【ITニュース解説】Rust compiler performance survey 2025 results
2025年09月12日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「Rust compiler performance survey 2025 results」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Rustコンパイラの2025年性能調査結果が発表された。プログラムを実行可能な形式にするコンパイルの速度やメモリ使用量に関する現状が報告され、今後のRust開発の改善に役立つ情報が示された。
ITニュース解説
Rustコンパイラの性能に関する2025年の調査結果が発表された。この調査は、Rustというプログラミング言語の開発体験をより良くするために、コンパイラの速度や効率がどの程度向上しているか、そしてまだ改善すべき点があるのかを評価する重要な取り組みである。システムエンジニアを目指す者にとって、コンパイラの性能がなぜ重要なのか、そして今回の調査がどのような内容であったかを理解することは、開発現場での生産性や効率を考える上で役立つだろう。
コンパイラとは、人間が書いたプログラムのソースコードを、コンピュータが直接実行できる形式(機械語)に変換するソフトウェアのことである。この変換作業(コンパイル)にかかる時間は、開発者がコードを修正するたびに頻繁に発生するため、その速度は開発効率に直結する。コンパイルが遅いと、ちょっとした変更でも待機時間が増え、開発者の集中力やモチベーションが低下する原因となる。特にRustは、その安全性と高性能を保証するために厳格なチェックを行うため、他の言語に比べてコンパイル時間が長くなりがちだという課題を抱えていた歴史がある。そのため、コンパイラの性能向上はRustコミュニティにとって常に重要なテーマなのである。
今回の2025年の調査では、主に以下の点が評価されている。一つは「コンパイル時間」だ。これは、プログラム全体を最初からコンパイルする「フルコンパイル」と、変更があった部分だけを効率的に再コンパイルする「インクリメンタルコンパイル」の両方が含まれる。フルコンパイルは、例えばプロジェクトを初めてビルドする際や、継続的インテグレーション(CI)環境で毎回クリーンビルドを行う際に重要となる。インクリメンタルコンパイルは、日常的な開発作業においてコードを少し修正してすぐに動作を確認する際に、圧倒的な速度向上をもたらすため、開発者の体感速度に最も影響を与える項目である。
もう一つの重要な評価項目は「メモリ使用量」である。コンパイラが動作中にどれくらいのメモリを消費するかは、特に大規模なプロジェクトや、リソースが限られた開発環境で問題となることがある。メモリ使用量が多いと、コンパイル中にシステム全体の動作が遅くなったり、最悪の場合メモリ不足でコンパイルが失敗したりすることもあるからだ。
さらに、「リンカ」の性能も調査の対象となっている。リンカは、コンパイラが出力した複数の機械語ファイルや、ライブラリファイルを一つにまとめて実行可能なプログラムを作成する役割を担う。このリンク処理の速度も、最終的なビルド時間に影響を与える要素の一つである。
2025年の調査結果によると、Rustコンパイラの性能は着実に向上していることが示されている。特にインクリメンタルコンパイルの最適化が進み、多くの開発者が日常的なコード変更における待ち時間の短縮を実感していると報告されている。これは、Rustの開発体験を大幅に改善し、より多くの開発者がRustを選択するきっかけとなっているだろう。開発者は、コードを修正してすぐに結果を確認できるため、試行錯誤のサイクルを高速に回せるようになり、生産性が向上する。
しかし、依然として課題も残されていることが明らかになった。特に大規模なRustプロジェクトや、複雑なジェネリクス(型を汎用的に扱う機能)やマクロ(コード生成機能)を多用したコードベースでは、フルコンパイル時間や、初回コンパイル時のメモリ使用量が課題となる場合があるという。これは、Rustの強力な型システムや安全性チェックがもたらす恩恵の裏返しでもある。コンパイラは、コードの安全性と正しさを保証するために多くの処理を行うため、それがコンパイル時間の増加につながることがあるのだ。
調査ではまた、特定のサードパーティ製クレート(ライブラリ)の利用がコンパイル時間に大きな影響を与えるケースも指摘されている。人気の高い一部のクレートは、その機能の豊富さや汎用性の高さから、依存関係が複雑になり、ビルドプロセスを遅くする要因となることがある。開発者は、プロジェクトの依存関係を適切に管理し、不要な機能や重いクレートを避けるなどの工夫も必要となるだろう。
今後のRustコンパイラの開発では、これらの残された課題に対するさらなる改善が期待されている。コンパイラ開発チームは、パフォーマンスのボトルネックを特定し、より効率的なアルゴリズムを導入したり、コンパイルの並列化をさらに進めたりすることで、速度向上とリソース消費の削減を目指している。また、プロファイルガイド付き最適化(PGO)やリンク時最適化(LTO)といった高度な最適化技術の適用範囲を広げ、より多くのプロジェクトでその恩恵を受けられるようにする取り組みも続けられるだろう。
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このようなコンパイラの性能に関する話題は、一見すると地味に思えるかもしれない。しかし、ソフトウェア開発の現場では、ビルド時間の短縮は開発者の士気向上、リリースサイクルの加速、そして結果として製品の品質向上に大きく貢献する極めて重要な要素である。Rustのような新興言語が普及していくためには、その言語が持つ強力な機能だけでなく、開発者が日々触れる開発環境の使いやすさも不可欠である。今回の調査結果は、Rustコミュニティが開発体験の改善に真摯に取り組んでいる姿勢を示しており、今後もRustの成長を後押しする重要な指標となるだろう。