一つ目は、テストプロセスの標準化と透明性の確保だ。テストの手順、実施方法、結果の記録方法が明確に定義され、誰がテストを行っても一貫性のある高品質な報告ができるような仕組みを構築すること。これにより、テスターのスキルや経験に依存することなく、一定水準のテストが実施されていることをSIerが確認できるようになる。

二つ目は、テスト自動化ツールの導入だ。システムテストの多くは、繰り返し同じ手順を実行する定型的な作業である。このような作業を自動化ツールに任せることで、テスト実行そのものだけでなく、その結果の記録も機械的に行われる。自動化されたテストは人為的なミスがなく、客観的な結果を安定して提供できるため、SIerはテスターの報告の信頼性を高く評価できるようになる。テスト結果レポートも自動生成されるため、個別のスクリーンショットに依存する必要がなくなる。

三つ目は、テスト管理ツールの活用である。テスト管理ツールは、テストケースの作成、実行状況の管理、不具合の追跡、テスト結果のレポート作成などを一元的に行える。これにより、プロジェクト全体のテスト進捗状況がリアルタイムで可視化され、テスターがどのようなテストを、いつ、どのように実行し、どのような結果を得たのかが明確になる。これらのツールが生成する詳細なログやレポートは、Excelスクショと同等、あるいはそれ以上の証拠能力を持つため、SIerはこれらの情報を基にテスト品質を評価し、テスターを信頼する根拠とすることができる。

四つ目は、テスター自身のスキルアップとプロ意識の向上だ。単に指示されたテストを実行するだけでなく、システムの仕様を深く理解し、潜在的な不具合を発見する能力や、テスト結果を正確かつ簡潔に報告する能力を高めることが求められる。テスターが自身の仕事に責任を持ち、常に高品質な成果を提供できるようになれば、SIerからの信頼は自然と高まっていく。

結局のところ、Excelスクショ問題の本質は、テストの「証拠」をどのように確保し、システム品質に対する「安心」をどのように担保するかという点にある。単に面倒な作業を廃止するだけでなく、より効率的で、より信頼性の高い方法で品質を保証するためのプロセスやツールの導入、そして何よりもプロジェクトに関わるすべてのメンバー間の信頼関係の構築が不可欠なのである。システムエンジニアを目指すにあたり、単に技術を学ぶだけでなく、こうしたプロジェクト管理や品質保証の考え方、チーム内のコミュニケーションや信頼の重要性を理解しておくことは、非常に役立つだろう。

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