【ITニュース解説】The Python Side Project That Failed (But Changed How I Code Forever)
2025年09月05日に「Medium」が公開したITニュース「The Python Side Project That Failed (But Changed How I Code Forever)」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Pythonでの個人プロジェクトは失敗に終わったが、その過程でプログラミングの深い学びを得た。この挫折経験が、その後のコーディングに対する向き合い方を根本から変える大きな転機となった。
ITニュース解説
あるプログラマがPythonを使ったサイドプロジェクトに挑戦し、最終的には失敗に終わったものの、その経験が彼のコーディング方法を根本的に変え、貴重な学びをもたらした話がある。これは、システムエンジニアを目指す皆さんにとっても、失敗からいかに学び、成長していくかを示す良い教訓となるだろう。
彼が取り組んだプロジェクトは、Redditというソーシャルニュースサイトの過去の投稿を分析し、特定のキーワードのトレンドを特定するというものだった。PythonのライブラリであるPRAWを使ってRedditのAPIからデータを取得し、Pandasでデータを処理・分析し、Matplotlibで可視化することを想定していた。しかし、プロジェクトを進める中で、様々な問題に直面し、最終的には計画通りに動かない複雑なコードの塊となってしまった。
まず、彼はデータ取得の段階で大きな壁にぶつかった。RedditのAPIには「レートリミット」という、一定時間内に送れるリクエスト数に上限がある制限があり、これを考慮せずに大量のリクエストを送ったため、何度もエラーが発生した。また、APIからのレスポンスが常に期待通りの形式ではなく、無効なデータや欠損データも頻繁に含まれていた。これらのエラーへの対処が不十分だったため、スクリプトは途中で停止したり、誤った結果を出力したりすることが繰り返された。
コード自体も問題だった。最初は小さなスクリプトとして始まったものが、エラー処理や追加機能が次々と盛り込まれるうちに、非常に巨大で複雑な一つのファイルになってしまった。そのため、どこで何が起こっているのかを把握するのが困難になり、エラーが発生しても原因を特定し、修正するのに膨大な時間がかかった。個々の機能が独立しておらず、すべてが密接に絡み合っていたため、少し修正するだけで他の部分に予期せぬ影響が出てしまうことも頻繁にあった。
このような失敗を経験した彼は、以下の重要な教訓を得た。
第一に、堅牢なエラーハンドリングの重要性だ。単にtry-exceptでエラーを捕まえるだけでなく、どのような種類の例外が発生しうるかを具体的に想定し、それぞれに対して適切な処理を行う必要がある。例えば、APIからのデータが壊れている場合と、ネットワーク接続が切れた場合では、取るべき対応が異なる。エラーが発生した際には、その詳細をログに記録することで、後から問題を分析しやすくなる。
第二に、モジュール化されたコード設計だ。巨大なスクリプトは保守性が低い。彼は、コードを小さな関数やクラスに分割し、それぞれが単一の明確な責任を持つように設計することの重要性を学んだ。これにより、コードの各部分が独立して機能するようになり、再利用性が高まり、テストもしやすくなった。例えば、データの取得、データの加工、データの保存といった処理をそれぞれ別の関数として定義するイメージだ。
第三に、包括的なテストの実践だ。コードが正しく動作するかを確認するためには、テストが不可欠である。彼は、個々の関数が期待通りに動くかを確認する「ユニットテスト」と、複数のコンポーネントが連携して全体として正しく機能するかを確認する「結合テスト」の重要性を認識した。テストを事前に書くことで、バグを早期に発見し、コードの変更が既存の機能に悪影響を与えないことを保証できるようになる。
第四に、デバッグとモニタリングのためのログ記録だ。問題が発生したときに、print()文で情報を出力するだけでは不十分であることが分かった。Pythonのloggingモジュールを使うことで、タイムスタンプや発生元のファイル名、ログレベル(情報、警告、エラーなど)といった詳細な情報を記録でき、問題発生時の状況を正確に把握し、原因を特定するのに役立つ。
第五に、**環境管理(仮想環境)**の利用だ。プロジェクトが進むにつれて、多くの外部ライブラリを使うことになるが、これらのライブラリにはそれぞれ異なるバージョンがあり、複数のプロジェクトで同じライブラリの異なるバージョンを使うと競合が発生することがある。彼は、Pythonの仮想環境(venvなど)を使って、プロジェクトごとに独立した環境を構築し、依存関係を適切に管理することの重要性を学んだ。
第六に、**バージョン管理(Git)**の活用だ。コードの変更履歴を管理し、いつでも以前の状態に戻せるようにすることは、プロジェクト開発において非常に重要だ。彼はGitのようなバージョン管理システムを使うことで、コードの変更を追跡し、誤った変更を簡単に取り消せるようになり、将来的に他の開発者と協力する際の基盤も構築できた。
第七に、ドキュメントと型ヒントの記述だ。自分で書いたコードでも、時間が経つと何のために書いたのか分からなくなることがある。彼は、関数やクラスの目的、引数、戻り値などを明確にするドキュメント(Docstrings)や、変数や関数の引数・戻り値の型を明示する「型ヒント」の重要性を知った。これらはコードの可読性を高め、将来の保守作業を容易にする。
最後に、現実的なスコープ設定と反復的な開発だ。最初から完璧なシステムを作ろうとすると、途中で挫折しやすい。彼は、まず最小限の機能を持つ動くもの(Minimum Viable Product: MVP)を作り、そこから段階的に機能を追加し、改善していく「反復的な開発」のアプローチが重要であると学んだ。これにより、モチベーションを維持しやすくなり、早い段階でフィードバックを得て方向修正ができるようになる。
この失敗経験は、彼にとって単なるプロジェクトの頓挫ではなく、プログラマとして成長するための貴重な学習機会となった。システムエンジニアを目指す皆さんも、実践的なプロジェクトを通じて多くの問題に直面し、失敗から学ぶことで、より実践的で堅牢なシステムを開発するスキルと心構えを身につけられるだろう。失敗は避けるべきものではなく、成長のための重要なステップなのである。