【ITニュース解説】Article 1 :Intro to Gen AI,LLMS and LangChain Frameworks(Part C)

2025年09月10日に「Dev.to」が公開したITニュース「Article 1 :Intro to Gen AI,LLMS and LangChain Frameworks(Part C)」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

プロンプトエンジニアリングは、AIに明確な指示を出し、意図を正確に伝え、精度の高い回答を引き出す技術だ。あいまいな指示を避け、ゼロショットやフューショット、ロールなどの手法を活用する。複雑な課題には、段階的に指示を出すプロンプトチェイニングが効果的で、AIの性能を最大限に引き出す。

ITニュース解説

大規模言語モデル(LLM)をはじめとする生成AIの活用が広がる中、システムエンジニアを目指す上で非常に重要なスキルの一つに「プロンプトエンジニアリング」がある。これは、AIに対して適切な指示を与え、期待通りの結果を引き出すための技術である。

プロンプトエンジニアリングとは、AIにいかに効果的に「話しかけるか」という技術のことだ。例えるなら、先生に質問する際に、最も良い答えを引き出すために質問の仕方を工夫するようなものだと考えると分かりやすい。ビジネスの場面では、AIアシスタントに曖タリな指示ではなく、具体的なアクションを促す明確な命令を与えることで、推測を排除し、正確な結果を得ることが可能になる。

この技術がなぜ重要かというと、主に四つの理由がある。まず「正確性」だ。適切なプロンプトは、AIが事実と異なる情報を生成する「ハルシネーション」を防ぎ、関連性の高い正確な回答を得るために不可欠だ。次に「一貫性」。AIが常にユーザーの意図を理解し、安定した品質の回答を生成できるようになる。三つ目は「効率性」。明確な指示により、何度もプロンプトを修正する手間が省け、結果として迅速な成果につながる。最後に「制御」。AIの回答のトーン、構造、スタイルなどをユーザーが自由に導けるようになる。

プロンプトの作成にはいくつかの基本的なテクニックがある。 一つ目は「ゼロショットプロンプティング」で、これはAIに事前情報や例を何も与えず、直接質問を投げかける方法だ。「ブラジルの首都は?」といった単純な質問には有効だが、プロンプトが曖昧な場合には信頼性が低くなることがある。 二つ目は「フューショットプロンプティング」だ。これは、いくつかの具体的な例を示すことで、AIに質問の意図や期待する回答の形式を学習させる方法である。「私はプログラミングが好きです。→ J'adore la programmation.」「この食べ物はおいしいです。→ Cette nourriture est délicieuse.」のように翻訳の例をいくつか示すことで、AIはパターンを理解し、次に与える「最寄りの駅はどこですか?」という質問に対して、同様の形式でフランス語に翻訳する能力を発揮する。これは回答の形式を統一したい場合に特に有効だ。 三つ目は「ロールプロンプティング」である。AIに特定の役割や専門知識を持つペルソナを与える方法で、「あなたはプロのビジネスコンサルタントです。小規模小売店のコスト削減戦略を3つ提案してください」といった指示を出すことで、AIはその役割に応じたトーンとドメイン知識で回答を生成する。ビジネスに関する出力において特に強力な手法となる。 四つ目は「Chain-of-Thought (CoT) プロンプティング」だ。これはAIに段階的な思考プロセスを促し、最終的な答えに至るまでの論理的なステップを考えさせる方法である。例えば、「午後3時に時速60kmで出発する列車と、午後4時に時速80kmで出発する別の列車があります。後続の列車が先行の列車に追いつくのは何時ですか?段階的に考えてください。」といった質問では、数学や論理的な問題解決に非常に有効だ。ただし、比較的小さなモデルでは、複雑な思考の一貫性を維持するのが難しい場合もある。 また、最近のAIモデルは「Instruction-Tuning」という手法で、簡潔な指示にも従いやすいように調整されているものが多い。しかし、たとえこのような調整がされたモデルであっても、プロンプトの質が悪いと、AIが指示を誤解したり、意図しない結果を生成したりする可能性があるので注意が必要だ。

実践的なプロンプト作成のためのフレームワークとして「PROMPTメソッド」がある。これは、効果的なプロンプトを作成するための六つの要素の頭文字をとったものだ。 P — Provide context (誰が、何を、なぜ行うのかという背景情報を提供する) R — Role (AIに特定の役割や専門家としての立場を与える) O — Output format (箇条書き、エッセイ、JSONなど、出力形式を指定する) M — Models/examples (必要であればフューショットの例を示す) P — Point out constraints (文字数、スタイル、トーンなどの制約を設ける) T — Test & tweak iteratively (繰り返しテストし、調整する) このメソッドを用いてプロンプトを作成する例として、「あなたはマーケティング戦略担当者です。中小企業がAI搭載チャットボットを導入すべき理由について、LinkedIn投稿(最大100語、プロフェッショナルなトーン)を作成してください。最後に、主要な利点を3つの箇条書きで含めてください。」というプロンプトは、コンテキスト、役割、フォーマット、制約といったすべての要素を網羅している。

