絵文字(エモジ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

絵文字(エモジ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

絵文字 (エモジ)

英語表記

emoji (エモジ)

用語解説

絵文字とは、感情、概念、物体などを視覚的に表現する小さな画像や記号のことである。元々は日本の携帯電話で独自の文化として発展したが、その表現力が評価され、今ではスマートフォン、パソコン、ウェブサイトなど、世界中のあらゆるデジタルコミュニケーションで広く利用されている。単なる画像ファイルとして扱われるわけではなく、情報システムにおいては文字の一種として、特定の文字コードに割り当てられたシンボルとして処理される点が重要である。システムエンジニアを目指す者にとって、絵文字は単なる遊びの要素ではなく、文字列処理、データベース管理、ユーザーインターフェース開発といった多くの技術的側面で考慮すべき重要な要素である。

絵文字がシステム上でどのように扱われるかを理解するには、まず文字コードの概念を把握する必要がある。初期の日本の携帯電話サービスでは、各キャリアが独自の絵文字集合とエンコーディングを採用していたため、異なるキャリア間では絵文字が正しく表示されない、いわゆる「文字化け」が発生していた。この相互運用性の問題を解決するために重要な役割を果たしたのが、Unicodeという世界共通の文字コード体系である。Unicodeは、地球上のあらゆる文字を統一的な番号(コードポイント)で識別することを目的としており、絵文字もまたこのUnicodeの拡張領域に多数定義されている。これにより、異なるOSやアプリケーションであっても、同じUnicodeのコードポイントを参照することで、絵文字の内容を識別し、それぞれのシステムで適切に表示することが可能になった。

Unicodeの文字をコンピューター上で実際に表現するためには、UTF-8、UTF-16といったエンコーディング方式が用いられる。現代のウェブや多くの情報システムでは、可変長バイトエンコーディングであるUTF-8が主流である。UTF-8では、ASCII文字は1バイト、日本語のひらがなや漢字は3バイトで表現されることが多いが、多くの絵文字は4バイトを使って表現される。これは、絵文字がUnicodeの非常に広い範囲に定義されており、特に補助多言語面(Supplemental Multilingual Plane, SMP)と呼ばれる領域に位置するためである。したがって、データベースに絵文字を格納する際は、MySQLのutf8エンコーディングのように3バイトまでしか扱えない設定では不十分であり、4バイト文字に対応したutf8mb4などのエンコーディングを選択する必要がある。これを怠ると、絵文字がデータベースに保存できなかったり、文字化けが発生したりする原因となる。

絵文字の表示は、文字コードだけでなく、システムにインストールされているフォントにも大きく依存する。Unicodeは絵文字の「意味」と「識別子」を定義するが、その具体的な「見た目」は、OSやアプリケーションが提供する絵文字フォント(例: Apple Color Emoji, Segoe UI Emoji, Noto Color Emojiなど)によって描画される。このため、同じ絵文字のコードポイントであっても、デバイスやOSによってデザインが異なるのは珍しいことではない。新しい絵文字がUnicodeに標準化されても、それがシステムに表示されるようになるには、対応するフォントが更新されたOSやソフトウェアがリリースされるのを待つ必要がある。

さらに、絵文字には複雑な表現を可能にする仕組みがいくつか存在する。一つは「肌の色修飾子」である。これは、人の絵文字と組み合わせて肌の色合いを表現するための特別な絵文字であり、基本となる人の絵文字のコードポイントの後に肌の色修飾子のコードポイントを続けて記述することで、システムはそれらを結合して一つの絵文字として表示する。もう一つ重要なのが「ゼロ幅接合子(Zero Width Joiner, ZWJ)」である。これは文字として表示されない特殊な制御文字で、複数の独立した絵文字コードポイントの間に挿入することで、それらの絵文字を結合して新たな意味を持つ一つの絵文字(例: 家族、カップル、特定の職業など)として表示させる機能を持つ。例えば、ある特定の並びの絵文字とZWJの組み合わせが、国旗や複雑な概念を持つ絵文字としてレンダリングされるといった具合である。また、同じUnicodeコードポイントを持つ文字がテキストとして表示されるか、カラーの絵文字として表示されるかを切り替えるための「異体字セレクタ(Variant Selector)」も存在する。

システム開発においては、絵文字の存在はさまざまな側面で考慮を求める。文字列の長さを計算する際、絵文字が複数のバイトやコードポイントで構成されるため、単純なバイト数やコードポイント数で「文字数」を数えると意図しない結果になることがある。プログラムでの文字列の切り出しや検索処理を行う際も、絵文字を正しく扱えるようなライブラリや関数を用いる必要がある。また、ユーザーインターフェース設計では、入力フォームでの絵文字の入力サポートや、絵文字ピッカーの実装、絵文字が表示される際のレイアウト崩れ対策などが求められる。古いシステムや特定の環境で絵文字が正しく表示されない「豆腐」表示(□)や文字化けを避けるための互換性テストも重要である。絵文字は、単なる視覚的な記号にとどまらず、情報システムの奥深い部分にまで影響を及ぼす技術的な要素であり、その仕組みを理解することはシステムエンジニアとして不可欠な知識である。

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