【ITニュース解説】Use Composite Indexes Matching Query Patterns
2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「Use Composite Indexes Matching Query Patterns」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
SQLクエリで複数列を条件指定・並べ替えする際、単一インデックスでは処理が非効率で遅くなる。クエリパターンに合わせた複合インデックスを作成すると、データベースはデータを効率的に探し、並べ替えの手間も省けるため、処理速度が大幅に向上する。
ITニュース解説
データベースは、私たちが日々利用する様々な情報システムにおいて、大量のデータを効率的に管理するための基盤となる重要な要素だ。その中でも、目的のデータを素早く探し出すための鍵となるのが「インデックス」と呼ばれる仕組みである。インデックスは、本でいうところの「索引」のようなもので、データがどの場所にあるかをあらかじめ記録しておくことで、データベースがテーブル内の全データを一つ一つ確認することなく、直接必要なデータにアクセスできるようにする。これにより、データの検索や並べ替え(ソート)といった処理が飛躍的に高速化される。
しかし、インデックスを単独で設定するだけでは、常に最大の効果が得られるとは限らない。特に、SQLクエリで複数のカラム(列)を使ってデータを絞り込んだり(WHERE句)、結果を特定の順序で並べ替えたり(ORDER BY句)する場合、それぞれのカラムに個別にインデックスを設定しただけでは、データベースがこれらのインデックスを効率的に連携させて使えないことがよくある。その結果、インデックスが無視されたり、最悪の場合、テーブル内のすべてのデータを最初から最後まで調べてしまう「フルテーブルスキャン」という非効率な処理が発生し、特にデータ量が多いテーブルでは、システムの応答速度が著しく低下してしまう。
具体的に考えてみよう。「アメリカ在住で、30歳以上のユーザーを抽出し、その結果を年齢の若い順に並べ替える」というクエリを実行したいとする。もし「国」と「年齢」それぞれに単独のインデックスがあったとしても、データベースがどのようにデータを取得するか計画する「クエリプランナー」と呼ばれる機能は、これらの単独インデックスをうまく組み合わせて使うことができないかもしれない。その場合、必要以上に多くのデータをディスクから読み込んだり(ディスクI/Oの増加)、CPUを余計に使って処理したりすることになり、目的のデータを取得するまでに時間がかかってしまう。
このような問題に対する有効な解決策が、「複合インデックス」の活用である。複合インデックスは、複数のカラムを組み合わせて作成される一つのインデックスであり、クエリがデータを検索・並べ替えるパターンに合わせて設計することで、その効果を最大限に引き出すことができる。
前述の例に対応する複合インデックスを作成するには、CREATE INDEX idx_users_country_age ON users(country, age);というSQL文を使う。この命令によって、usersテーブルのcountryカラムとageカラムを組み合わせた複合インデックスが作成される。このインデックスは、データベースに対してレコードを「国」と「年齢」の順序で整理しておくように指示する。
この複合インデックスが存在することで、データベースはクエリを次のように効率的に処理できるようになる。まず、「国がアメリカ」という条件に対して、インデックスの先頭部分を利用して、該当するデータ群を非常に素早く見つけることができる。次に、その「アメリカのユーザー」というデータ群の中から「30歳以上」という条件を満たすユーザーを、インデックスの次の部分を使って効率的に絞り込む。さらに、このインデックスは「年齢」の順序でデータが整理されているため、結果を年齢順に並べ替えるために別途ソート処理を行う必要がなくなり、クエリの実行が全体として大幅に高速化されるのだ。
複合インデックスを理解する上で非常に重要なのが、「左から右」に機能するという原則である。例えば、countryとageの順で作成された複合インデックスは、countryカラムが検索条件に含まれる場合に最も効率的に利用される。もし「国がアメリカで、年齢が30歳以上」というクエリのように、インデックスの最初のカラムであるcountryで絞り込みが行われる場合、このインデックスはフルに活用される。しかし、「年齢が30歳以上」という条件だけで検索する場合、ageはインデックスの2番目のカラムであるため、この複合インデックスは効率的に使われないか、あるいは全く使われない可能性が高い。したがって、どのカラムをどの順番でインデックスに含めるかは、最も頻繁に行われるクエリのパターンを考慮して慎重に決定する必要がある。
さらに高度な利用方法として、もしクエリがインデックスに含まれるすべてのカラムのデータのみを要求する場合(例えば、countryとageのみをSELECTする場合など)、データベースはテーブル本体にアクセスすることなく、インデックス自身から必要な情報をすべて取得できることがある。これを「インデックスオンリースキャン」と呼び、テーブル本体へのアクセスは一般的にデータベース処理の中でもコストが高い部分であるため、この機能が利用できれば、クエリのパフォーマンスはさらに一段と向上する。
このような複合インデックスの最適化は、実際のビジネスシーンで非常に役立つ。例えば、SaaS(Software as a Service)の管理ダッシュボードで、製品マネージャーがユーザーの属性(地域や年齢層など)に基づいて顧客リストをフィルタリングし、特定のターゲット層に絞ったレポートを生成するようなケースを考えてみよう。適切な複合インデックスがなければ、こうした複雑なフィルタリングやソートを伴うリストの表示には時間がかかり、バックエンドAPIの応答も遅くなる。ユーザーは待たされることになり、システムの使い勝手は悪化するだろう。しかし、クエリパターンに合わせて適切に設計された複合インデックスがあれば、フィルタリングやソートの処理はインデックスツリーの内部で高速に完結し、クエリの応答時間は大幅に短縮され、システムは高い負荷がかかった状態でもスムーズに動作し続けることができる。
しかし、インデックスは強力なツールである反面、無闇に作成すれば良いというものではない。インデックスを作成すると、データの追加、更新、削除といった書き込み操作のたびに、データベースはそのインデックスも更新・維持する必要があるため、インデックスが多すぎるとこれらの書き込み処理が遅くなる原因となる。また、インデックス自体もディスクスペースを消費する。そのため、新しい複合インデックスを追加する際には、必ず最も頻繁に実行されるクエリのパターンを分析し、どのインデックスが本当にパフォーマンス向上に寄与するのかを見極めることが重要だ。そして、インデックスが実際にデータベースによって利用されているか、期待通りの効果を発揮しているかを確認するためには、PostgreSQLやMySQLのEXPLAINコマンド、SQL ServerのQuery Analyzerといった、データベースが提供する診断ツールを活用することが強く推奨される。これらのツールを使うことで、データベースがどのようにクエリを処理しているかの詳細な計画を確認し、インデックス戦略をより効果的に調整することが可能になる。
このように、複合インデックスはデータベースのパフォーマンスを最大限に引き出し、システムの応答性を高めるために不可欠な要素だ。システムエンジニアを目指す上で、このようなデータベースの最適化に関する知識と技術を習得することは、効率的で高品質なシステムを構築するために非常に重要なスキルとなる。