【ITニュース解説】新絵文字「毛むくじゃらの生き物」「漫画的ボコスカ表現」「歪んだ顔」「トロンボーン」「シャチ」「宝箱」「落下する破片」を含むUnicode 17.0リリース

2025年09月10日に「GIGAZINE」が公開したITニュース「新絵文字「毛むくじゃらの生き物」「漫画的ボコスカ表現」「歪んだ顔」「トロンボーン」「シャチ」「宝箱」「落下する破片」を含むUnicode 17.0リリース」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

文字コードの標準規格Unicodeのバージョン17.0がリリースされた。新たに「毛むくじゃらの生き物」などの絵文字を含む4803文字が追加され、総文字数は15万9801文字となった。

ITニュース解説

Unicode 17.0のリリースは、コンピューターが文字を扱う仕組みの根幹に関わる重要な更新だ。システムエンジニアを目指す上で、この「Unicode」という言葉は頻繁に耳にするため、その基本的な概念と今回の更新が持つ意味を理解することは非常に役立つ。

まず、Unicodeとは何かという点から説明しよう。コンピューターは、私たちが普段使っている日本語や英語、数字といった文字を直接理解できるわけではない。コンピューターが理解できるのは、0と1で構成される「数値」だけだ。そこで、それぞれの文字に固有の番号を割り当て、その番号を使って文字を表現する仕組みが必要になる。この「文字と番号の対応表」が文字コードと呼ばれるもので、Unicodeはその文字コードの世界標準規格だ。

過去には、国や地域、あるいはメーカーごとに独自の文字コードが使われていたため、異なる環境間でデータをやり取りすると「文字化け」が発生することが多かった。例えば、日本語のファイルを開いたら意味不明な記号の羅列になっていたという経験があるかもしれない。これは、送り手と受け手で異なる文字コードを使用していたために、文字に割り当てられた番号の解釈が食い違ってしまった結果だ。Unicodeは、世界中のあらゆる文字を統一的な番号体系で管理することを目指し、このような文字化け問題を根本的に解決するために開発された。日本語、英語はもちろん、アラビア語、中国語、サンスクリット語、さらには絵文字に至るまで、地球上のほとんど全ての文字を一つの規格で扱えるようにしている。

今回リリースされたUnicode 17.0は、その標準規格の最新版であり、2025年9月9日に公開された。このバージョンでは、新たに4種の文字や複数の絵文字を含む4803文字が追加され、Unicode規格で定義された文字の総数は合計15万9801文字に達した。この数字からもわかるように、Unicodeは常に進化を続けており、世界中の言語や表現の変化に対応するために、定期的に新しい文字が追加されているのだ。

特に注目すべきは、今回追加された絵文字の数々だ。「毛むくじゃらの生き物」「漫画的ボコスカ表現」「歪んだ顔」「トロンボーン」「シャチ」「宝箱」「落下する破片」といった、具体的な事柄や感情、表現を豊かにする絵文字が加わった。絵文字は、単なる装飾的なイラストだと捉えられがちだが、Unicodeの視点から見れば、それぞれが固有の番号を持つ「文字」の一つとして定義されている。これは、私たちが「あ」や「A」という文字を使うのと同じように、絵文字も一つの情報としてコンピューター上で正しく扱われることを意味する。

なぜ新しい絵文字が次々と追加されるのかというと、それは人々のコミュニケーションの形が多様化し、進化しているからだ。テキストだけのやり取りでは伝えにくい感情やニュアンスを、絵文字が補完する役割を担っている。特にスマートフォンなどのモバイルデバイスが普及した現代においては、絵文字は日常的なコミュニケーションに不可欠な要素となっている。システムエンジニアがアプリケーションを開発する際には、これらの新しい絵文字が正しく表示され、入力・処理できるかどうかの対応が非常に重要になる。もし対応を怠れば、ユーザーは新しい絵文字を使えなかったり、絵文字が文字化けしたりして、アプリケーションの利便性が著しく損なわれてしまうからだ。

システムエンジニアにとって、Unicodeの理解は多岐にわたる場面で必要とされる。例えば、データベースを設計する際には、格納するデータがどの文字コードで表現されているかを意識し、Unicode(特にUTF-8などの符号化方式)でデータを扱うことが一般的だ。これにより、異なる言語のユーザーからの入力や、絵文字を含む多様なデータを問題なく保存・検索できるようになる。また、Webアプリケーションやモバイルアプリケーションを開発する際にも、ユーザーインターフェースで表示される文字が正しくレンダリングされるか、入力フォームで絵文字を含むテキストが問題なく送信・受信されるかといった点を検証する必要がある。グローバルなサービスを提供する上では、様々な国の言語に対応する「国際化(i18n)」の実現が不可欠であり、その基盤となるのがUnicodeだ。

Unicodeの新しいバージョンがリリースされるたびに、システムエンジニアは自身の開発するシステムやアプリケーションが、追加された新しい文字や絵文字に適切に対応しているかを確認する必要がある。これは、既存のシステムの互換性を保ちつつ、最新の表現に対応していくための継続的な作業だ。時には、古いバージョンのOSやブラウザでは新しい絵文字が表示できないといった問題に直面することもあるため、対応策を検討することもシステムエンジニアの仕事となる。

Unicodeは、私たちが当たり前のように使っているデジタルな文字表現を支える、目には見えないが非常に重要なインフラストラクチャだ。その進化は、私たちのデジタルコミュニケーションの可能性を広げ、より豊かで多様な情報表現を可能にする。システムエンジニアを目指す皆さんは、このUnicodeという基盤技術がどのように機能し、どのように進化しているのかを理解することで、より堅牢でユーザーフレンドリーなシステムを設計・開発するための重要な視点を得られるだろう。常に最新の標準規格に目を向け、自身の技術スタックに取り込んでいく姿勢が、未来のITを担うシステムエンジニアには求められる。