【ITニュース解説】数値突合のやり方まとめ
2025年09月26日に「Zenn」が公開したITニュース「数値突合のやり方まとめ」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
データパイプライン構築・移行時、作成データと正解データの数値検証は必須だ。Excelでは扱えないほどの大量データ突合は、初心者には難しい作業。この記事では、そんな大規模データの数値突合(検証)に必要なテクニックをまとめている。概念はプラットフォームを問わず活用できる。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す上で、データが正しく処理されているかを確認する作業は非常に重要だ。特に、新しいデータ処理の仕組み(データパイプライン)を構築したり、古いシステムから新しいシステムへデータを移行したりする際には、「作ったデータが正しいデータと本当に同じか」を検証する必要がある。この検証作業を「数値突合(すうちとつごう)」と呼ぶ。数千万行にも及ぶような膨大な量のデータでは、表計算ソフトで手作業で確認するのは現実的ではないため、専門的な知識と技術が求められる。この記事では、そんな大規模なデータの数値突合を効果的に行うための基本的な考え方と具体的なテクニックを解説する。
数値突合の第一歩は、データの「大まかな数値」を比較することから始まる。これは、データ全体の概要を素早く把握し、大きなずれがないかを確認するための段階だ。比較する項目としては、データの総行数、特定の数値項目の合計値、平均値、最小値、最大値などが挙げられる。例えば、元データと新しく生成したデータのそれぞれについて、データベースの集計関数であるCOUNT(*)を使って行数を数えたり、SUM()関数で数値カラムの合計値を算出したりする。これらの値が大きく異なる場合、データの取り込み漏れや重複、計算ロジックの誤りなど、何らかの問題が発生している可能性が高いと判断できる。この段階で大きな問題が見つかれば、詳細な調査に入る前に原因を絞り込むことができる。たとえ数千万行のデータであっても、このようなシンプルな集計値の比較であれば、短時間で実行できるため、まずはこの方法で全体像を把握するのが効率的だ。
次に、より詳細なレベルで数値を突合する方法に進む。大まかな比較で問題がなかった場合でも、データの一部にずれが生じている可能性は残されている。詳細な突合では、データを特定のカテゴリやグループに分けて、それぞれのグループごとの集計値を比較する。例えば、「地域別」や「商品カテゴリ別」といった軸でデータをまとめ、それぞれのグループでの合計値や平均値を算出する。データベースのクエリではGROUP BY句を使用することで、このようなグループごとの集計が容易に行える。元データと新しく生成したデータで、同じグループキーに対する集計値を比較し、一致しているかを確認する。この方法により、データ全体では同じように見えても、特定のグループにだけずれがあるといった問題を発見しやすくなる。例えば、ある特定の地域だけデータが重複している、あるいは特定のカテゴリの商品だけ売上計算に誤りがある、といった具体的な問題箇所を特定する手がかりとなる。
大まかな突合や詳細な突合の結果、何らかのずれが発見された場合、次に必要となるのは「一致しないデータを具体的に特定する」作業だ。これは、どこで、なぜデータが異なっているのかを突き止めるための最も重要なステップである。不一致データの特定には、主にデータベースのJOIN句を活用する。例えば、FULL OUTER JOINを使って元データと新データ両方を結合し、両方のデータに存在しないレコードや、キーは一致するが特定の値が異なるレコードを抽出する方法がある。また、NOT EXISTS句やEXCEPT (またはMINUS)といった集合演算子を使うことで、片方のテーブルにしか存在しないレコードを見つけ出すことも可能だ。これらの手法を用いることで、「元データにはあるが新データにはないレコード」や「新データにはあるが元データにはないレコード」、さらには「両方に存在するが、特定の項目(例えば金額)の値が異なるレコード」といった具体的な差分レコードをリストアップできる。これにより、データパイプラインのどの処理が原因でデータに齟齬が生じたのか、バグの特定や修正に繋げることができる。
数値突合を行う上でいくつか注意すべき点がある。まず、データの「NULL」値の扱いに注意する必要がある。NULLは「値がない」ことを意味し、集計関数や比較演算で予期せぬ結果を引き起こすことがあるため、両方のデータでNULLの扱いが統一されているか確認し、必要に応じてCOALESCE関数などで特定のデフォルト値に変換してから比較すると良い。次に、データ型の一致も重要だ。数値型と文字列型が混在していたり、小数点以下の精度が異なっていたりすると、見た目には同じ数値でもシステム上は異なると判断される場合がある。また、突合の対象となる「正解データ」が本当に正しいデータであるかどうかも、事前に確認しておくべき重要なポイントだ。もし正解データ自体に誤りがあれば、いくら突合しても意味がない。そして、最も効率的な方法は、いきなり全件の詳細な突合を行うのではなく、まずは大まかな比較から始め、徐々に詳細度を上げていく「段階的なアプローチ」を取ることだ。これにより、もし大きな問題がある場合は早期に発見でき、無駄な詳細分析の時間を省くことができる。
システムエンジニアとしてデータに関わる仕事をする上で、データの正確性を保証する数値突合の技術は不可欠なスキルとなる。今回紹介した考え方は、特定のデータベースシステムに限らず、様々なプラットフォームで共通して応用できる普遍的なコンセプトだ。データパイプラインの構築やシステムの移行プロジェクトでは、必ずと言っていいほど数値突合の作業が伴う。これらのテクニックを身につけることで、データの品質を確実に守り、信頼性の高いシステムを構築する能力を向上させることができるだろう。データの整合性を検証するスキルは、システム開発における信頼と品質を確保するための重要な一歩となる。