プロンプトエンジニアリングは、様々な場面で活用できる。ビジネスでは、顧客提案書の作成、マーケティング資料の生成、市場概要の要約、ブレインストーミングのアイデア出しなどに役立つ。学生にとっては、講義の要約、練習問題の生成、コードのデバッグ、概念の翻訳や簡素化など、学習プロセスを大きく支援するツールとなる。

一方で、プロンプト作成時に陥りやすい間違いも存在する。 最も一般的なのは「曖昧すぎるプロンプト」だ。「AIについて何か書いて」のような指示では、AIはどのような内容を、誰に向けて、どのくらいの長さで書けばよいか判断できない。これを改善するには、「高校生向けにAIの導入部を200語で書き、三つの実例を含めてください」のように、具体的かつ詳細な指示を与える必要がある。 次に「構造のないプロンプト」も問題だ。「この記事を要約して」とだけ指示するのではなく、「この記事を、それぞれ15語以下の箇条書き5点で要約してください」のように、出力形式に構造を与えることで、整理された回答が得られる。 さらに「過負荷なプロンプト」にも注意が必要だ。これは、一度に複数の関連性のないタスクをAIに要求することだ。このような場合は、タスクをそれぞれ別々のプロンプトに分割し、一つずつ明確に指示を与えることで、AIの理解を助け、質の高い結果を得られる。

プロンプトエンジニアリングは強力な技術だが、AIモデルには固有の限界があることも理解しておく必要がある。 「ハルシネーション」は、AIが事実ではない情報を自信を持って提示する現象であり、特に小型モデルで発生しやすい。 「弱い推論能力」も課題の一つで、Chain-of-Thoughtのような思考プロセスを促しても、論理が破綻することがある。 「指示への従順性の低さ」も、モデルによっては役割やトーンに関する指示を無視してしまう場合がある。 「小さいコンテキストウィンドウ」を持つモデルでは、一度に扱える情報の量に制限があり、長文の要約や複雑な文脈理解が難しいことがある。 さらに、「バイアスやトーンの問題」として、学習データに存在する偏見や不適切な表現をAIが生成してしまう可能性もある。 無料枠のAIサービスでは、利用制限や応答速度の遅さといった「フリーティアの制約」に直面することもある。 これらの限界があるからこそ、プロンプトエンジニアリングは、利用するAIモデルの能力を最大限に引き出し、その弱点を補うために不可欠なスキルとなる。

時には一つのプロンプトでは複雑なタスクを解決できない場合がある。そこで登場するのが「プロンプトチェーン」という概念だ。これは、複雑な要求をより小さなステップに分解し、前のステップで得られた出力を次のステップへの入力として使用していく方法である。例えるなら、パイプラインのように段階的に処理を進め、最終的な成果物を作り上げるイメージだ。

ビジネスのケースで考えると、「環境に優しいファッションブランド立ち上げのためのビジネス戦略を作成せよ」というタスクは、そのままAIに投げるよりも、以下のように分解した方が良い。 まず「環境に優しいファッションスタートアップが直面する課題を5つ挙げてください」とプロンプト1で問い、課題のリストを得る。 次に「それぞれの課題を克服するための戦略を3つ提案してください」とプロンプト2で問い、対策案を得る。 最後に「これらを統合して、洗練された500語の戦略レポートを作成してください」とプロンプト3で最終的なレポートを作成する。 このように段階を踏むことで、AIが各ステップで高品質な出力を生成し、最終的なレポートの質も向上させられる。

学生のケースでも同様だ。「気候変動に関するエッセイを作成せよ」というタスクは、 プロンプト1で「気候変動の主な原因を5つ挙げてください」と概要を生成させ、 プロンプト2で「それぞれの原因を詳しく説明してください」と詳細を深掘りし、 プロンプト3で「これらを統合し、序論と結論を含む1000語のエッセイに要約してください」と仕上げることで、ハルシネーションの抑制、構造の改善、そして各段階での正確性の確認が可能になる。

プロンプトチェーンは、長大な調査レポートの作成、複数ステップの推論が必要な財務予測や法的要約、顧客の購買ジャーニーマッピングのような構造化されたワークフローなど、多岐にわたる場面で活用される。しかし、コンテキストウィンドウが短いモデルでは、チェーンが長くなりすぎると、以前のステップの情報を「忘れてしまう」可能性があるため、GPT-4やGemini 1.5 Proのような大規模な高性能モデルが、より優れたパフォーマンスを発揮する。 PythonのLangChainライブラリを使えば、このようなプロンプトチェーンを簡単に実装できる。例えば、まず気候変動に関する3つの箇条書きの概要を生成するプロンプトを実行し、その概要を次のプロンプトの入力として使用して、300語のエッセイに拡張するといった処理が可能になる。これは、会議のメモをアクションアイテムに変換し、そこから関連するメールのドラフトを作成するといった、ビジネスワークフローにおいても非常に強力な手法となる。

プロンプトエンジニアリングは、AIの潜在能力を最大限に引き出し、システムエンジニアとしての仕事の効率と質を向上させるための重要なスキルである。基礎的なテクニックから、実践的なフレームワーク、そして複雑なタスクを段階的に処理するプロンプトチェーンまで、この分野の知識を習得することは、今後のAI時代において不可欠な能力となる。

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