ISR(アイエスアール)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
ISR(アイエスアール)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
インターネットサービスプロバイダ (インターネットサービスプロバイダ)
英語表記
ISR (アイエスアール)
用語解説
ISRは、Incremental Static Regenerationの略称であり、日本語では「インクリメンタル静的再生成」と訳される。これは、現代的なWebアプリケーションやWebサイトの表示を高速化するためのレンダリング手法の一つである。Webページのパフォーマンスとコンテンツの鮮度を両立させることを目的としており、特にNext.jsのようなJavaScriptフレームワークで採用されている。従来のWebページ表示方法であるSSG(静的サイト生成)とSSR(サーバーサイドレンダリング)が持つそれぞれの利点を組み合わせ、欠点を補うハイブリッドなアプローチとして注目されている。SSGは事前にすべてのページを生成するため表示が非常に速いが、コンテンツの更新にはサイト全体の再ビルドが必要で、大規模サイトでは時間がかかるという課題があった。一方、SSRはリクエストごとにページを生成するため常に最新の情報を表示できるが、サーバーに負荷がかかりやすく、表示速度がSSGに劣る場合がある。ISRは、この二つの手法の間に位置し、SSGの高速性を維持しながら、 شبهリアルタイムなコンテンツ更新を可能にすることで、これらの課題を解決しようとするものである。
ISRの仕組みを深く理解するためには、まずWebページの主要なレンダリング手法について知る必要がある。代表的なものに、SSGとSSRがある。SSG(Static Site Generation)は、Webサイトをビルド(構築)する時点で、あらかじめすべてのページのHTMLファイルを生成しておく方式である。ユーザーがアクセスした際には、すでに完成しているHTMLファイルを配信するだけなので、サーバーの処理が非常に少なく、極めて高速な表示が可能になる。しかし、ブログの記事追加や商品情報の変更など、コンテンツを更新するたびにサイト全体を再ビルドする必要があり、サイトの規模が大きくなるほどビルド時間が長大化するという問題点を抱えている。一方、SSR(Server-Side Rendering)は、ユーザーからリクエストがあるたびに、サーバー側で動的にHTMLを生成してクライアントに返す方式である。データベースなどから常に最新の情報を取得してページを構築するため、情報の鮮度が高い。しかし、リクエストごとにサーバーでレンダリング処理が走るため、アクセスが集中するとサーバーへの負荷が高くなり、応答速度が低下する可能性がある。ISRは、これらの手法の特性を理解した上で考案された。
ISRは、基本的にはSSGをベースとした技術である。まず、ビルド時に指定された一部のページ、あるいはすべてのページを静的なHTMLとして生成しておく。ここまではSSGと同じである。ISRの最大の特徴は、ビルド後にページを「再生成(Revalidation)」する仕組みを持つ点にある。具体的には、各ページに有効期限(例えば60秒)を設定する。あるユーザーがそのページにアクセスしたとき、サーバーはまずビルド時に生成された、あるいは前回再生成された静的なページを即座に返す。これにより、ユーザーは高速な表示を体験できる。その裏側で、サーバーはページの有効期限が切れているかどうかを確認する。もし有効期限が切れていれば、バックグラウンドでページの再生成処理を開始する。この処理では、最新のデータを取得し、新しいHTMLを生成する。この間、他のユーザーがアクセスしてきた場合も、再生成が完了するまでは古いバージョンの静的ページが表示され続ける。そして、バックグラウンドでの再生成が完了した時点で、生成された新しいページがキャッシュされ、それ以降のアクセスに対しては、この更新されたページが配信されるようになる。この「古いコンテンツを表示しつつ裏で更新する」という挙動は、Stale-While-Revalidateというキャッシュ戦略に基づいている。さらに、ビルド時には存在しなかった新しいページ(例えば、公開後に追加されたブログ記事)に初めてアクセスがあった場合、サーバーはその場でページを動的に生成し、以降はそのページも静的ファイルとしてキャッシュされ、高速に配信されるようになる。
この仕組みにより、ISRは多くのメリットを提供する。第一に、SSGの利点である圧倒的な表示速度を享受できることである。ユーザーへの応答は基本的にCDNなどから配信される静的ファイルで行われるため、体感速度は非常に速い。第二に、コンテンツの鮮度を高く保てる点である。SSGのようにサイト全体を再ビルドすることなく、ページ単位で自動的にコンテンツが更新されていくため、ニュースサイトやECサイトの商品一覧ページなど、頻繁に更新が発生するが、秒単位のリアルタイム性が必須ではないコンテンツに適している。第三に、サーバー負荷を大幅に軽減できることである。SSRのようにリクエストのたびにページを生成するのではなく、指定した有効期限内に一度だけ生成処理が走るため、トラフィックが急増してもサーバーがダウンするリスクを低減できる。最後に、ビルド時間の短縮に貢献する点も挙げられる。SSGでは数万ページあるサイトのビルドに数十分から数時間かかることも珍しくないが、ISRではすべてのページをビルド時に生成する必要はなく、アクセス頻度の高いページだけを事前に生成し、残りはオンデマンドで生成するといった戦略が可能になるため、開発サイクルの高速化にも繋がる。
もちろん、ISRにも考慮すべき点や不得意な分野が存在する。最も重要なのは、完全なリアルタイム性を保証するものではないという点だ。再生成にはタイムラグがあるため、SNSのフィードや株価情報など、常に最新の情報が即座に反映される必要があるアプリケーションには向かない。また、再生成が完了するまでの間、ユーザーには一時的に古い情報が表示される可能性がある。この挙動がビジネス要件として許容できるかどうかを事前に検討する必要がある。さらに、この技術は主にNext.jsなど特定のフレームワークで提供されている機能であり、どのような環境でも利用できるわけではない点にも注意が必要である。ISRは、Webサイトのパフォーマンス、スケーラビリティ、そしてコンテンツの鮮度という、従来はトレードオフの関係にあった要素を高い次元でバランスさせるための強力な選択肢である。システムエンジニアを目指す者は、このような現代的なアーキテクチャの選択肢を理解し、構築するシステムの特性に応じて最適な手法を選定できる能力を身につけることが重要となる。