【ITニュース解説】Is this Vibe Coding?
2025年09月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「Is this Vibe Coding?」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
「Vibe Coding」はコード品質を軽視するイメージがある。だが筆者はAIにコード生成の6割を任せ、自身はAIへの的確な指示と厳重なレビューに注力する開発スタイルへ変化。これにより開発速度と生産性が大幅に向上し、品質も担保できる新たな働き方を発見した。
ITニュース解説
Vibe Codingという言葉には、コードの品質にはこだわらず、ただ結果を出すことだけを重視するという否定的な意味合いがつきまとうことがある。開発者である筆者は、以前はこの考え方に強く反発していた。なぜなら、コードの品質や、それがもたらすセキュリティ上の問題に深く配慮することが、プロフェッショナルとして非常に重要だと考えていたからだ。
しかし、過去1年間で筆者の開発作業の進め方は大きく変化した。以前は、AIが提供するコード補完機能、例えばTabキーを押して次の行を自動生成するような、ごく一部の機能を利用する程度だった。それが今では、AIに機能全体を段階的に生成させたり、テストコードをほぼすべて書かせたりするまでに至った。この変化は著しく、AIが書くコードの割合は、わずか10%だったものが、今では約60%を占めるようになったという。これは、AIが開発プロセスにおいて、単なる補助ツールから主要なパートナーへとその役割を変えたことを示している。
具体的な例として、先週のペアプログラミングでの出来事が挙げられる。ある同僚に新しいリポジトリの使い方を教えながら、新しい機能を開発していた時のことだ。同僚は、筆者がほとんどコードを直接書いていないことに気づき、驚きを示した。筆者は当時、そして現在も頻繁に行っているように、AIチャットツールに対して非常に質の高い指示(プロンプト)を与えることに時間をかけ、そしてAIが生成したコードを徹底的にレビューするという方法で作業を進めていた。これはまるで、熟練したエンジニアが、非常に賢く、かつ非常に迅速に作業をこなす優秀な新米エンジニアに指示を出し、その成果を確認するような働き方だった。一方、その同僚は、数ヶ月前の筆者と同じ段階にあり、Tabキーでコードを補完させながらも、基本的には自分でコードを書きたいと考えており、AIチャットツールをまだ完全に信頼していなかった。
同僚の気持ちはよく理解できると筆者は述べる。少し前までは筆者自身もそうだったからだ。長年慣れ親しんだやり方を変え、新しいツールを信頼することは簡単なことではない。しかし、同僚は懐疑的ではあったものの、この新しい機能が手作業であれば丸一日かかったであろう作業が、AIへの指示だけでわずか3時間で完璧に完了したことに同意した。筆者は同僚に新しい働き方を無理に勧めるつもりはなかったが、これほど優れた能力を持つツールが利用できるのに、なぜ苦労して、しかも遅いやり方を続ける必要があるのか、という疑問は当然湧いてくるだろう。これは、手作業の道具ではなく、電動工具を使うようなものだと筆者は例える。数十年にわたり技術を磨いてきた経験がある筆者にとって、新しい電動工具(AI)のスピードは非常にありがたく、そして安全に使えると感じている。
AIが懸命にコードを生成している間、筆者と同僚は、コードベースについて議論したり、次の開発計画を立てたりする時間を十分に確保することができた。その時、筆者は、この新しい働き方が、一からすべて自分でコードを書くよりもはるかにリラックスして進められることに気づいた。そして、この数ヶ月間、この方法で作業することで、よりリラックスして仕事ができ、結果として以前の2倍もの成果を出せるようになったと認識した。これらは大きな進歩だと言える。
しかし、筆者はそれ以来、「自分はVibe Codingをしているのではないか」という疑問を抱き、深く考えた。その答えは、やはり断固として「ノー」である。なぜなら、筆者は生成されたコードを常に厳しくチェックし、徹底的に検証しているからだ。しかし、それでもわずかながら似ている点があることも認める。通常、筆者はコードの具体的な実装方法について明確なアイデアを持っている。しかし、時には複数のアプローチが考えられる場合があり、その際にはAIに主導権を与えて最適なアプローチを決定させることもある。これはタスクの性質にもよるが、AIを「計画」と「実行」の両面で最大限に活用していると言える。筆者はAIに具体的な「雰囲気」や「方向性」を与え、その上でAIが生成したすべてを細かく確認するのだ。
このように、過去1年間で自身の働き方がどのように変化したかを認識することは、良い機会となった。AIの持つ最大の利点を享受しつつ、Vibe Codingの欠点とされるような要素はほとんどなく、開発を進められていると感じている。コードレビューとセキュリティへの配慮が、自身のすべての作業において依然として最も重要であると理解した上で、この新しい働き方を続けている。
まだAIの活用に乗り気でないエンジニアもいるかもしれないが、AIは開発の現場に定着しており、開発作業のスピードと品質を大きく向上させる強力なツールとなることは間違いない。