【ITニュース解説】I Replaced 3 Paid SaaS Tools With These Python Libraries — And Saved $1,200 a Month
2025年09月07日に「Medium」が公開したITニュース「I Replaced 3 Paid SaaS Tools With These Python Libraries — And Saved $1,200 a Month」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
筆者は有料SaaSツールをPythonライブラリで置き換え、月1200ドルの大幅なコスト削減を実現した。長年SaaSに依存していたが、プログラミングを活用し履歴書作成や動画編集といった作業を効率化できることを具体例で解説している。
ITニュース解説
この記事は、私たちが日頃当たり前のように利用している「SaaSツール」を、プログラミング言語であるPythonを使って代替することで、毎月1200ドルもの費用を削減したという事例を紹介している。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、なぜプログラミングが単なるツールの利用に留まらない、より本質的な問題解決の手段となるのかを理解する上で非常に参考になるだろう。
まず、SaaS(Software as a Service)について簡単に説明する。SaaSとは、インターネットを通じて提供されるソフトウェアサービスのことで、利用者はソフトウェアを自分のパソコンにインストールすることなく、ウェブブラウザなどから手軽に利用できる。例えば、オンラインの文書作成ツールやファイル共有サービス、プロジェクト管理ツールなどがこれにあたる。SaaSの最大の利点は、手軽に利用を開始でき、常に最新の機能が提供されることだが、多くの場合、月額や年額の利用料が発生する。利用するツールが増えたり、利用人数が増えたりすると、その費用は徐々に積み重なり、無視できない金額になることがある。記事の筆者も、最初はSaaSの手軽さに惹かれて多くのツールを使っていたが、その合計金額に気づき、代替手段を探し始めたのだ。
そこで筆者が目をつけたのが、プログラミング言語のPythonだった。Pythonは、文法がシンプルで分かりやすいため、プログラミング初心者にも学習しやすい言語として広く知られている。また、Pythonが非常に強力なのは、多種多様な「ライブラリ」が豊富に用意されている点にある。ライブラリとは、特定の機能や処理を簡単に実行できるように、あらかじめ書かれたプログラムの部品集のようなものだ。例えば、データ分析のためのライブラリ、ウェブアプリケーションを作るためのライブラリ、人工知能を扱うためのライブラリなど、専門分野ごとに多くのライブラリが存在する。これらのライブラリを組み合わせることで、SaaSツールが提供するような様々な機能を、自分でプログラミングして実現できるようになるのだ。SaaSが「誰かが作った完成品を借りる」感覚だとすれば、Pythonで自作するアプローチは「自分で部品を選び、組み合わせて、独自の道具を作り出す」感覚に近い。この「自分で作り出す」能力こそが、システムエンジニアにとって非常に価値のあるスキルとなる。
記事では、具体的に3つの有料SaaSツールをPythonで代替した事例が挙げられている。
一つ目は「履歴書作成・最適化ツール」の代替だ。就職や転職の際に、自分のスキルや経験を効果的にアピールするためには、応募する企業や職種に合わせて履歴書の内容を調整することが重要となる。有料のSaaSツールでは、テンプレートの提供や、企業の職務記述書からキーワードを抽出して履歴書を最適化する機能が一般的だ。筆者はこれをPythonで実現した。具体的には、Pythonの「python-docx」というライブラリを使ってWord形式の履歴書ファイルを操作したり、テキスト分析のライブラリ(例えば、データ分析でよく使われるPandasや、機械学習で使われるscikit-learnといったものが考えられる)を用いて職務記述書から重要なキーワードを抽出したりした。そして、これらのキーワードが履歴書にどれだけ含まれているかを評価し、最適化の提案を行うプログラムを自作したのだ。これにより、SaaSツールのような汎用的な最適化だけでなく、自分だけの独自の視点や評価基準に基づいて履歴書をカスタマイズできるようになった。
二つ目は「動画編集ツール」の代替だ。動画編集SaaSは、動画のカット、複数の動画の結合、エフェクトの追加、テキスト(テロップ)の挿入など、多くの便利な機能を提供している。しかし、定型的な短い動画の編集や、単純な作業のために高価なツールを使い続けるのは非効率な場合がある。筆者はPythonの「MoviePy」というライブラリを活用して、これらの動画編集作業を自動化した。MoviePyは、動画の切り出しや結合、画像やテキストのオーバーレイといった基本的な動画編集処理をPythonのコードで実行できるようにする。このライブラリは、内部で強力なメディア処理ツールである「FFmpeg」と連携しており、比較的複雑な処理も可能にする。例えば、毎週同じ形式で作成する動画の冒頭に自動でオープニング動画を挿入したり、決まった位置にテロップを自動で追加したりといった作業を、あらかじめ用意したPythonスクリプトを実行するだけで済ませられるようになった。これは、手作業に比べて大幅な時間短縮と作業ミスの削減につながる。
三つ目は「音声転写・文字起こしツール」の代替だ。会議の議事録作成やインタビューの書き起こしなど、音声ファイルをテキストに変換する文字起こしツールは、現代のビジネスシーンで非常に重宝されている。高精度な文字起こしを提供するSaaSツールは多数存在するが、利用時間やデータ量に応じて費用がかさむことが多い。筆者は、OpenAIが公開している高性能な音声認識モデル「Whisper」をPythonから利用することで、この文字起こしSaaSを代替した。Whisperは、多言語に対応し、高い精度で音声をテキストに変換できる。これをPythonの「pydub」のような音声ファイルを扱うライブラリと組み合わせ、自分の音声ファイルをWhisperモデルに送り、文字起こし結果を受け取るプログラムを自作したのだ。OpenAIの提供するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース。異なるソフトウェア同士が情報をやり取りするための仕組み)を通じてWhisperを利用する場合、利用量に応じた料金は発生するものの、高額な月額固定費用を支払うSaaSに比べて、必要な時に必要なだけ使うことで大幅なコスト削減が見込める。
これらの事例は、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、非常に重要な示唆を与えている。それは、既存のツールを単に使うだけでなく、「そのツールがどのような仕組みで動いているのか」「もっと良い、あるいはもっと効率的な方法はないか」という視点を持つことの重要性だ。プログラミングスキルを身につけることで、既存のSaaSツールでは不可能だったような独自のカスタマイズを実現したり、高額な費用がかかっていた作業をコスト効率良く自動化したりする力が手に入る。今回の記事のように、プログラミングによって月額1200ドルもの費用を削減できたことは、経済的なメリットにとどまらず、筆者自身の技術的なスキルや問題解決能力を大きく向上させたことに違いない。プログラミングは、単にコードを書く技術だけでなく、目の前の課題を深く分析し、論理的な解決策を設計し、それを実際に形にする「思考法」そのものだ。システムエンジニアとして、このような視点とスキルを磨くことは、皆さんの将来のキャリアにおいて、かけがえのない強みとなるだろう。