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【ITニュース解説】Python Walrus Operator Explained With Examples for Everyday Coding

2025年09月15日に「Medium」が公開したITニュース「Python Walrus Operator Explained With Examples for Everyday Coding」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

PythonのWalrus Operator (:=)は、条件式内で変数の代入を同時に行える便利な記法だ。これにより、一行で値の確認と代入ができ、コードをより簡潔に記述できる。プログラムの可読性や効率を向上させる上で役立つ機能だ。

ITニュース解説

Pythonは、そのシンプルで読みやすい文法から、多くのプログラマーに愛用されているプログラミング言語である。特にシステムエンジニアを目指す初心者にとって、Pythonは学習の敷居が低く、多様な分野で活用できるため、最初に学ぶ言語として非常に適していると言える。Pythonの進化は止まることなく、新しいバージョンがリリースされるたびに、より効率的で表現豊かなコードを書くための新機能が追加されている。その一つが、Python 3.8で導入された「セイウチ演算子(Walrus Operator)」である。この演算子は:=と表記され、まるでセイウチの牙のように見えることからその名が付けられた。

セイウチ演算子が導入された背景には、プログラミングにおけるある種のコードの冗長性を解消したいという目的がある。プログラミングをしていると、ある値を計算したり取得したりした後、その値を一時的に変数に代入し、さらにその変数の値を使って何らかの条件を判定するという状況が頻繁に発生する。例えば、ユーザーからの入力データの長さを調べ、それが特定の条件を満たすかどうかを確認し、さらにその長さを別の処理で使いたいといった場合だ。従来のPythonでは、この一連の処理を複数の行に分けて記述する必要があった。まずデータを取得して変数に代入し、次にその変数を使って条件式を書き、その条件が真であれば、再びその変数を利用して処理を行う、といった流れである。これにより、コードの行数が増えたり、同じ値に対する操作が分散したりして、時にはコードの可読性が損なわれることがあった。

セイウチ演算子:=は、この課題を解決するために「代入と同時に式の結果を返す」というユニークな機能を提供する。一般的な代入演算子=が値を左辺の変数に代入する「文」であるのに対し、セイウチ演算子:=は、値を代入すると同時にその代入された値を「式の結果」として返す。この違いが非常に重要である。つまり、:=は式の一部として機能できるため、例えばif文やwhileループの条件式の中に直接代入操作を組み込むことが可能になる。

具体的な例で考えてみよう。例えば、ある関数get_data()がデータを返し、そのデータが空でない場合にのみ処理を行いたいとする。 従来の書き方では、まずデータを取得し、変数に代入し、その後に条件判定を行うため、以下のようになる。

1data = get_data() # まずデータを取得し、data変数に代入
2if data: # dataが空でないか条件判定
3    # dataを使った処理を行う

この場合、get_data()の呼び出しとdata変数への代入、そしてif文での条件判定が別々の行で行われている。もしget_data()が何らかの重い処理を含む場合、その結果を一時的に保存しておく必要があり、それは自然な書き方ではある。しかし、if文の条件判定のためだけにdataという一時変数を宣言し、かつ代入と判定が分離している点は、人によってはやや冗長と感じるかもしれない。

ここでセイウチ演算子:=を使うと、このコードを以下のように簡潔に記述できる。

1if (data := get_data()): # get_data()の結果をdataに代入し、その結果が真であれば条件が成立
2    # dataを使った処理を行う

この一行では、まずget_data()が呼び出され、その戻り値がdata変数に代入される。同時に、その代入されたdata変数の値がif文の条件式の結果として使用される。これにより、get_data()の呼び出しは一度で済み、コードの行数が削減され、if文の条件部分で「代入しつつ判定する」という意図がより明確に表現される。この例は、セイウチ演算子がコードをよりコンパクトに、かつ読みやすくする典型的なケースを示している。

もう一つの強力な使用例は、whileループの中である。whileループで外部リソース(例えばファイル)からデータを読み込み続け、特定の条件(例えばデータが尽きたとき)でループを終了させたい場合を考える。 従来の書き方では、ループに入る前に一度データを読み込み、ループの本体の最後で再度データを読み込む、というパターンがよく見られた。

1line = file.read_line() # ループに入る前に最初の行を読み込む
2while line: # lineが空文字列でない限りループを継続
3    # lineを使った処理を行う
4    line = file.read_line() # ループの最後に次の行を読み込む

このコードでは、file.read_line()の呼び出しがループの外部と内部で重複して記述されており、これもまた冗長性の原因となる。もしfile.read_line()の代わりに、もっと複雑なデータ取得処理や計算があった場合、その重複はさらにコードの保守性を低下させる可能性がある。

セイウチ演算子:=を使うと、このwhileループを次のように簡潔に書ける。

1while (line := file.read_line()): # 行を読み込み、lineに代入し、その結果が真であればループを継続
2    # lineを使った処理を行う

この書き方では、file.read_line()の呼び出しはwhileループの条件式の中で一度だけ行われる。読み込んだ結果がline変数に代入され、同時にその結果がループの継続条件として評価される。これにより、コードの重複が解消され、ループの構造がより簡潔になり、どこでデータが読み込まれ、どこでそのデータが利用されるのかが一目でわかりやすくなる。これは、特にファイル処理やネットワーク通信など、継続的にデータを読み込む場面で非常に有効なテクニックである。

さらに、リスト内包表記(list comprehension)や辞書内包表記(dictionary comprehension)のような高度なPythonの機能と組み合わせることも可能である。これらの内包表記は、リストや辞書を効率的に生成するための強力なツールだが、計算結果を一時的に保持し、その結果に基づいてフィルタリングや変換を行いたい場合に、セイウチ演算子が役立つことがある。例えば、ある関数f(x)の計算結果が特定の条件を満たす場合のみ、その結果をリストに含めたいが、f(x)の呼び出しは一度だけにしたい、というような複雑なシナリオで、セイウチ演算子を用いることで、より洗練された一行のコードを実現できる場合がある。ただし、内包表記内での:=の利用は、コードが複雑になりすぎないよう注意が必要である。初心者のうちは、if文やwhileループでの基本的な使い方を習得することに注力するのが良いだろう。

セイウチ演算子:=は、コードの簡潔性、可読性の向上、そして一部の処理の効率化というメリットをもたらす。しかし、どんな強力なツールにも適切な使い方があるように、セイウチ演算子もむやみに使うべきではない。コードの可読性は、プログラミングにおいて最も重要な要素の一つである。もしセイウチ演算子を使うことで、かえってコードが読みにくくなったり、意図が伝わりにくくなったりするようであれば、従来の複数行に分けた記述の方が望ましい。例えば、非常に複雑な式を代入し、その結果でさらに複雑な条件を判定するような場合、一行に詰め込みすぎると理解が困難になることがある。常に、他の開発者がそのコードを読んだときに、直感的に理解できるかどうかを考えることが重要である。

システムエンジニアを目指す上では、このような新しい言語機能を理解し、適切に使いこなす能力が求められる。セイウチ演算子は、Pythonのよりモダンな書き方の一つであり、これを知っていることで、既存のコードを読み解く際にも、また新しいコードを書く際にも役立つだろう。まずは簡単な例から試してみて、その動作を理解し、徐々に自身のプロジェクトで役立つ場面を見つけていくことをお勧めする。Python 3.8以降のバージョンで利用可能であるため、自身のPython環境がこのバージョン以上であることを確認してから使用する必要がある。適切に活用すれば、より洗練された、効率的なPythonコードを書くための強力な味方となることは間違いない。

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