JSON(ジェイソン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
JSON(ジェイソン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ジェイソン (ジェイソン)
英語表記
JSON (ジェイソン)
用語解説
JSONはJavaScript Object Notationの略称であり、テキストベースのデータ交換フォーマットである。主に異なるシステム間でデータをやり取りする際に利用される。その特徴は、人間にとって読み書きが容易であり、同時にコンピュータにとっても解釈や生成がしやすい点にある。このシンプルさと汎用性の高さから、Web APIをはじめとする多くのアプリケーションで標準的なデータ形式として広く採用されている。元々はJavaScriptのオブジェクトリテラル記法を基にして設計されたが、特定のプログラミング言語に依存しない独立したフォーマットであるため、Java、Python、PHPなど、多種多様な言語で扱うことが可能である。
JSONの基本構造は、名前と値のペア、すなわち「キー」と「値」の組み合わせから構成される。このキーと値のペアの集まりが「オブジェクト」であり、波括弧 {} で囲んで表現される。キーは必ずダブルクォーテーション " で囲まれた文字列でなければならない。キーと値の間はコロン : で区切られ、複数のキーと値のペアが存在する場合はカンマ , を用いて区切る。一方、値の順序付きリストは「配列」と呼ばれ、角括弧 [] で囲んで表現する。配列内の各値もカンマ , で区切られる。JSONで扱うことができる値のデータ型は、文字列、数値、真偽値、配列、オブジェクト、そしてnullの6種類に限定される。文字列はキーと同様にダブルクォーテーションで囲む必要がある。数値は整数や浮動小数点数をそのまま記述する。真偽値は小文字の true または false のいずれかである。配列やオブジェクトを値として使用することで、データを階層的に表現する入れ子構造を作ることも可能である。null は値が存在しないことを明示的に示すために用いられる。これらの基本的な構文ルールを組み合わせることで、複雑なデータ構造も簡潔に表現できる。
JSONが普及する以前は、データ交換フォーマットとしてXML(eXtensible Markup Language)が広く利用されていた。XMLもテキストベースのデータフォーマットであるが、JSONと比較していくつかの違いがある。XMLは開始タグと終了タグを用いてデータをマークアップするため、同じ内容を表現する場合でもJSONに比べて記述が冗長になりがちで、データサイズが大きくなる傾向がある。一方、JSONはキーと値のペアというシンプルな構造を持つため、より少ない文字数でデータを表現でき、軽量である。この軽量性は、ネットワーク通信におけるデータ転送量を削減し、パフォーマンス向上に寄与する。また、プログラミング言語での扱いやすさにも違いがある。JSONはJavaScriptの構文に由来するため、特にWebブラウザ上で動作するJavaScriptとの親和性が非常に高い。多くのプログラミング言語において、JSON文字列をその言語のネイティブなデータ構造に変換する処理、すなわちパースが容易に行えるよう、標準機能やライブラリが整備されている。
JSONの最も一般的な使用例は、Webサーバーとクライアント間でデータを交換するWeb APIである。例えば、ユーザー情報を要求するリクエストをサーバーに送ると、サーバーはユーザーの名前、年齢、メールアドレスなどの情報をJSON形式のデータとして返す。クライアント側では、受け取ったJSONデータをパースし、画面に表示するなどの処理を行う。また、アプリケーションの設定情報を記述する設定ファイルとしても利用されることがある。Node.jsのプロジェクト管理ファイルであるpackage.jsonは、プロジェクトの依存関係やスクリプトコマンドなどをJSON形式で記述する。プログラミング言語でJSONを扱う際には、主にシリアライズとデシリアライズという二つの操作が行われる。シリアライズとは、プログラム内のデータ構造をJSON形式の文字列に変換する処理のことである。デシリアライズ(パースとも呼ばれる)はその逆で、JSON形式の文字列をプログラムで扱えるデータ構造に変換する処理を指す。JavaScriptには、これらの操作を行うためのJSON.stringify()とJSON.parse()という組み込み関数が用意されており、手軽にJSONを扱うことができる。
JSONを利用する上で留意すべき点がいくつか存在する。まず、JSONの仕様ではコメントを記述することができない。これはデータフォーマットとしての純粋性を保つための設計である。次に、キーは必ずダブルクォーテーションで囲む必要がある。JavaScriptのオブジェクトリテラルではシングルクォートや引用符なしのキーも許容されるが、JSONの仕様では厳密に定められているため、混同しないよう注意が必要である。また、オブジェクトや配列の最後の要素の後にカンマを記述する、いわゆる末尾カンマは標準仕様では許可されていない。これらの厳密な構文ルールを守ることが、異なるシステム間での確実なデータ交換を保証する上で重要となる。結論として、JSONはその軽量さ、可読性の高さ、そして多様なプログラミング言語での扱いやすさから、現代のソフトウェア開発、特にWebアプリケーション開発において不可欠なデータフォーマットとなっている。そのシンプルながらも強力な表現力は、システム間の連携を円滑にし、開発の効率化に貢献している。