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【ITニュース解説】rasbt / LLMs-from-scratch

2025年10月28日に「GitHub Trending」が公開したITニュース「rasbt / LLMs-from-scratch」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

「rasbt / LLMs-from-scratch」は、PyTorchを使いChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)を一から段階的に実装するGitHubリポジトリだ。AIモデル開発の具体的な手順と基礎を学べる。

出典: rasbt / LLMs-from-scratch | GitHub Trending公開日:

ITニュース解説

「rasbt / LLMs-from-scratch」というプロジェクトは、今話題のChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)を、プログラミング言語PythonとディープラーニングフレームワークPyTorchを使って、文字通りゼロから構築する手順を詳細に解説したものだ。システムエンジニアを目指す初心者にとって、最新のAI技術であるLLMの根幹を深く理解するための貴重な教材となるだろう。

LLMとは、大量のテキストデータを学習することで人間のような自然な文章を生成したり、質問に答えたりする能力を持つAIモデルである。私たちが日常で使うチャットボットや翻訳ツール、文章作成支援ツールなど、その応用範囲は急速に広がっているが、その内部で具体的に何が起きているのか、ブラックボックスのように感じている人も少なくないだろう。このプロジェクトは、その「ブラックボックス」を自らの手で開け、内部の仕組みを解明することを目的としている。

このプロジェクトの最大の特徴は、「ゼロから」実装することに重点を置いている点だ。通常、LLMを扱う際には、Hugging Faceなどの既存の強力なライブラリや、すでに訓練されたモデルを基にカスタマイズすることが一般的である。しかし、「LLMs-from-scratch」では、そうした便利なツールに頼らず、モデルの最小単位であるニューロンの結合から始まり、データの前処理、モデルのアーキテクチャ設計、学習アルゴリズムの実装まで、全ての要素を自分たちの手で構築していく。これは、LLMがどのように機能するのか、その数学的・計算的な基礎を深く理解するために不可欠なアプローチであり、単にツールを使いこなすだけでは得られない深い洞察を与えてくれる。

プロジェクトで使われるPyTorchは、Facebook(現Meta)が開発したオープンソースのディープラーニングフレームワークである。Python言語で記述でき、高い柔軟性を持ち、研究開発分野で広く利用されている。PyTorchを使うことで、複雑なニューラルネットワークの構築や、データの並列処理、勾配計算といったディープラーニング特有の処理を効率的に記述できるようになる。このプロジェクトでは、PyTorchの基本的な操作から、より高度な機能までを実践的に学ぶことができるため、将来的なAI開発の基礎を固めることができる。

プロジェクトは「ステップバイステップ」で進められるため、初心者でも挫折しにくいように配慮されている。具体的には、まずテキストデータを機械が理解できる形に変換する「トークナイザ」の構築から始まる。これは、文章を単語や文字などの小さな単位に分解する処理である。次に、トークン化された単語や文字を数値ベクトルに変換する「埋め込み層」の設計が行われる。そして、LLMの心臓部とも言える「アテンション機構」や、現代のLLMの基盤となっている「トランスフォーマーブロック」といった主要な構成要素を順に実装していく。これらの各ステップで、それぞれの要素がどのような役割を果たし、どのように組み合わさって最終的なLLMを形成するのかを詳細に解説する。例えば、アテンション機構が文章中のどの単語に注目すべきかを学習する仕組みや、トランスフォーマーがシーケンスデータを効率的に処理する方法などが、豊富なコード例と共に示される。最終的には、実際に構築したモデルを訓練し、その性能を評価するプロセスまでを体験できる。

このプロジェクトに取り組むことで、単にLLMのコードを書けるようになるだけでなく、多くの重要なスキルと知識を習得できる。まず、Pythonプログラミングの応用力が飛躍的に向上するだろう。また、PyTorchを用いたディープラーニングモデルの構築と訓練の基礎を実践的に習得できる。さらに、LLMの内部構造、特にトランスフォーマーアーキテクチャの深い理解が得られるため、将来的に既存のLLMをカスタマイズしたり、特定の用途に特化したAIモデルを開発したりする際に、その知識が強力な武器となる。データの前処理、モデルのデバッグ、性能評価といった、実際のシステム開発で必要とされる一連のプロセスを経験することもできるため、AIエンジニアとしての総合的な能力を高めることが可能だ。

システムエンジニアとしてAI分野、特に自然言語処理の最前線で活躍したいと考えるなら、この「LLMs-from-scratch」は絶好の学習機会となる。確かに、ゼロからモデルを構築することは時間と労力を要するが、それによって得られる深い理解と実践的なスキルは、他のどんな学習方法でも得られない価値がある。AI技術が社会の基盤となりつつある現代において、その根幹を自らの手で作り上げる経験は、将来のキャリアにおいて大きな自信と可能性をもたらすに違いない。このプロジェクトを通じて、複雑に見えるLLMの仕組みが、一つ一つのシンプルな要素の組み合わせで成り立っていることを実感し、AI技術への理解を一段と深めてほしい。

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