【ITニュース解説】🚀 Partial Pre-Rendering (PPR) in Next.js
2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「🚀 Partial Pre-Rendering (PPR) in Next.js」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Next.js 15に新機能PPRが登場。これはページの固定部分を高速に事前表示し、変化する部分を最新の状態でサーバーからリアルタイムに送る技術だ。これにより、サイトは瞬時に表示されつつ、常に新しい情報をユーザーに届けられ、速さと鮮度を両立する。
ITニュース解説
ウェブサイトやウェブアプリケーションを開発する際、利用者に快適な体験を提供するために、ページの表示速度や情報の新しさは非常に重要な要素となる。Next.jsは、この表示に関する課題を解決するために、これまでいくつかの異なる表示(レンダリング)戦略を提供してきた。主要なものとして、SSG(Static Site Generation)、SSR(Server-Side Rendering)、ISR(Incremental Static Regeneration)が挙げられる。SSGは、ウェブサイトを事前に生成しておくことで、非常に高速にページを表示できるが、表示されるデータが常に最新ではない可能性がある。SSRは、ユーザーがページをリクエストするたびにサーバーでページを生成するため、常に最新の情報を表示できるものの、初回表示に時間がかかる場合がある。ISRは、SSGとSSRの中間に位置し、一定期間ごとにページを再生成することで、速度とデータ鮮度のバランスを取る戦略だった。
しかし、Next.js 15で新たに導入されたPartial Pre-Rendering(PPR)は、これらの既存の戦略の利点を組み合わせ、さらに優れたウェブ体験を実現する新しいアプローチである。PPRは「部分的な事前レンダリング」という意味で、その名の通り、ウェブページ全体ではなく、ページの一部だけを事前に準備しておくという考え方に基づいている。
具体的には、ウェブページの骨格となる部分、例えば共通のレイアウト、ヘッダー、フッター、ナビゲーションメニューといった、どのユーザーが見ても内容が変わらない「静的なシェル」を、ウェブサイトを構築する際に事前にレンダリングしておく。この部分はSSGのように一度生成すれば、あとは高速に配信できる。一方、ユーザーごとに異なる情報や、常に最新でなければならない情報、例えば個人のダッシュボード、商品の在庫状況、ユーザー固有のデータといった「動的な部分」は、ユーザーがページをリクエストした時にサーバーから直接ストリーミング配信される。ストリーミングとは、データを一度に全て送るのではなく、準備できた部分から順に少しずつ送っていく技術である。
PPRのこの仕組みによって、静的なコンテンツはキャッシュされ、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)を通じて非常に高速にユーザーに届けられるため、きわめて高速な初期表示が可能となる。ユーザーはまずページの骨格をすぐに目にすることができ、ウェブサイトが素早く立ち上がったように感じるだろう。その一方で、動的なコンテンツはリクエストごとにサーバーから最新のものが送られてくるため、常に「新鮮な」情報が保証される。これにより、これまでのレンダリング戦略ではどちらか一方を優先せざるを得なかった速度とデータ鮮度という課題を、PPRは同時に解決するのだ。
PPRがなぜ重要なのか、そのメリットを詳しく見ていく。まず最も大きなメリットは「パフォーマンスの向上」である。ユーザーはページのUI(ユーザーインターフェース)をほぼ瞬時に見ることができ、待つことなくコンテンツの一部にアクセスできるため、ユーザー体験が大幅に向上する。次に「SEOフレンドリー」である点も重要である。SEOとは検索エンジン最適化のことで、Googleなどの検索エンジンがウェブサイトの内容を正しく理解し、検索結果に適切に表示させるための取り組みである。PPRでは、動的なコンテンツもHTMLの一部としてサーバーからストリーミングされるため、検索エンジンのクローラーがその内容を問題なく読み取れる。これまでのクライアントサイドでのデータ取得では、クローラーが動的なコンテンツを認識しにくい場合もあったが、PPRはこの問題を解決する。
