【ITニュース解説】「FortiSIEM」に深刻なRCE脆弱性 - 実用的な悪用コードも
ITニュース概要
「FortiSIEM」という監視システムに、外部から操作される深刻な脆弱性が見つかった。この脆弱性を悪用するプログラムが出回っており、攻撃を受けると痕跡が残らず、被害に気づきにくい。早急な対応が求められる。
ITニュース解説
Fortinet社が提供するセキュリティ監視分析ソリューション「FortiSIEM」に、非常に深刻な脆弱性が発見されたというニュースは、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、現代のサイバーセキュリティが抱えるリスクを理解する上で重要な情報である。 まず、FortiSIEMがどのようなシステムであるかを説明する。Fortinetは世界的に有名なセキュリティ製品を提供するベンダーであり、FortiSIEMはその主力製品の一つだ。FortiSIEMが属するSIEM(Security Information and Event Management)は、企業内のITシステム、例えばサーバー、ネットワーク機器、パソコンなどから日々大量に生成される「ログ」や「イベント情報」を一つに集め、リアルタイムで分析するシステムのことを指す。これらのログには、誰がいつシステムにアクセスしたか、どのような通信が行われたか、どのような操作が行われたかなど、システム内のあらゆる活動履歴が含まれている。SIEMの主な役割は、これらの膨大な情報を自動的に監視・分析し、サイバー攻撃の兆候やシステム内の異常な動きをいち早く検知することにある。まるで企業のITシステム全体を監視する「目」や「耳」のような存在であり、セキュリティ運用の中心的な役割を果たす、極めて重要なシステムと言える。 今回のニュースで指摘された脆弱性は、「RCE(Remote Code Execution)」と呼ばれる種類のもので、その危険性は非常に高い。脆弱性とは、ソフトウェアやシステムの設計上、あるいは実装上の「弱点」や「欠陥」のことだ。この弱点を悪意のある第三者、つまり攻撃者が利用することで、本来許されないはずの不正な操作を実行することが可能になる。中でもRCEは「リモートコード実行」を意味し、攻撃者がインターネットなどの遠隔地から、脆弱性を持つターゲットのコンピュータ上で、任意のプログラム(コード)を自由に実行できてしまう状態を指す。これは、攻撃者が離れた場所から、対象のFortiSIEMシステムをまるで自分の手元にあるかのように操作できてしまうことを意味する。これにより、システムを完全に支配されたり、機密情報を盗まれたり、データを改ざん・破壊されたりする可能性が生まれ、企業にとって致命的な被害につながりかねない。 さらに深刻なのは、「実用的な悪用コード(エクスプロイトコード)」が出回っているという点だ。悪用コードとは、発見された脆弱性を実際に攻撃に利用するための具体的なプログラムのことを指す。このコードが「実用的」であるとされているのは、専門的な知識を持たない攻撃者でも、このコードを使えば比較的容易にFortiSIEMの脆弱性を悪用し、システムに侵入できてしまうことを意味する。一般に、高度な攻撃を行うには専門知識が必要となるが、このような実用的な悪用コードが出回ると、攻撃のハードルが大幅に下がり、より広範囲なシステムが標的となる危険性が高まる。 そして、今回の脆弱性の特に恐ろしい点が、「攻撃を受けた場合も痕跡が残らない」可能性が指摘されていることだ。通常、システムへの不正アクセスや攻撃があった場合、そのシステムが記録する「ログファイル」に何らかの形で活動の痕跡が残る。ログは、セキュリティ侵害が発生した際に、その原因を特定し、被害状況を把握するための重要な手がかりとなる。しかし、このFortiSIEMのRCE脆弱性を悪用した攻撃では、攻撃者がログを消去したり、ログシステム自体を停止させたりすることが可能になる場合がある。もしログが残らなければ、システム管理者は攻撃があったこと自体に気づくのが遅れたり、攻撃に全く気づかなかったりする可能性がある。また、仮に攻撃を検知できたとしても、ログという証拠が残されていないため、いつ、どのように攻撃されたのか、どのような情報が盗まれたのかといった、攻撃の全容解明が極めて困難になる。これは、サイバーセキュリティにおける「見えない攻撃」を許してしまうことになり、被害の拡大や再発防止を阻害する。 このように、企業のセキュリティ監視の中核を担うSIEMシステム自体が、RCE脆弱性によって攻撃者に乗っ取られ、さらに攻撃の痕跡まで消されてしまう危険性があるというのは、企業にとって極めて深刻な事態である。攻撃者は、FortiSIEMを乗っ取ることで、自らの不正な活動を隠蔽しつつ、企業の機密情報にアクセスしたり、FortiSIEMを足がかりに他の重要なシステムへさらに侵入したりする可能性が高まる。 このような脅威に対して、システムエンジニアを目指す皆さんが知っておくべき最も重要な対応策は、脆弱性が公表された製品のベンダー(Fortinet社)から提供される「修正パッチ」を速やかに適用することだ。セキュリティパッチは、脆弱性を修正し、攻撃のリスクを排除するために提供されるプログラムである。常に使用しているシステムやソフトウェアを最新の状態に保ち、ベンダーが公開するセキュリティ情報をいち早く収集し、必要な対策を講じる習慣を身につけることが不可欠だ。また、パッチ適用だけでなく、システム全体の多層的なセキュリティ対策、例えば不正アクセス監視の強化、ネットワークの適切な分離、定期的なバックアップなども、万一の事態に備える上で非常に重要となる。サイバーセキュリティは日進月歩であり、新たな脅威が常に現れるため、継続的な学習と対策が求められる分野である。