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DAT(データ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

DAT(データ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

データ (データ)

英語表記

DAT (データ)

用語解説

DATは、Digital Audio Tape(デジタルオーディオテープ)の略称である。元々は高品質なデジタル音源を記録するための磁気テープ規格として開発されたが、その高い記録密度と信頼性に着目され、コンピュータシステムにおけるデータバックアップ用のメディアとして広く普及した。システムエンジニアを目指す上で、過去の重要なバックアップ技術としてその概念と特性を理解しておくことは有益である。

DATは、デジタルデータを磁気テープに記録する方式の一つであり、主にサーバーやワークステーションのデータを定期的にバックアップするために利用された。ハードディスクドライブと比較して単位容量あたりのコストが安価であったため、大容量データの長期保存やオフサイト保管(災害対策として物理的に別の場所にデータを保管すること)に適したソリューションとして重宝された。しかし、磁気テープの特性上、記録されたデータは先頭から順番に読み書きするシーケンシャルアクセスが基本となり、特定のデータに瞬時にアクセスするランダムアクセスには不向きであった。

DATがデータバックアップ用途で広く採用された背景には、オーディオ用途で培われた高密度記録技術があった。DATドライブは、VCR(ビデオカセットレコーダー)に似たヘリカルスキャン方式を採用している。これは、回転するヘッドが斜めに記録トラックを走査することで、テープを高速で移動させることなく効率的にデータを記録する方式である。この技術により、限られたテープ面積により多くのデータを記録することが可能となり、当時の他のリムーバブルメディアと比較して圧倒的な大容量を実現した。

データバックアップ用のDAT規格は、「DDS (Digital Data Storage)」として体系化され、世代を追うごとに記録容量とデータ転送速度が向上していった。初期のDDS-1は非圧縮時で最大1.3GBから2GB程度の容量を持ち、DDS-2では最大8GB、DDS-3では最大12GB、DDS-4では最大20GB(いずれも非圧縮時)と、着実に大容量化が進んだ。さらにDDS規格は拡張され、DAT 72(非圧縮時36GB)、DAT 160(非圧縮時80GB)、DAT 320(非圧縮時160GB)といった名称で、それぞれが大幅な容量増加を達成した。これらの容量は、ドライブ側のデータ圧縮機能を利用することで、理論上はさらに2倍程度のデータを記録できることが多かった。DDS規格は基本的に下位互換性を持ち、新しい世代のドライブで古い世代のテープを読み書きできるのが一般的であったため、システムのアップグレード時に既存のバックアップ資産を活用しやすいという利点もあった。

DATの長所は、まずそのコストパフォーマンスにあった。大容量のデータを比較的安価なテープメディアに保存できるため、バックアップコストを抑えることができた。次に、そのポータビリティである。DATカートリッジはコンパクトで、持ち運びや物理的な保管が容易であったため、定期的なオフサイト保管や、異なるシステム間でのデータ移行にも利用された。また、磁気テープはディスクメディアと比較してデータの長期保存に適しているとされ、適切な環境下で保管すれば数年から数十年単位でのデータ保持が可能であった。

一方で、DATにはいくつかの短所も存在する。最大の欠点は、先述の通りシーケンシャルアクセスであることによるアクセス速度の遅さである。大量のバックアップデータの中から特定のファイル一つをリストアする場合でも、テープの先頭から目的のデータが記録されている位置までテープを巻き送る必要があり、これには時間がかかった。そのため、急を要する個別のファイル復旧には向かず、主にシステム全体や大規模データの復旧、あるいは長期アーカイブ用途で利用された。また、磁気テープは物理的な摩耗や経年劣化、保管環境の影響を受けやすく、テープメディアやドライブヘッドの定期的なクリーニングといったメンテナンスが不可欠であった。テープの損傷やドライブの故障が発生した場合、データの読み出しが不可能になるリスクも存在した。

2000年代以降、ハードディスクドライブの大容量化と低価格化が急速に進み、さらにインターネット回線の高速化とクラウドストレージサービスの普及により、DATの需要は徐々に減少していった。現在、大規模なデータバックアップやアーカイブの主流は、LTO (Linear Tape-Open) と呼ばれる別の磁気テープ規格や、ディスクストレージ、クラウドストレージへと移行している。LTOはDATをはるかに上回る大容量と高速なデータ転送速度を実現しており、現代のエンタープライズ環境におけるテープバックアップの中心となっている。しかし、DATはかつて多くの企業や組織のデータ保護を支えた重要な技術であり、その特性や進化の過程を理解することは、現在のバックアップ戦略やデータ管理技術を深く理解する上での基礎知識となる。古いシステムで稼働している環境や、特定の長期アーカイブ用途でDATが現在も利用されているケースも皆無ではない。

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