さらに、「TTFB(Time To First Byte)の削減」にも貢献する。TTFBとは、ユーザーがウェブサイトにアクセスしてから、サーバーから最初のデータが届くまでの時間のことである。この時間が短いほど、ユーザーはページの表示が速いと感じる。PPRでは、静的な部分が事前にレンダリングされているため、サーバーは素早く最初のバイトを送り出すことができる。また、「柔軟性」もPPRの大きな特徴である。ウェブページ内で静的なコンテンツと動的なコンテンツを自由に組み合わせることができ、どちらかの性能を犠牲にすることなく、最適なウェブアプリケーションを構築できる。
これまでのレンダリング戦略と比較すると、PPRの立ち位置がより明確になる。SSGは初回ロードは非常に速いがデータは古くなりがちで、主にマーケティングサイトやブログなどに向いていた。SSRは初回ロードはやや遅れることがあるがデータは常に新鮮で、ダッシュボードのようなリアルタイム性が求められるサイトに適していた。ISRは初回ロードは中程度の速さでデータもそこそこ新鮮で、ニュースサイトや商品ページなど、ある程度の更新頻度で良い場合に用いられた。PPRは、初回ロードは「超高速」でありながら、データは「常に新鮮」という、これまでのどの戦略よりも優れた特性を持っている。そのため、静的な情報と動的な情報が混在するハイブリッドなアプリケーションや、ECサイトのようなウェブサイトに最適と言える。
PPRの具体的な実装例を見ると、その仕組みをさらに理解しやすい。例えば、Next.jsのアプリケーションで、共通のヘッダー部分と、ユーザーごとに表示内容が変わる最新の商品リストを表示するページを考えてみる。
1// app/page.tsx 2export default function Page() { 3 return ( 4 <div> 5 {/* 静的なシェル */} 6 <header>🚀 My Next.js App</header> 7 8 {/* 動的なセクション(PPRストリーミング) */} 9 <Suspense fallback={<p>Loading latest products...</p>}> 10 <Products /> 11 </Suspense> 12 </div> 13 ); 14}
このコードでは、<header>タグで囲まれた部分は「My Next.js App」というタイトルを表示する。この部分は、どのユーザーが見ても同じ内容なので、Next.jsはこれを構築時に静的に事前レンダリングする。一方、<Suspense>コンポーネントで囲まれた<Products />コンポーネントは、最新の商品リストを表示する部分である。この内容はユーザーや時間によって変わる可能性があるため、Next.jsはここをPPRの対象とし、ユーザーがページをリクエストした際にサーバーから動的にストリーミングする。<Suspense>は、動的なコンテンツがまだ準備できていない間に「Loading latest products...」というメッセージを表示しておくためのもので、ユーザーはコンテンツがすぐにロードされていない間も、何が起こっているのかを理解できる仕組みである。
PPRは、特に以下のようなウェブアプリケーションで非常に有効である。ECサイトでは、共通の商品リストページ自体は素早く表示しつつ、在庫状況やパーソナライズされたおすすめ商品など、ユーザーごとに異なる情報は最新のものを表示したい場合に役立つ。ユーザー固有のデータが表示されるダッシュボードアプリケーションでは、共通のレイアウトは即座に表示し、ユーザーごとのデータを遅延なくストリーミングできる。また、ニュースサイトやブログでは、ページの骨格や主要な記事リストは高速に表示し、ライブで更新される最新情報やコメントなどを動的にストリーミングすることで、常に新鮮な情報を提供できる。
PPRは、SEO、表示速度、そして動的なデータという、現代のウェブアプリケーションに求められる重要な要素を高いレベルで両立させる画期的な技術である。SSG、SSR、ISRといったこれまでのレンダリング戦略の長所を一つに統合し、次世代の高性能で動的なウェブアプリケーションの構築を可能にする。Next.js 15で導入されたPPRは、これからのウェブ開発の常識を変えていく可能性を秘めている。