【ITニュース解説】Visa、いわばタッチ決済のオンライン版「クリック決済」を日本でも2025年開始
2025年09月16日に「CNET Japan」が公開したITニュース「Visa、いわばタッチ決済のオンライン版「クリック決済」を日本でも2025年開始」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Visaは2025年、日本でオンライン決済「クリック決済」を開始する。カード情報入力を省き、手軽さと高いセキュリティを両立する新システムだ。これにより不正利用は半減し、ECサイトでの購入完了率向上に貢献する。
ITニュース解説
オンラインでのショッピングやサービスの利用が日常となり、決済はその根幹を支える重要な要素となっている。しかし、現在のオンライン決済には、カード情報の毎回入力の手間や、セキュリティ面での不安が依然として存在する。このような課題を解決し、よりスムーズで安全なオンライン決済を実現するため、Visaが「クリック決済」を日本市場に導入する。これは、実店舗で普及している「タッチ決済」をオンライン版として再構築したもので、2025年からの順次導入が予定されている。
「クリック決済」の最大の目的は、ユーザーの利便性向上とセキュリティの強化である。具体的には、ECサイトなどでの購入時に、これまで必要だった16桁のカード番号、有効期限、セキュリティコードといった詳細なカード情報の入力を不要にする仕組みだ。ユーザーは一度自分のカード情報をVisaのシステムに登録すれば、次回以降は決済画面で「クリック」一つ、またはタップ一つでスムーズに支払いを完了できるようになる。これにより、決済プロセスの途中で手間を感じて購入を諦めてしまう「カゴ落ち」と呼ばれる現象の減少が期待され、ECサイトにとっては売上の向上に直結するメリットとなる。
この利便性を支える技術的基盤の一つが「トークン化」である。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このトークン化は非常に重要な概念だ。トークン化とは、実際のクレジットカード番号のような機密性の高い情報を、意味のない別の文字列(トークン)に置き換えて処理する技術を指す。つまり、ユーザーがWebサイトで「クリック決済」を利用する際、ECサイトや決済サービスプロバイダーのシステムには、実際のカード番号ではなく、このトークンが渡される。万が一、ECサイトや決済サービス側のシステムからデータが漏洩した場合でも、そこにあるのはトークンであり、実際のカード番号ではないため、不正利用のリスクを大幅に低減できるのだ。Visaは、この「クリック決済」の導入によって、不正利用が半減するという実績を既に示しており、そのセキュリティ効果の高さがうかがえる。
さらに、この決済システムは、国際的なセキュリティ標準であるEMVCoの仕様に基づいている。EMVCoは、ICチップを搭載したクレジットカードや、NFC(近距離無線通信)を利用した決済技術の標準化を推進している団体であり、その規格に準拠することで、国際的な互換性と高いセキュリティレベルが保証される。また、「Visa Secure」(旧Visa認証サービス)などの本人認証サービスと連携することで、より強固な認証プロセスを構築し、なりすましによる不正利用を未然に防ぐ。例えば、決済時にワンタイムパスワードの入力や生体認証を求めることで、本人が決済を行っていることを確認し、安全性をさらに高める仕組みである。これにより、ECサイト側では、正当な決済がシステムによって不正と判断されてしまう「誤検知」が減少し、決済承認率が8%改善するという効果も報告されている。これは、売上機会の損失を防ぎ、顧客満足度を向上させる上で非常に大きな影響をもたらす。
システムエンジニアの視点から見ると、「クリック決済」の導入は、ECサイトや決済ゲートウェイプロバイダーのシステムにとって、新たな連携と改修の機会をもたらす。Visaが提供するAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を通じて、既存の決済システムに「クリック決済」の機能を追加することになる。この際、APIの仕様理解、適切なシステム設計、セキュリティを考慮した実装、そして安定稼働のためのテストが重要な工程となる。また、ユーザーインターフェース(UI)/ユーザーエクスペリエンス(UX)の観点からも、いかにユーザーが直感的に、かつ安心してこの新決済方法を利用できるかを設計する能力が求められる。
この「クリック決済」は、単なる決済手段の追加に留まらない。オンラインとオフラインの決済体験をシームレスにつなぎ、デジタル経済圏全体をより安全で効率的なものへと進化させる一歩である。ユーザーは、どこにいても、どのデバイスを使っていても、ストレスなく、そして安心して決済を完了できる未来が近づいている。システムエンジニアは、このような新しい技術を社会に実装し、その利便性と安全性を維持・向上させる責任とやりがいのある役割を担うことになるだろう。決済技術は日々進化しており、その最前線で働くことは、常に新しい知識とスキルが求められるが、それだけに自身の成長を実感できる分野でもある。