【ITニュース解説】The 10 Python Rules That Separate Beginners from Real Developers
2025年09月07日に「Medium」が公開したITニュース「The 10 Python Rules That Separate Beginners from Real Developers」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Python初心者が実践すべき10のルールで、プロのシステムエンジニアへと成長できる。自分のPCだけで動くコードから脱却し、誰でも使える質の高いPythonコードを書くための具体的な指針だ。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す上で、自分のパソコンでしか動かないコードから、チーム開発や本番環境で通用する「プロのコード」へと進化するには、いくつかの重要な原則を理解し実践する必要がある。ここでは、初心者が陥りがちな落とし穴を避け、より堅牢で保守性の高いコードを書くための10のルールについて解説する。
まず、デバッグのためにprint()関数を多用するのは避けよう。開発中の簡単な確認には便利だが、本番環境のシステムでは、不要な出力がログファイルを埋め尽くしたり、パフォーマンスに悪影響を与えたりする可能性がある。代わりに、Python標準のloggingモジュールを利用することを推奨する。loggingを使えば、ログの重要度に応じてレベル分けし、ファイルに出力したり、ネットワーク経由で送信したりと、より柔軟かつ効率的にシステムの動作状況を追跡できるようになる。
次に、プログラム内で重要な値を直接コードに書き込む「ハードコード」は極力避けるべきだ。データベースの接続情報やAPIキー、外部サービスのエンドポイントURLといった値は、環境によって変化する可能性があり、セキュリティ上のリスクも伴う。これらの値は、設定ファイル(JSON、YAMLなど)や環境変数として外部から読み込むように設計すると良い。これにより、コードを変更せずに設定だけを変更でき、開発環境と本番環境での切り替えが容易になり、機密情報の管理もより安全になる。
コードの可読性を損なう、副作用のある一行コードも避けるべきだ。Pythonは簡潔に書ける言語だが、一行で複数の処理を詰め込みすぎたり、理解しにくい表現を使ったりすると、後からコードを読んだりデバッグしたりする際に非常に苦労することになる。特に、グローバルな状態を変更するような副作用を持つ処理を一行で書くと、予期せぬバグの原因になりやすい。可読性を最優先し、処理の流れが明確になるように複数の行に分けて記述することが、長期的なコードの品質を保つ上で重要だ。
関数内でグローバル変数に直接アクセスしたり変更したりすることも避けるべき行為の一つである。グローバル変数はプログラム全体からアクセスできるため、関数内で意図せず変更してしまうと、他の部分でその変数が使われている箇所すべてに影響が及び、追跡が困難なバグにつながりやすい。変数のスコープを意識し、関数が必要とするデータは引数として明示的に渡し、関数が計算した結果は戻り値として返すようにする。これにより、関数の独立性が高まり、テストや再利用が容易になる。
例外処理を無視しないことも重要だ。プログラムの実行中には、ファイルが見つからない、ネットワークに接続できない、不正なデータが入力されたなど、様々なエラー(例外)が発生する可能性がある。これらの例外を適切に処理しないと、プログラムは突然停止してしまう。try-exceptブロックを使い、発生しうる例外を予測して、それに対する回復処理やエラーメッセージの表示、ログ記録などを記述する。これにより、プログラムの堅牢性が向上し、予期せぬ状況でも安定した動作を継続できるようになる。
一つの関数やクラスが長くなりすぎないよう、その役割を限定することも大切だ。コードの塊が大きくなると、その全体像を把握するのが難しくなり、修正や機能追加の際に他の部分への影響を予測しにくくなる。これは「単一責任の原則」と呼ばれる設計原則であり、一つの関数やクラスには、ただ一つの明確な責任を持たせるべきだ。小さな関数やクラスに分割することで、それぞれの部品が理解しやすくなり、テストもしやすくなり、再利用性も向上し、結果として保守性の高いコードになる。
同じような処理のコードを何度もコピー&ペーストするのは避けるべきだ。これは「Don't Repeat Yourself (DRY)」原則に反する行為であり、もしその処理にバグが見つかったり、仕様が変更されたりした場合、すべてのコピー箇所を漏れなく修正しなければならず、修正漏れによる不整合や新たなバグの原因となる。共通する処理は関数やクラスとして抽象化し、それを必要な場所で呼び出すようにする。これにより、コードの重複をなくし、保守性を大幅に向上させることができる。
コードの品質を保証するために、テストを書くことを忘れてはならない。手動での動作確認には限界があり、プログラムの規模が大きくなるにつれて、すべての機能を網羅的にチェックするのは不可能になる。ユニットテストや統合テストといった自動テストを記述することで、開発中に機能が意図通りに動作するかを継続的に確認できる。これにより、バグの早期発見が可能になり、安心してコードの修正や機能追加を行えるようになる。テストコードは、ある意味でコードの「説明書」としても機能する。
except:とだけ書く「bare except」の使用は避けるべきだ。これはあらゆる種類の例外を捕捉してしまうため、プログラマーが意図しないシステムエラーやタイプミスなどもすべて捕らえてしまい、本当に解決すべき問題が隠蔽されてしまう可能性がある。デバッグが困難になるだけでなく、プログラムが期待しない動作をする原因にもなりかねない。特定の例外(例: ValueError、FileNotFoundErrorなど)を指定して捕捉することで、どのエラーに対してどのような処理をするか明確になり、問題の特定と解決が容易になる。
最後に、すでに存在する高品質なライブラリやフレームワークを積極的に活用するべきだ。プログラミングの多くのタスク(データ処理、Web開発、データベース操作など)には、すでに多くの開発者によってテストされ、改善されてきた優れたツールが存在する。ゼロからすべてを自分で作る「車輪の再発明」は、時間の無駄であり、セキュリティや信頼性の面で劣るコードを生み出す可能性が高い。既存のものを活用することで、開発時間を短縮し、より堅牢で効率的なシステムを構築できる。
これらのルールは、単に「正しく動くコード」を書くだけでなく、「プロフェッショナルな品質のコード」を書くために不可欠な考え方である。これらを意識して日々のコーディングに取り組むことで、システムエンジニアとしての成長を大きく加速させることができるだろう。