【ITニュース解説】CSSで最も使われているフレームワークはTailwind、2位はBootstrap。レイアウトで苦労しているのはCSS Gridなど。State of CSS 2025
2025年09月03日に「Publickey」が公開したITニュース「CSSで最も使われているフレームワークはTailwind、2位はBootstrap。レイアウトで苦労しているのはCSS Gridなど。State of CSS 2025」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
最新の「State of CSS 2025」調査結果が発表された。Webページのデザインに使うCSSフレームワークではTailwindが最も使われ、Bootstrapが2位。レイアウト作成ではCSS Gridなどで開発者が苦労している実態が明らかになった。CSSはWebの見た目を決める言語だ。
ITニュース解説
世界中のソフトウェア開発者が回答したCSSに関する大規模なアンケート調査「State of CSS 2025」の結果が発表された。これは、ウェブページの見た目を整えるための言語であるCSSの現状と開発者の利用傾向を示す貴重なデータだ。システムエンジニアを目指す初心者にとって、この調査結果は現在のウェブ開発のトレンドを理解し、これから学ぶべき技術の方向性を知る良い機会となる。
まず、CSSとは何かについて簡単に説明する。ウェブページはHTMLという言語で骨組みが作られ、そこにCSSを使って色、文字の大きさ、配置、余白といった装飾を施し、デザインを決定する。ウェブサイトの見た目、つまりユーザーが目にする全ての視覚要素はCSSによって制御されているのだ。
このCSSを用いた開発を効率化するためのツールが「CSSフレームワーク」と呼ばれるものだ。フレームワークは、よく使うデザインパターンや部品をあらかじめ用意しており、それらを組み合わせることで、一から全てを記述するよりもはるかに早く、整ったウェブページを作成できる。今回の調査では、最も人気のあるCSSフレームワークとして「Tailwind CSS」が1位に輝き、次いで「Bootstrap」が2位という結果になった。
Tailwind CSSは「ユーティリティファースト」という考え方に基づいている。これは、色や余白、文字サイズといった非常に細かなスタイルを指定する小さなCSSのクラス(分類子)を多数用意し、それらをHTMLの要素に直接適用していく方式だ。例えば、「背景を青にする」「文字を大きくする」「左に余白を設ける」といった具体的な指示をHTMLの中で直接記述できる。このアプローチの最大の利点は、非常に柔軟なデザインが可能である点と、プロジェクトごとに完全にカスタマイズされたデザインを簡単に構築できる点にある。CSSファイルを直接編集する手間が省け、HTMLファイルを見るだけでどのようなスタイルが適用されているかを把握しやすいという特徴がある。しかし、HTMLファイルが多くのクラス名で少し長くなる傾向があるため、慣れるまではとっつきにくいと感じるかもしれない。
一方、Bootstrapは長年にわたり多くの開発者に支持されてきたフレームワークだ。こちらは、あらかじめデザインされたボタン、フォーム、ナビゲーションバー、カルーセル(スライドショー)といった豊富な「コンポーネント」(部品)を提供している。これらのコンポーネントを使うことで、比較的少ない手間で、スマートフォンでも見やすいレスポンシブデザインに対応したプロフェッショナルなウェブページを素早く作成できる。デザインの統一性が高く、多くのウェブサイトで使われているため、学習資料も豊富で初心者にも比較的学習しやすいのが特徴だ。Tailwind CSSが細かくデザインを積み上げていくのに対し、Bootstrapは完成された部品を組み立てていくイメージに近い。どちらを選ぶかはプロジェクトの要件や個人の好みによるが、それぞれの特徴を理解することが重要だ。
さらに今回の調査では、ウェブページの「レイアウト」を作成する際に開発者が苦労している点も浮き彫りになった。特に「CSS Grid」といった高度なレイアウト機能で苦戦している人が多いという。CSS Gridは、ウェブページ全体を縦横のグリッド(格子)に分割し、その中に要素を配置するためのCSSの機能だ。これまで複雑なレイアウトをCSSだけで実現するのは非常に難しかったが、CSS Gridが登場したことで、より直感的かつ強力に、レスポンシブな(画面サイズに応じて表示が変わる)レイアウトを設計できるようになった。
しかし、その強力さゆえに、CSS Gridは学ぶべき概念やプロパティが多岐にわたるため、初心者にとっては習得が難しいと感じる場合がある。グリッドの定義方法、各要素の配置方法、サイズ指定の方法など、多岐にわたるプロパティを理解し、実際に使いこなすには練習と経験が必要だ。開発者がレイアウト作成、特にCSS Gridのような新しい、しかし強力な機能で苦労しているという事実は、ウェブデザインの奥深さと、常に新しい技術が生まれて学習し続ける必要があることを示している。
この「State of CSS 2025」の結果は、現代のウェブ開発がどのように進化しているかを示している。CSSフレームワークのトレンドは、開発効率とデザインの柔軟性の両方を追求する動きを表していると言える。また、レイアウト作成の難しさは、ウェブページが見た目にも機能的にも複雑化している現状を反映している。システムエンジニアを目指す上で、CSSはウェブ開発の基本であり、これらのトレンドを理解し、効果的に活用できる知識とスキルを身につけることが、これからのキャリアにおいて非常に重要となるだろう。